第3話 徹育つ

妻の珠代は家に帰ってからもじっと優しく育てていた。愛情を深く深く注いでいた。徹生も変わらず寿司を握るために立ち続けた。家に帰って珠代と徹の寝顔を見るのを楽しみにしながら。常連に「お子さん生まれたんだってなーおめでとう」と絡まれても顔はあまり緩めず心で笑っていた。


徹がすくすくと育ち始め、珠代は背中におぶってあやしながら働き始めた。

徹は泣いたり笑ったり寝たり。そんなリズムを感じながらも徹生は今までと違う寿司を握るリズムをつくり始めていた。徹はおぶられながらも寿司屋を自然にも不自然にも感じ始めていた。徹生を幸せだった。

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