初めてのお注射

 初めて、と言っても、ルビーは既にペットショップで一回目のワクチン接種は済ませておりました。

 なので、うちに来てから受けたお注射は生まれて二回目のお注射というわけです。

 家の近くの動物病院に連れて行くと、ルビーは外出そのものが怖いようで、プルプル震えておりました。

 病院に到着し、ルビーをキャリーバックから出そうとしましたが、彼女は足を踏ん張って出ることを断固拒否。

 そう、拒否テリアです!

 獣医の先生が待っているのに~と焦っていると、先生が横から、

「がんばろう!」

「よいしょ!」

 と優しい掛け声をかけてくださいます。

 それに合わせてルビーもケースからぴょんと飛び出す……わけはなく、結局、ずるずると引きずり出しました。

 診察台の上に乗せられたルビーはおとなしく、体重測定の時もじっと動かずおりこうさん。

 注射の前に検温です。

 検温はお肛門に体温計を入れてはかるので、先生は「大丈夫かな?」と心配されておられましたが、ルビーはここでもまったく動かず、自分の身体に刺さっている体温計そのものを気にしてない様子でした。

 獣医の先生も思わず、

「強いなあ」

 と、感嘆の声。

 奥に連れていかれて採血もしたのですが、これにもけろりとしている様子。

 そして、とうとうお注射。

 他のわんこの「キャン!」という鳴き声が待合室にも聞こえていたので、どうかなと思っていましたが、ここでもルビーは一言も鳴くことはなく、微動だにしません。

 先生がここでも

「強いなあ」

 と、感嘆の声。

 しかし少し不安になったようで、最後には

「ルビーちゃんは家でもこんなにおとなしいですか?」

 と、困惑した様子で質問。

 私が笑って、

「いえいえ、家ではおてんばで走り回っています」

 と答えると、明らかにほっとした様子で

「なら大丈夫ですね」

 と笑顔で仰っておられました。

 優しくていい先生です。

 

 外出が嫌いなうちの子は、病院に行くのも一苦労。玄関に連れて行くだけで嫌がって暴れます。

 外出のたびにちょっとした戦いが繰り広げられるのですが、でもこれも個性ですよね。

 いい子がうちに来てくれたと、毎日、楽しく過ごしております。

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