第21話 <修行編> そして、とうとうエンディング

 グループ制作では、動物のキャラクター1体を担当しただけなので、時間的にはだいぶ余裕があった。とくに課題には必要がないんだが、時間つぶしに架空のゲーム設定書とかシナリオを書いたりした。


 実際、モデリングも凝り出したら、いくらでも細かく凝ることができるのだが、他のキャラクターとのバランスもある。作りながら、他のキャラクターとそれなりにデザインを合わていく方法だったので、ラフなモデルでは、ペンギンとフクロウの中間みたいなデザインだったのが、極端に目を大きくしてフクロウっぽくしてみたり、微妙に色を変えたりして、なんだかんだで十体以上つくったのだが、結局、他の「人間キャラ」のデザインがアニメ調のデザインだったので、それに合わせて、ただのシンプルなモデルになった。


 人間のキャラクターが着ている「制服」のデータをもらって、袖を切って丈も短くしたりして、ペット用に加工して着せてみたり。


 アニメーションも、鳥のデザインなので、基本的にバタバタするだけだったが、怒ったり、驚いたり、大喜びしたり、いろんな喜怒哀楽や、走ったり、羽ばたいたり、いろいろなアニメーションを作ってみた。しかし、「宇宙鳥」は、操縦席とリビングのどちらのシーンでも、ただ椅子に座っているだけということになったので、結局、最終的に使ったのはシンプルな動きだけだった。


 さて、グループ制作では、各自が作ったモデルをUnityで一つにまとめていく作業がある。この作業は、誰か一人だけがやることになる。


 Unityはゲーム制作用のアプリだが、実際、授業中にやったのはほぼ1日だけだった。Blenderを使ってモデリング中心の講座だったので、作ったモデルをUnityに読み込ませることしか教わらない。必要ならあとは自分で覚えてくださいという感じだ。

 しかし、このグループの中には、大学のゲーム学科卒の人がいて、Unityでゲームを作った経験もある人がいたので、みんなが作ったデータは彼に任せることになった。そんなわけで、作品発表の前に2日ほど、また暇ができた。


 すると、男性キャラクターをつくっていた女性が、ゲームのオープニングとエンディング動画をつくりはじめた。彼女は、専門学校で映像関係のコースを卒業していて、もともと動画編集ソフトを使いこなすことができた。数秒ずつの動画を作って、これもUnity上で最後に組み込んでもらうことになった。


 大学でゲーム学科だった男性は、ここに来るまでは、家電の量販店の店頭で働いていたそうだし、彼女にしても、前はパチンコ店でバイトしていたらしい。大学や専門学校を卒業した若い人たちでも、希望通りのゲーム業界や映像業界に就職するのは、なかなか難しいようだった。


「私みたいなオバチャンは、最初からムリやと諦めもつくから気楽やけど、若い人たちは大変やな。これから就活やろうけど」


 そんな感じで、ようやく、最後の課題が完成した。


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小説もええけど、CGを作りたいねん。なにわのおたく主婦、ハッカー息子を召喚し、たった一人でCGアニメに挑戦する! 鳥小屋 @Min_torigoe

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