7ページ 訪問セールス
「もっと食べたいです」
と。
すると未歩は笑顔を弾けさせて何度も小さくうなずいていた。
未歩は炊飯器に残っていたご飯を炒め、具材に玉ねぎソーセージを刻み、バターでコクと香りを追加したケチャップライスを鼻歌を歌いながら手際よく作り、悠人の前に差し出した。
皿の上に、どんぶりを逆さにしたかのような大盛りケチャップライスだった。
それからしばらくの間、妹の作ったケチャップライスだけを堪能する。
途中、家族に連絡をしていないことに気づいたりもしたが気にしないことにした。
今だけは二人の世界なのだ。
誰にも邪魔されたくはない。
腹が張ってきたことで、悠人はズボンのベルトを緩めざるを得なかったが、未歩の料理は全部食べ終わっていた。
未歩は満足気な表情をする。
その時、インターホンが鳴った。
誰か来たのだ。
両親は仕事で遅くなると聞いていたため宅配便だろうかと思った。
「はーい」
未歩はスリッパを鳴らして、玄関に向かう。
悠人は取り敢えず、はみ出しそうになるのを口を抑えて我慢した。妹の作ってくれた料理を吐き出すなどできはしない。
全て血肉に変える決意をする。
ふと、玄関からの気配に不穏なものを感じた。
ダミがかった男の声。
両親がいるかの確認。
悠人は、妹の身に何か起こったのかと思い玄関に走るとそこには、トランクを持った胡散臭そうな男が玄関に腰を下ろして、未歩に詰め寄って居る所だった。
未歩は男に迫られ怯えたように立ち尽くしている。
訪問セールスなのが分かったが、子供相手に何かをサインさせようとしているのを見て、悠人は頭に血が昇ってしまった。
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