第8話 お昼ご飯

「ツカサ、お昼ご飯できたよ」


「ありがとう」


今日はノエルが作った料理をテーブルに並べて一緒に食べる。


彼女の作った良質なサンドイッチを片手に会話を始めると、私は最初にこう呟いた。


「ねぇ、今度どこか遊びに行ってみない?、ほら、ノエルがこの間行ってみたいと言っていた遊園地とかどう?


昨日涙目になりながら悪夢にうなされていた彼女のためにリフレッシュをしようと言う目論みだ。


「あそこか、悪くないかも」


「じゃあ決まりね。レイカにも伝えておく」


「うん、楽しみにしてるよ」


あどけない笑顔を見せてくれる彼女だが、彼女は私やレイカ以上に闇の仕事の適性が組織に高く評価されていたという経歴がある。


私には真似できない隠密能力や、レイカよりも殺傷能力に優れると言う暗殺向けの能力なのも好評価点だった。


もちろん、その事を知っているのは組織の者だけなのだけれど。


「そういえば最近この辺りで行方不明者が続出している事件が多発してるらしいんだけど、ノエルは何か知ってる?」


私はふと気になった情報を口にする。


「行方不明?」


「なんでも誘拐された可能性があるらしくて」


「誘拐...ね、私が誘拐されたら誘拐犯を八つ裂きにして恐怖を植え付けた後に警察に突き出してやるんだけど...」


サラッと怖い事を言ってのけるあたりさすがノエルだ。


「でも、なんでまたそんな話を?」


「いや、ただ気になっただけだよ。大した話じゃない」


「そっか、ならいいけど」


私はそう言いながら手に持っていたサンドイッチを一口頬張る。


「ところでツカサ、例の依頼はどうなったの?」


「ああ、あれね。もう済ませてきたよ」


「相変わらず仕事が早いね」


「それほどでもないよ」


私はそう言うと残りの昼食を全て平らげた。


今日は水曜日なので昼から休みだ。


「さて、僕は少し出かけてくるから留守番よろしくね」


「うん、任せておいて」


私は店を出ると、とある場所に向かうのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る