Ⅶ 寂しさの中で
夕暮れ迫る公園に着くとそこに二人の女の子の霊が遊んでいた。幸いにも二人の霊以外、他の霊の姿も生きている人の姿も見当たらなかった。Sさんは
僕は琴音ちゃんに〝お母さんが探しているのでお母さんの元に帰らないかい?〟と優しく語りかけた。続けて〝その為には琴音ちゃんの体がどこにあるのか教えて欲しいんだけど…〟そこまで話したところであかりちゃんの霊に異変が起きた。そのシルエットが膨らむと同時に辺りが暗くなる。
Sさんは肩で息をしながら〝ごめんね手荒なことして〟というと額の前にかざした手を静かに下ろした。僕は恐る恐るあかりさんに琴音ちゃんのお母さんが必死になって琴音ちゃんを探している事、そして琴音ちゃんの遺体が見つからない限り、お母さんは気持ちの整理をつけられず、ずっと探索が続くであろうことを説明した。あかりさんの反応が無い中、僕はあかりさんにお願いした。〝琴音ちゃんをお母さんの元に返したい、だから琴音ちゃんから遺体のありかを聞きたい〟と。
あかりさんは僕の願いを聞き終えると目線を私から外して遠くを見ていた。色々と考えを巡らしているのかそれとも自分の気持ちの整理をつけているの、その表情から読み取ることは出来なかったがゆっくりと琴音ちゃんに向き直ると一言〝お母さんに会いたい?〟と聞いた。琴音ちゃんは少しの間あかりさん見ていた。あかりさんは慈愛に満ちたとても優しい笑顔を浮かべていた。その表情を見て琴音ちゃんは安心したのかポツリと〝お母さんに会いたい〟と答えた。するとあかりさんは琴音ちゃんに近づくとしゃがんで抱きしめた。そして抱きしめながら〝ごめんねお姉ちゃん寂しくて〟と繰り返した。
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