知らぬが仏
念の為詳細は伏せるが私の生まれは母の故郷である東北である
母の姉 私から見た叔母が助産師をしていてそこの産院で生まれたのだという
これは母方の祖母から聞いた事だったと思う
父は関東の生まれだったが母方の家系を存続させるためにも婿養子となった為そのまま東北へと移住をした
母方の祖母 今後は《おばあちゃん》と呼ぶことにする
これは後に登場してくる父方の祖母と区別をつける為だちなみにだが父方の祖母のことは《ばあば》である
おばあちゃんと父はかなり折り合いが悪く越した先の母の実家もドがつくほどの田舎という事もあり早々に関東へと出戻りをした
時期的に私が1歳になるかならないかくらいだ
関東に戻ってからは父の実家のすぐ近くの団地を借りてそこで親子3人で暮らしていた
父は運送業 母は看護師の共働きだった為に幼少期のほとんどをばあばと父方のじいじに面倒を見てもらっていた
保育園から帰ってきた私を夜遅くに仕事が終わった両親のどちらかが迎えに来て
そのまま団地へと帰るそんな日々の繰り返しだった
だから私には幼少期の頃の記憶がこれといってない
強いて言うならば向かいに住んでいた男の子たちが石を投げて遊んでいて
それが私の鼻に命中しそのまま泣き喚いてボタボタ血を垂らしながら
家に入ってきた私を見た祖父母を驚かせたことくらいであろう
あれはかなり痛かった 今でもよく見ると鼻に縫った跡が残っている
そんな私にとっては平凡な日々が続いたとある日の事だった
以降の話は父の兄・叔父から聞いた話である
「お前の母ちゃんはなぁ、団地の集金の金を横領して裁判沙汰を起こしたんだよ!それが原因でじいじ達は自分達で建てた家を売って出た金を示談金にしてなんとか解決させたんだ」
今から約5年前に聞いた母の暗い話であった
なんとなくそれが真実であることは薄々勘づいていたが知りたくはなかった
何故、疑わなかったのかというとその時期に母と父は離婚しているのだ
親権をとりたかった母であったがこんな問題を起こしては到底とれるわけもなく親権はそのまま父になった
新しい家は当時こそ小綺麗だったのかもしれないが現在は今でいうオンボロな小屋みたいな借家であった
二階建ての3Kの戸建てに父、叔父、祖父母、私の5人で住んでいた
この狭くて小さな家が私の《実家》であった
ここから私の人生が狂っていったと言っても過言ではない
ここまでが私の簡単なプロローグである
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