第7話

 流山の遺跡を訪れた理恵と銀次は、薔薇男によってモシンナガンで射殺された。伊織を殺したのも薔薇男だった。薔薇男は流山おおたかの森駅近くの宝石店でダイヤを盗み、二口女を召喚させた。     

 

 12月10日

 蛍、桃太郎、氷室の3人は須藤首相によってロシアへと送り込まれた。

『アイツらは問題ばかり起こすから最前線に行って死んでもらいたい』

 蛍は首相官邸に盗聴器を仕掛けていた。

 須藤もそこまで馬鹿ではなかった。

 固定電話に雑音が聞こえる、テレビを見ている時にノイズが走る、今まで聞けていたラジオに雑音が多くなった、見覚えのないコンセントタップがあったなどの違和感から調べて発見した。

「もうこれ以上、須藤の言いなりになってたまるか!」

 桃太郎は怒鳴り声を上げた。

 3人がいるのはモスクワだ。

 北緯55度45分、東経37度37分に位置する。市の中心をモスクワ川が蛇行しながら流れる。市域面積は2,511平方キロメートルに達する。植生的には北の針葉樹林帯と南の混合樹林帯との接点に位置する。土壌はポドゾルが主で、肥沃ではない。

 ロシアがウクライナを攻めたことにより各国で物価が高騰した。

 蛍は100歳のホームレス、鵺崎冬吉ぬえざきふゆきちを蛟で利根川の河川敷で斬り殺して1935年にタイムスリップして、大日本帝国陸軍に所属し米軍を倒し、広島や長崎に核が落ちるのを防ぎ、日本を勝利に導いた。高齢女性を防空壕内で蛟で斬り殺し元の時代に戻ってくると大日本帝国に変わっており、須藤はさらなる権力者となっていた。アメリカは日本の植民地と化していた。


 蛍たちは赤の広場に立っていた。

「赤」はソビエト連邦の社会主義に起因するものではなく、元々ロシア語では「美しい」という意味もあり、広場の名前は本来「美しい広場」というものであった。広場は北西から南東に長く、南西側にはスターリンやブレジネフ、アンドロポフなどのソ連指導者の他、ガガーリン、片山潜などが眠るクレムリンの城壁とその中の大統領官邸、城壁に接しているレーニンの遺体が保存展示されているレーニン廟および重要人物が埋葬されているクレムリンの壁墓所、北東側にはグム百貨店、北西端には国立歴史博物館とヴァスクレセンスキー門、南東端には葱坊主の屋根の聖ワシリイ大聖堂と処刑場・布告台だったロブノエ・メストがある。


 ピョートルを見つけた。氷室がアサルトライフルで彼を始末した。ピョートルが死ぬと骸骨モンスター、コシチェイが現れた!

 桃太郎は針を卵の中から見つけた。

 その卵をアヒルの中から見つけたのは氷室で、アヒルをウサギの中から見つけたのは蛍で、そのウサギは鉄の箱の中から見つけたのは氷室で、鉄の箱を緑のオークの樹の下から見つけたのは桃太郎だった。オークの樹は大洋に浮かぶブヤンの島にあった。


 箱を掘り出し、開くとウサギが逃げ出した。氷室がウサギを殺すと、アヒルが出てきて飛び去った。

 蛍は卵を手に入れ、コシチェイを操って須藤を殺した。

「今まで俺たちをコケにした報いだ」

 ニュース速報で須藤の死を知った桃太郎は鼻で笑った。

 コシチェイは弱りはじめて病気になり、魔力を失った。卵を揺するとコシチェイも自身の意思に反して揺さぶられる、針が折れてとコシチェイは死んだ。

 

 須藤がいなくなり、日本に平和が訪れた。

 浅井壱太が須藤の後任になった。

「須藤を殺したのはおまえなんだから、本来はおまえが主になるべきだ」

 長野大学の食堂で缶コーヒーを飲みながら桃太郎が言った。

「前にも言ったが、俺にはゲームクリエイターになるって夢があるんだ」

「頑張れよ。明日から冬休みだな」

 須藤もいなくなったことだし、思う存分睦月を愛せる。

 学校を出ると粉雪が舞い始めた。蛍は腕時計を見た。

「もう、17時か」

 コンビニの前までやって来ると二口女が現れた。

「気味が悪いな」

 どことなく、行方不明になってる伊織に似ていた。

 桃太郎はスキンヘッドに髪型を変えていたのでM字魔法はもう使えなかった。

「蛟は持ってこなかったのか?」と、桃太郎。

「大学に刀なんて持っていったら通報されるからな。こうなりゃ奥の手だ!」

 蛍は桃太郎の尻を蹴った。

 桃太郎は口から火炎を放射して二口女を焼き殺した。

 突如、蛍のスマホが鳴った。

「あれ、睦月からだ」

 スマホを耳に当てると、『彼女を預かった』と男の声がした。

「おまえは誰だ!?」

『そんなものはいい。彼女を殺されたくなかったら19時までに筑波山神社近くの廃墟に来い』

 心霊スポットとしても名高いラブホテル跡だ。


 犯人は金を要求しなかった。何が狙いなんだ?

 バスの最後部席で蛍は考え込んでいた。

「武器を取りに帰った方がよかったんじゃないのか?」

 隣で桃太郎が言った。

「そんな時間はない」

 蛍は窓の外を見た。雪はどんどん酷くなっていた。見通しが悪いのかバスはやたら遅い。

「もっと早く走れないのか?」

 桃太郎が運転手に向かって責め口調で言った。

「霧が酷いからねぇ」

 蛍は腕時計を見た。残り20分しかない。

 漸く、目的地に到着した。

 関東平野北東部、茨城県南西にそびえる筑波山を神体山として祀る神社であり、主要社殿は次の3箇所に形成されている。


 筑波山は西峰・東峰からなる双耳峰であり、筑波山神社本殿はその両山頂に1棟ずつ鎮座している。境内は広大で、筑波山南面の海抜270メートルの線(拝殿)以上を社地とし、その面積はおよそ354ヘクタールにも及ぶ。


 南面中腹にある拝殿周辺には、門前町が形成されている。一般に「筑波山神社」という場合は、この拝殿周辺を指すことが多い。拝殿の西には筑波観光鉄道の筑波山ケーブルカーの宮脇駅があるほか、登山口も設けられており、参拝客のみならず登山客によっても賑わいを見せている。


 ホワイトアウトが発生し、視界は真っ白だ。

「こりゃ、帰りのバスは来ないかもな」と、桃太郎。

 ケーブルカーも運休していた。

 廃墟に辿り着いた。フロントにやってくると、いきなり銃弾が飛んできて桃太郎が被弾した。胸の辺りを撃たれ、血を流して瀕死の重傷だ。

「桃太郎!」

 蛍が腹の底から叫んだ。

 モシンナガンの弾が切れたので薔薇男は『氷結』の魔法を使えなくなった。だが、廃墟に不法侵入してるので透明モードだ。

「どこにいやがる!!」

 蛍の腹から突如、血が溢れた。

「パパの仇だ」

 薔薇男はダガーナイフで蛍を何度も刺してトドメを刺した。

 薔薇男は殺人を犯すとで地震が起こせることが出来た。

 これまでもロシアや中国で地震を発生させた。

 今回はアフガニスタンを地震で壊滅させた。

「弱い者が歯向かうとこうなるんだ」

 薔薇男は虫の息の桃太郎の背中をブーツで踏みつけ、冥府へ送った。

 あまりの恐怖感から睦月は薔薇男に逆らえなくなり、結婚するに至った。

 

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