第20話
疲れていたら本当に寝入ってしまいそうな時間が経過した頃、今村さんが背中を向けた。私はそっと瞼を開けて見入った。今村さんの手がするりと伸び、梨絵の洋服を触っている。
いよいよ始まったかと思った。
場所も場所だし、両サイドには若い女性が居る。これで寝られた時には逆に私達が傷つく。耳を澄ませないと聞こえないほど衣類を撫でる音は小さかった。私のことなど気にする素振りも見せずに今村さんは手を動かしている。梨絵は微動だにしない。
まさか本当に寝てたりして。
どこまで触っているのか想像すると鼻息が荒くなりそうだ。ひょっとしたら聞こえちゃったのかもしれないと焦った。今村さんの手がピタッと止まったからだ。
それから今度は私の方に身体を向けた。私は瞬時に目を閉じる。サイズはわからないが丸いベッドは三人で横になっても余裕があるほどで、今村さんは少し身体をずらすように私に近付いてきた。
あのまま仮に服でも脱がせ始めたら背中を突こうと思っていた。でも心のどこかでこうなることも予想していた。服装、それに胸にしてもお尻にしても梨絵は刺激的どころか物足りない。ロリコン趣味なんて人もいるようだけど、私の方を向いてくれたからどうやら違ったみたい。
ラーメンの盛り付けをしていた手が私の浴衣に触れる。ドクンと心臓が跳ね上がる。驚きというよりもこれは期待だろう。
やがてDカップの胸に到達。衣擦れの音がしない程度にやさしく揉まれる。なんだかそれが心地いい。指が先端へと移動する。ノーブラなので感触はダイレクトに近い。浴衣が徐々に開かれ身体に直接指が触れる。そして同じように胸を触られた。私は唇を噛んだ。
徐々にその指が胸の下から御へその脇を抜けて下へと降りていく。痺れるような感覚が身体を包み声が漏れそうになった。行き先は既に分かっているので気付かれないようにそっと足を広げると、見計らったように指が到達する。
私の足はビクンと痙攣した。自分でもわかるほど恥ずかしい状態になってる。今村さんはどう思ったのだろう。きっと準備万端とでも思ったに違いない。ベッドの上の方に手を伸ばしてから今村さんは私の耳元に囁いた。
「やっぱり着けないとまずいよね?」
私は黙って頷いた。装着はスムーズだった。そのわずかの間に、童貞じゃないと察した。音を殺しながら私の上に乗ってくる。私も合わせて足を広げる。その数秒後、私は脳に電気を受けたように口を大きく開いた。
激しく息をしてしまいそうで呼吸を止めた。出そうになる大声を堪え、スイミングの潜水で顔を出したような間隔で息をする。それでも大きくは吸えない。開けっ放しの口から僅かに酸素を取り入れるだけだ。
梨絵に気を遣っているのか、動きはソフトそのものだった。それがまた私に快楽を呼び込む。大声で叫びたいほどだ。とにかく苦しい。
その後、帯を解かれ左右に浴衣を広げると今村さんの顔が胸に近付く。同時に私は身体を反らせた。隣で梨絵が寝ていることも興奮を煽っているのだろうか、とにかく溶けてしまいそうな気分だ。
こんな状況でも男として機能するのだから今村さんはやはり童貞ではない。
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