第9話 組織名
僕は歩いてとある場所に向かう。
そこは無人になって久しい闇の仕事を受け付けする場所だった場所で今は廃墟となっている。
最近この場所に人が出入りしているという情報をノエルから得た私は、それが事実かどうかの確認に来ていた。
「...さ〜てと」
私はまず水の流れを確かめる。
人が生活していると最低限の水の流れと言うものが存在するのだ。
それを把握できるのは水のコアに選ばれた私の超能力のおかげと言っても差し支えないだろう。
うん、間違いない。
どうやら誰かがいるのは本当らしい。
しかし何で今更こんな場所を拠点にしているのだろうか?
確かにここなら人目を気にせず闇の仕事が出来るが...。
まあ良いか。
その答えはすぐに分かるだろうしね。
そう思いながら私は建物の中に入っていく。
中に入ってしばらく歩くと奥の方で何か物音が聞こえた。
足音を殺して近づいていくとそこには一人の男が居た。
彼は机の上に置かれた魔石に向かってブツブツと話しかけているようだ。
「はい、こちらの仕事は全て完了しました。例の物はいつものように後程届けます」
話の内容的に誰かと連絡を取っているみたいだけど...。
う~ん。
やっぱり私ってこういう細かい作業苦手なんだよねぇ。
こっそり聞き耳を立てていたけど全然分かんないし! こうなったら直接聞くしかない。
彼の話が終わると私は裏から前に出る。
「お取込み中の所失礼します。少しだけよろしいでしょうか?」
突然現れた私に男は驚いた表情を浮かべる。
「誰だお前は!?いつの間にそこにいたんだ!」
「あなたが電話で話していた相手が来る前にちょっと話を聞かせて欲しいのですが...」
私がそう言うと男は懐に手を入れようとして動きを止める。
「おっと、動かない方が良いですよ。変な真似したらあなたの脳天を撃ち抜きますから」
男の顔色が変わる。
「くっ、何者なんだお前は!?一体俺に何をするつもりだ!!」
「それはこっちのセリフです。この辺りでは最近貴方達のような人がよく目撃されているんですよ。一体ここで何をしてるんですか?」
「......」
男は黙り込む。
「だんまりですか...。それじゃあ仕方ありませんね。力尽くでも喋ってもらいますよ」
「ちょっと待て! お前は誰なんだ!?」
「僕はツカサって言う。あなたの名前は?」
「ツカサだと? まさかお前が噂に聞く...」
「...、何の話をしてるか分からないね」
「惚けても無駄だ。俺は確かに聞いたことがあるぞ! お前らはビッグスター社お気に入りの超能力を得た子供達【コア・チルドレン】そいつらは心臓に...」
「おしゃべりが過ぎたね。悪いけど貴方の組織の情報を全て吐いてもらうよ。まあ、下っ端っぽいから大した情報を持っているとは思えないけどね」
「くっ、俺を舐めるな!」
男は懐に隠していた拳銃を取り出して私に向けてきた。
しかし、私はそれを水の障壁で無効化した。
「なっ! やはりそのレベルの超能力! ツカサ=オールレイトだな!!」
「まずはその銃を取り上げるよ」
私は男の背後を取ると同時に首に手刀を当てて気絶させた。
「さて、色々聞き出させてもらうかな」
私は男の手から奪い取った拳銃を手に取ると、彼の服のポケットなどを探った。
すると、一枚の写真が出てきて私はそれを見た。
「この子は...」
私は写真に写っている少女を見て驚きを露わにした。
「【コア・チルドレン】No.9 ツバキ...」
私はその名を口に出して絶句した。
「どうなってるんだ...? 子供達計画の被験体は私を入れても8人しかいなかったはずだが...」
「これは...」
私は目の前に広がる光景に言葉を失った。
「酷い...」
思わず口から漏れてしまった言葉。そこに広がっていたのは血の海だった。
死体の数は10を超えているだろう。
私は写真に写っている彼女の心臓部分を見てみると、心臓部分にあるはずのコアが抜き取られているのを確認した。
「適合に失敗したのか...」
私は自分にコアをつけられた時のことを思い出した。
自身の心臓を抜き取られ、代わりの石コロを埋められるという恐怖。
あの時は本当に死ぬかと思った。
しかし、私のコアはなぜか正常に機能し、こうして生きている。
もし、彼女達がが同じ境遇にあったのならコアに拒絶されて恐らく...。
怒りを抑えながら私は先ほどの男を叩き起こす。
「うぅ...、ここは?」
「おはよう」
「!? き、貴様は!」
私が声をかけると彼は驚いて飛び上がった。
「さっきはよくもやってくれたね」
「くっ、殺せ! 拷問するつもりなら好きにしろ! だが、俺は何も知らないからな!」
「貴方下っ端だよね?そんなことは分かってるよ。それより質問があるんだけど良いよね?」
「...」
「うん、君の組織の名前だけでいいよ、教えて」
「え?」
「だから、君の属している組織の名前を教えてほしいんだ。そしたら解放してあげる」
「そ、そんなことで良いのか?」
「うん、早くして」
「分かった。名前は『カオスチャイルド』だ」
「そう、ありがとう。じゃあ、解放してあげるね」
私は容赦なく彼の心臓に水のナイフを突き刺した。
「ぐはぁああ!! お、おのれぇ...、絶対に許さんぞぉ...、ツカサ=オールレイトォオオオ!!!」
「...、ふーん。まだ意識があるんだ。しぶといね。でも、もうおしまいだよ。貴方の心臓は私の水の中なんだから」
私は奴の心臓を軽く掻き回す。
「ぎゃぁあああ!!」
「これでお終いだね。じゃあ、さよなら」
私は彼にとどめの一撃を与えるのでした。
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