第3話 ももいろばらいろさくらいろ 桃色くれよん


だんだん、こころが落ち着いていくのが

自分にもわかる

そう、ここは くれよん村。


私の ココロの故郷ふるさと、夢の村……


さっき、目の前に座る 若草色の服で身をまとった

ほのか」 という女の子に聞いたばかりの事を

おりまぜながら、自分の心境を語ってみたり…



「落ち着いた?七重(ななえ)ちゃん」



「…… あっ! ハイっ!!」


駄目だ…すっかり この人のリズムに乗せられてるみたい。



「だからさ、七重ちゃん。七重ちゃんは 七重ちゃんでいれば

いいんだからね?この場合は 友達とか 気にしなくていいんだからね?」


「そうでしゅよ。七重しゃん。だいしゅきな先輩、

このままじゃ とられちゃいましゅよ?」


落ち着く。この、洸という人と 桃色をして ひだスカートを

はいて、頭にハートをつけたくれよん…通称 ももちゃん…が

交互に 話をしてくれる。



「さ、行こうか。七重ちゃんの決心が薄れる前に。」



そうだ。私は、たくや先輩に気持ちを伝えるって 決めたんだ。

不思議と 怖くは無い。


たとえ、さくや先輩が、私じゃなくて

私の友達のほうを 選ぶことになろうとも。

私は さくや先輩のことが 好きなのには 違いないのだから。

その想いを 伝えればいいんだ。


そう、硬く思い返した瞬間に 目の前の景色がゆらいだ。

くれよん村で 最後に聞いた言葉。

洸サンとももちゃんの「がんばれ」って言葉。

ありきたりの言葉なんて

大嫌いだったのに。

今は 本当に その言葉で 勇気があふれてくる。

だから。


「先輩、私、先輩のこと好きです。」


このことばも ありきたりだけれど…

きっと 先輩には伝わるよね?


たとえ、私の目の前の未来が

ももいろではなくても、ばらいろではなくても、さくらいろではなくても…





七重色なのには 間違えないんだね。

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くれよん村ものがたり 北の国のぺんや @kitapen_com

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