京都にて ※

川面覆う 浮き花一面金木犀

向こう岸に立つ友の顔が思い出せない

水面に雨粒

香りは沈み 流され 消えてゆく 


笑顔=笑顔 涙=涙  それだけの意味しかないころ

目に映るものが全てだった

知らないことはいっぱいあったし

傷つけることもいっぱいしたけど

ごめんもありがとうも特別な言葉じゃなかった


赤く続くあぜ道彩る曼殊沙華

そっと花またいだら、草上ひらり落ちる花弁

とんぼとまり、カラス帰る赤く染まる西の空

ひっつき草放る 友へ届かぬ丸い実二つ


笑顔は笑顔 涙は涙 それだけの意味だと思えない今

目に映るものさえ見えなくなった

あのころより賢くなったし

あのころよりやさしくなれたけど

肝心の言葉が言えないでいる



もっと手をつないでたら 「さよなら」優しくなれたかな

もっと手をつないでたら「さよなら」笑えていたのかな

ずっと手をつないでたら ぬくもり思い出せたかな

もっと手をつないでよう「さよなら」優しくするために

かならずくるその時の笑顔のため

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