◆登場人物紹介/まとめ③

※ラストまでのネタバレを含みます。ご了承下さい。



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◆カイル

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 獣人の灰狼族かいろうぞくの若き族長 リリアンの三つ子の兄


 種族:狼獣人(灰狼族)/男性

 年齢:(物語終了時)16歳

 外見:銀髪、銀狼の耳と尾


 * * *


 リリアンと一緒に幼少の頃から鍛えていた為、他の狼獣人より戦闘力が高い。本来ならば一族で一番強い者(=リリアン)が族長になるが、リリアンが自由でいられる為に自らが族長になった。

 物語後半でデニスたちと一緒に古龍エンシェントドラゴン爺様じいさまのシゴキを受けた為、最終的には獣人で一番の実力を持つ事になった(※リリアンは獣人ではない)。


 獣人たちの長として皆をまとめあげる立場になったカイルは、リリアンやデニスたちのつてから人間の国の王族たち、冒険者たちとも交友を持つようになる。その流れから、今まで控えめだった獣人たちと人間たちとの交流をも大きく広げる事となった。

 ちなみに、最高位魔獣でもある聖獣たち、全てと繋がりを持った獣人の長は、前にも後にもカイルだけである。


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 おそらく「リリアン」の一番の理解者。彼女の前世を知っても、あくまで「妹」として扱い、愛しんでいる(が、シスコン気味)。

 もう一人の妹(イリス)もちゃんと可愛がっているが、大人しいイリスと違って、リリアンは活動的で何をしでかすかわからない&集落を出ていって一人で暮らしているので、余計に心配が尽きないらしい。

 今のリリアンの性格などは、カイルをはじめとする家族の愛情によるものが大きい。




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◆タングス

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 仙狐せんこ兄妹の兄。3本の尾を持つ白い狐。17歳(物語終了時)。

 人狐の姿に化ける時には20歳前後の青年になる。


 ギヴリスに仕える聖獣の一種、九尾の息子で、次代の九尾ナインテール

  子狐の頃に母を亡くし、リリアンの前世と出会った。数日間、親の代わりに付き添ってくれた前・討伐隊の一行を、兄姉と呼んで慕っている。

 リリアン(アシュリー)に甘えたいけれど恥ずかしいので、甘える時は狐の姿に戻る。


 元気で素直でおっちょこちょいの妹をカバーする穏やかな兄。でも実はその兄も意外に甘えん坊。

 幼い頃に母親を亡くし、前・討伐隊の一行と別れてからは、聖獣仲間の古龍、鳳凰ほうおう、ドリーに支えられてはいたが、基本は兄妹二人だけで生活していた。

 孤独を好むのではなく、むしろ人との関わりを好む性格のようで、寂しい故の甘えん坊なのだろう。

 アシュリーの死と転生を知って、リリアンに会える事を心待ちにしていた。


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◆シャーメ

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 仙狐兄妹の妹。同じく3本の尾を持つ白狐。17歳(物語終了時)。

 人狐の姿に化ける時には20歳前後の白髪の女性になる。が、中身は実年齢以下(笑)。

 兄タングスと同じく、前・討伐隊一行を慕っている。甘える事に躊躇ちゅうちょはないので、人孤の姿であろうと全力で甘える。


 素直、真っすぐ、せっかち、おっちょこちょい。無邪気な少女のよう。

 兄妹の実年齢はリリアンより1つだけ上だが、見た目はリリアンより大分大人に見える。進化型聖獣である九尾(仙狐)は、その魔力によって見た目が成長する。幼少時に亡くなった母親の尾を1本ずつ貰った魔力の分、実年齢より成長している。


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 先代の九尾が魔族に殺されたところに、前・討伐隊は居合わせた。

 幼い子供を守る九尾の姿、傷ついた母にすがって泣く子ら。その光景を見たアシュリーは九尾に回復魔法をかけ、せめてもの親子の別れの時間を作った。

 母親を亡くした子狐たちをあやし、数日だが共に過ごし、一行は子狐たちの兄姉代わりとなった。


 アシュリーの生まれ変わりであるリリアンと再会し、リリアンたちの修業や魔王討伐の下調べに力を貸す。

 魔王討伐後、古龍の爺様のところで修業をする事になったデニスと一緒に暮らす様になり、シャーメは古龍を継いだデニスのつがいとなった。


 * * *


 ちなみに、アシュリーを失い旅に出たシアンは、仙狐たちの住処にも訪れて、そこでまた兄妹としばらく過ごしている。

 その時に、兄妹はアシュリーがリリアンとして生をけている事を知っていたが、禁じられていた為その事をシアンに告げることはできなかった。しかし再びアシュリーとシアンが出会えるように、シアンが立ち直れるようにと、彼らなりに元気付けていた(ただ甘えまくって、振り回していただけかもしれないが)。




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◆ケヴィン

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 シルディス国の先代の王で、過去の魔王討伐隊の英雄。ニコラスの祖父。


 二代前の討伐隊の王族の英雄。当時の勇者(カナエ)と想い合っていたが、気持ちを伝える事はできなかった。

 表向きは王の座を退いて隠居してはいるが、精鋭揃いの第二騎士団を配下に置き、現国王の不足や不手際をカバーしている。実質は今でもそれなりの権限を持っている。

 魔王討伐隊に関しては『先々代討伐隊リーダー』として比較的大きな決定権を持っており、その権限を使ってシアンを顧問役に任命している。


 親バカならぬ爺バカな先王だが、だからと言って孫を依怙贔屓えこひいきする事はせず、等しく可愛がっている。のだが、ニールに対しては「他の孫と違って、町中でつつましい生活(※庶民基準ではあまりつつましくはない)を送っている分、仕送りなどしてやらないと」と大義名分を付けて、色々と張り切っている面もあるらしい。

 元『英雄』として冒険者たちと旅をした経験があるからか、今の国王に比べると庶民に対してもあまり壁を作らないラフな性格。

 リリアンやシアンにも元討伐隊仲間(代は違うが)として、肩肘をはらずに接することを求めている。

 リリアンたちの事情や秘密を知りながらも、それを周りに明かす事はせず、魔王討伐後は逆にその伝を使って他国への繋がりを広げる基盤を作った。


 * * *


 実は討伐隊としての旅が楽しかったので、また冒険者体験してみたいくらいの事を思っており、シアンが『変姿の魔法石』で竜の仔に化けた時には、自分も魔法石で姿を変えて冒険に同行できないかとリリアンに打診している。当然却下されているが、おそらく魔王を討伐して後に、こっそりと獣人の国などに連れて行ってもらっている。



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◆赤石 真(マコト)

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 神の国(日本)から召喚された、今回の『勇者』。そして初代の『勇者』でもある。


 種族:人間(転移で連れてこられた日本人)/男性

 年齢:(物語終了時)25歳

 職業:ゲームプロデューサー

 外見:黒髪ショートカット、黒い瞳、中性的な容姿


 * * *


 真が偶然からこの世界に転移させられたのは、まだ彼が学生の頃だった。

 一番最初に召喚された理由は、彼の中に女神の魂が一番濃く混ざっていたからだ。その為、彼にはわずかだが女神の記憶もあり、意思も感じることができた。

 女神の望みは『ギヴリスの望み(=この世界の人間たちを救いたい)を叶えたい』、そして『この世界に戻りたい』。それらを叶える為に、真はこの世界に勇者召喚と、ゲームに似た設定を作り上げた。


 初代の勇者としての務めを果たし日本に戻った真は、この経験と知識を生かし、ファンタジー世界の設定と、その世界観を使ったゲームを作り上げ、そのゲームは世界中で大ヒットを遂げる。

 有名ゲームのプロデューサーとしてだけでなく、その若さ、そして中性的で魅力ある容姿からも人気を博し、各メディアからはひっぱりだこの状態らしい。多分、生配信とかもしている。


 二度目の転移では、とうとう魔王(=ギヴリスの分身)をいさめ、星の神ギヴリスとの交流を約束し、日本に戻る。

 今は件の人気ゲームで、新しいシナリオを準備中だそうで、最近発表されたPVが話題を呼んでいるらしい。


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 落ち着いているようでそれなりに社交的な一面も見せてはいるが、基本はゲームオタク。

 多くの女神の魂をその身に内包しているため、男性でありながら女性らしい容姿も持っている。そして、今までの勇者の中で唯一、この世界の現状を知っており、色々な形でこの世界に影響を及ぼした。



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◆ジャスパー

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 デニスの後輩冒険者で、『樫の木亭』夫婦の一人息子。

 今回の魔王討伐隊では、前討伐隊のメルヴィンの姿に化け、教会魔法使いの『サポーター』を務めたが、その事実は民衆には知らされていない。


 種族:人間/男性

 年齢:(物語終了時)18歳

 ランク:Cランク(教会の魔法使いとして実力を付けはしたが、冒険者活動をほとんどしていないのでランクは変わらない)

 ジョブ:剣士→魔法使い

 外見:茶の瞳、垂れ目、少し伸ばした濃い茶色の髪を後ろで束ねている。


 * * *


 父親のトムが元Sランクの冒険者だった為、自分にも実力があると慢心し、冒険者としては成功できずに落ちぶれてしまった。居場所の無くなった王都を逃げ出したが、ある事件によりデニスに保護されて王都に戻った。

 自分は冒険者に向いていないと凹んでいたが、マーニャにスカウトされて魔法使いを目指す事になる。元々素質があったようで、魔法の腕はかなり上達した。


 そうして、ジャスパーは魔王討伐隊の一員に、メルヴィンの『偽物』として選ばれた。これは、彼がそれに見合うほどの実力者だったからではない。確かに教会でそれなりの存在力を示すほどに魔法が上達したが、一番の理由は『変姿の魔法』が彼に合ったため、である。「今までの俺は俺じゃなかったんだ」(#119)という思いは、彼の魔力と『変姿の魔法』の相性をより良いものにした。


 魔王を倒し、大教会に戻った彼にはそれなりの地位が約束されている。マーニャや大司教の居なくなった大教会で、彼は神巫女ローザと共に後の始末をする役を充てられている。

 魔法使いとしては尊大な顔をしてみせる彼だが、実際には上からの圧力に弱いので、先王ケヴィンがいい塩梅に手綱をとっている事だろう。


* * *


 普段は気弱そうな雰囲気の平凡な青年だが、自信をつけたり調子にのると、その態度ががらりと強気なものに変わる。

どちらかと言うと、後者が素。上からのお叱りにもとても弱い(笑)

 そして女好き。リリアンのベッドに潜り込み、教会では寄ってきた女性魔法士を片っ端から頂き、討伐隊の旅の途中ではメルヴィンの姿でマーニャとヤりまくっていた。



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◆ウォレス

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 シルディス国の第二王子で、ニールの従兄。国中の女性に人気がある美青年。


 種族:人間 男性

 年齢:(物語終了時)19歳

 外見:金髪、碧玉|(ブルーサファイア)の瞳


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 表では女性からの人気が高いが、その実性格はあまり良くないようだ。また文より武に自信があるようだが、正確には勉強が不得意らしい。

 今回の討伐隊での王族の『サポーター』に任命されたが、その立場に不満を持ち、早々に一行を抜けてしまった。

 その後、自ら騎士団を率いて魔王城に乗り込もうとするが、高位魔族の圧倒的な強さに行く手を阻まれ、あわや全滅するところをリリアンの転移魔法に救われた。

 強制的に王都に返還されたウォレスは、ケヴィンの監視下の元で今は大人しくしているらしい。


 * * *


 先の魔王討伐隊の事を知らず(当時3歳)、父(現国王)がクリストファーを悪しく言うのを真に受けて、その影響でニールを卑下して、嫌がらせのような事をしている。アッシュやクリスが死んだのは、「父を差し置いてクリスが英雄になった所為だ」くらいに吹き込まれている。

 自信家で女好き。女性に執心しているのは一応理由があり、純粋に本人が女性好きなのもあるが、先代の英雄の裏の任務の話(『勇者』を口説き落とす)を父から捻じ曲がった形で聞いた所為もある。『英雄』になるには女性扱いが上手でないといけないと思っている(ので、堂々と女性を口説いているのもある)。




<他、王国キャラ>

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◆アンドレ(アニー)

 魔法使いサマンサが作った、アシュリーの家(現在はリリアンの家)のメイドゴーレム。

 白い長髪を後ろでまとめた、執事姿の男性、またはメイド姿の女性。


 高位魔族がダンジョン周りに目くらましの為に張った、魔力を持った霧(正確には霧のようなもの)で作られているので、その姿を別の者に変える事もできる。男性型(アンドレ)、女性型(呼び方はアニー)が基本。

 前・討伐隊の一行をマスターとして登録されており、一行が家に帰ってこなくなっても、『家を守れ』の命令に従い、家に来るものを排除し続けていた。

 動力源として魔力を必要とする為、侵入者の魔力をドレインして補っていた。さらに霧の体で、薄く見えたり消えたりしていたので、レイスだと思われていた。

 記憶の一部を取り戻したリリアンがこの家を訪れ、アンドレのマスター登録を書き換え、普通のメイドゴーレムに戻った。


 基本形は男性型のアンドレなのだが、アシュリーが魔力を受け渡す姿(口移し。本当は手をかざすだけでもいいが、口移しの方が効率的)を見たシアンが不満を言い、それ以降は命令がなければ女性型のアニーになっている。

 #60で男性型になっていたのは、アンドレ一人で留守番の時は男性の方が安全だから。でもシアンが一緒に住むようになってからは、過去のシアンの希望があるので女性型で居るようにしている。


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◆トム、シェリー

 西地区の人気食堂『樫の木亭』の主人とその奥さん。


 トムは元Sランク冒険者で、相談をすれば先輩よろしくアドバイスをくれる。

 アドバイスといっても具体的な事を言うのではなく、「この事ならあいつに聞いてみろ」などと、先輩冒険者にエールを持って話に行くように促す。

 若手冒険者にとっては、この相談がきっかけになり先輩冒険者達との繋ぎもでき、さらにその若手達がベテランになって、今度は若手達の力になる。

 そんな事を、この主人はもう20年近く続けており、おかげでこの店のある西地区は、冒険者同士の関係も良いし治安も良い。

 そして実はこれらは、冒険者だったアシュリーとシアンが、トムに願って始めた事だった。


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◇マイルズ

 王都シルディス、西の冒険者ギルドのマスター。元は冒険者で、アシュリー、シアンの両人とは冒険者仲間だった。

 頭部が若干薄い(進行中)。


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◇カナリア

 王都シルディス、西の冒険者ギルドの受付嬢。受付嬢歴は5年ほどのベテラン。


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◇ロディ

 西地区のパン屋の主人。 デニスの後輩で、足を怪我して冒険者を引退し、パン屋になった。

 彼のパン屋は冒険者たちの御用達で、弁当用のサンドイッチも好評。デニスが朝子供たちに配るパンもこの店のもの。ちなみにランチ営業もしている。


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◇マーカス

 西地区の肉屋。冒険者たちからの獲物の解体も請け負っている。燻製くんせい作りがうまい。

 『樫の木亭』とも深い付き合いがあり、アシュリー、シアンも冒険者だった頃には彼の店によく世話になっていた。


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◇ラーシュ

 獅子の獣人で、王都の西ギルドに所属する冒険者。金獅子族の戦士レオーネの従兄弟でもある。


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◆ルーファス

 シルディス国の第一王子で、ニールの従兄。弟とは違って、常識のある人格者。27歳(物語終了時)。

 弟と同じく国での女性からは人気があり、「ルーファス様派」「ウォレス様派」の言葉がある程。

 先の魔王復活の時にはそこそこ分別が付く年齢(11歳)だったので、クリスの事も誤解はしていない。が、父にもとくには立てつかないし、弟を諫める事はしても、考えを変えさせようとまでは思っていない(争いなどを好まない性格の所為もある)。


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◇ローザ

 シルディス教会の神巫女で、金髪、紫水晶の瞳のエルフ。

 先代神巫女マーガレット(二代目神巫女マリー)の娘の一人。




<他、他国キャラ>

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◆ゴードン

 ドワーフの国ミーテの町に住む鍛冶師で、壮年のドワーフ。

 先代勇者一行の聖剣を打った鍛冶師でもある。

 武器を持つ者の腕と、その者が使った武器を見ることで、武器の扱いかたや癖を見抜き、それを踏まえて武器を作るスゴ腕の鍛冶師。物語序盤から、リリアンは何度か彼の元を訪れている。

 今の討伐隊の一行がゴードンのもとを訪れた時、彼はメルヴィンが本物でないことを見抜いた。同様に、リリアンがアシュリーと同じである事も最初の時に見抜いていたはずだ。

 彼はそれを明かさぬ事も含めて、リリアンを受け入れた。


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◇イリス

 灰狼族かいろうぞくの巫女でリリアンの三つ子の姉。銀髪、銀狼の耳と尾をもつ少女。

 おっとりマイペース系。

 兄のカイルと同じく、幼少の頃からリリアンの鍛練に付き合っていた。肉体系の鍛錬に付き合ったカイルと違い、魔力系の鍛錬に付き合っていたので、獣人にしては魔力が高い。

 積極的にリリアンに言葉をかけ、寄り添おうとするカイルと違って、ただ黙ってリリアンのそばに居る事で彼女を支える優しい姉。


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◇デビット

 ワーレンの町冒険者ギルドマスター。

 自身もAランクの剣士(田舎町に居つくSランク冒険者はほぼ居ないので、Aランクがその町最高位の冒険者であることは珍しくはない)。


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◇Bランク冒険者パーティー

 ・ザック…リーダーで剣士。黒髪で、いかにも戦士風のがっしりとした体躯の男性。

 ・リタ…剣士。長めの赤い巻き毛の長身の女性。ザックの恋人。

 ・アンナ…アッシュブロンドでロングの髪の女魔法使い。回復魔法や補助魔法が得意。


 ・ビリー…

  アッシュブロンドで短髪のボウガン使い。アンナの弟で、年はリリアンより少し上。

  ザックの元カノ(気の強い系獣人)の影響で、獣人女性が苦手だったが、リリアンとの出会いで克服。むしろ目覚めてケモ耳っ娘スキーに進化する。

  リリアンたちが魔王討伐した後、リリアンから聞き出した体験談を姉アンナの協力のもと小説化し、大ヒットする。

  リリアンファンクラブ副会長を名乗っており、シアンに嫌がられるかと思いきや、「下手なヤツが名乗るよりいいだろう」と公式に許可を得ている(その時にシアンの機嫌がよかった理由に、先述の小説があったらしい/会長はシアンという名目になっているが、実質の長はビリーが務めている)。


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◇エメリヤ

 金狐族きんこぞくの族長、金髪、金の瞳の壮年の男性。

 ミリアの父親だが、本当はミリアが生きている事を彼は知らない。


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◇ベルトルド

 金獅子族きんじしぞくの長。体つきのがっしりとした戦士。戦闘狂。

 4人の妻、10人以上の子供がいる。


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◇レオーネ

 金獅子族の戦士。獅子人にしてはめずらしく、しなやかな体躯を持つ戦士。


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◇コニー

 金獅子族の長の子の一人。

 『獣使い』スキルを持っていなかった為に、山に捨てられたところを、鳳凰ほうおうの娘ティルダに救われる。

 鳳凰から『獣使い』スキルを付与され、一族のもとに帰された。現在はレオーネのもとで戦士の修業をしている。

 ティルダとは、その後つがいとなる。




<他、神関係>

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◆ギヴリス

 この物語の舞台となる星を司る神。

 獣人たちには『黒の森の王』と呼ばれ、ドワーフには『山の神』として信仰を受けている。


 長い黒髪を持つ長身の、穏やかな男性。

 死に掛けのアシュリーをリリアンとして転生させ、助手のドリーを通じてリリアンに力を与えた。

 彼の本体は魔族の研究所に捕らえられており、意識体だけでの活動をすることが出来る(制限が多く、自由に出来るほどではない)。

 何百年の昔、もう長くはない身であった恋人を、本人の望みにより自らの手で殺している。

 おしゃべりでお菓子が好き。歌はそんなに上手ではない。


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◆シルディス

 ギヴリスの対となる女神で、『日本(地球)』を司る神でもある。

 この世界の人間からは『大地と豊穣の女神』として、エルフからは『暁光ぎょうこうの母』として信仰を受けている。


 ギヴリスと違って、人間たちに対しては特別な愛情などを注いではいない。

 人間族を救おうとしていたのは、『ギヴリスが望んでいるから』であり、彼の望みを叶える為には『勇者(日本の人間)』を多少犠牲にする事はいとわない。


 おっとりしたギヴリスと対照的にしっかり者タイプ。

 彼女が『勇者』(他)の犠牲を厭わないのは、「全ての事を思うようにすることはできない」という事を知っているから。トロッコ問題で迷わずポイントを切り替えているだけ。



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◆ドリー(ドリフォロス)

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 自称「人ではない、ゴーレムのようなもの」。ギヴリスの助手。

 黒髪で眼鏡を掛け、白衣を着た男性の姿をしている。


 ドリフォロスはギヴリスの助手担当で、主不在の中で聖獣の健康管理や研究所の管理をしている。遠い場所に居るギヴリスと、ある程度連絡を取る事はできる。


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◆サティ(サテライト)

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 ドリーと同じ、神の助手。白髪短髪で白衣を着た女性。

 王都の大教会の奥におり、シルディス神に従っているらしい。

 ドリー曰く「壊れている」そうだが、サティ曰く「主の命令に従っているだけ」。

 人間を卑下している。


 シルディスに仕える事を命令されたサテライトは、主の命に忠実に従った。

 人間に捕らえられ、傷つけられたシルディス。その苦しみから逃そうとシルディスの命を奪ったギヴリス。ギヴリスが持ち去ったシルディスの遺骸は、再び王都に戻され、人間の手によって分解され、人間たちの中に取り込まれていった。

 サテライトは主の命通りに、ただシルディスに付き従い、そしてシルディスの一部を有する人間にも従った。


 勇者の転移、任務を終えた英雄たちの記憶の操作を行ったのはサテライトである。しかし、彼女のそういった行動を、シルディスはあえて止めなかった。


 * * *


 ドリフォロスとサテライトは、ギヴリスが作った二柱の神の為に働く助手兼使用人のようなもので、生体アンドロイドという表現が一番近い。他の生命体に比べて感情などは薄く、主の命令に従う事を重視する。

 「おはよう」「こんにちは」「さようなら」などの形だけの挨拶はしない。「久しぶり」「では」などの事実に即した言葉は使う。

 ちなみにこの二体には「この世界の月の名前」が充てられている。これはギヴリス自身をこの星そのものとして、助手として側に沿う二体を衛星となぞらえている。シルディスはこの世界の神ではない。


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◆聖獣(最高位魔獣)

 神狼フェンリル古龍エンシェントドラゴン鳳凰ほうおう九尾ナインテール仙狐せんこ

 この世界に住む魔獣の中でも高位の存在。その実はギヴリスが造った魔獣で神の使い(というか、ペット)。人の言語を解し、獣人の姿や他の魔獣の姿に身を変えられる。神秘魔法が使えるが、各自使える魔法と使えない(使わない)魔法とがある。


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神狼フェンリル

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 赤く燃えるような目の、大きな黒狼。

 ギヴリスが、自身の古い遺骸(神の獣)から造った最初の聖獣。しかし、元の神の獣としての荒々しさを制御できず、逃げ出して人間を食い荒らしてしまった為に、封印された。

 後に、ギヴリスは死にかけたアシュリーと出会い、フェンリルを元にして作ったリリアンにアシュリーの魂を移し、生まれ変わらせた。つまり、今のフェンリルはリリアンである。


<裏話>

 序盤から、いくつかリリアンが聖獣の一体である描写をしていました。

 #28)ドリーが聖獣の健康診断をすると言い、「貴女も」とリリアンに言っている。

 #98)タングスが、僕ら聖獣は何か一大事があれば互いにわかるようになっている。でも今はそれがない、と考えている。つまり、「僕ら聖獣」の中にリリアンも入っている。

 #108)ドリーのセリフ「人間と、獣人やエルフやドワーフ、そして貴女方は根本から違う」。貴女=リリアンは、人間でも獣人でもエルフでもドワーフでもないという意味。


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古龍エンシェントドラゴン

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 通称「爺様じいさま」。竜の翼と尾を持つ竜人の姿に化ける時には、白髪の好々爺こうこうやの姿になる。

 若い連中と見るとすぐに稽古をつけたがる、体育会系じーさま。戦闘に長けている。

 最初にリリアンと会った時に、龍の姿で手荒く迎え出たのはわざとやった事(#23でバスクが「アレはやめられんのだろう」と言ったのは、そういう意味)。


 先ずギヴリスが作った魔獣フェンリルは失敗作として封印された。それを踏まえて次に古龍を作る際に、ギヴリスだけでなくシルディスも手を貸している。その為に、聖獣の中で唯一シルディスの魔力も有している。さらにギヴリスの言いつけをきっちりとは守らず、比較的自由にすごしているのはその所為もある。


 自由人ではあるが、お節介で世話好きでもある。

 アシュリーを失ったシアンが落ち込んでいた時には、自分の屋敷に連れて行って特訓させた。毎日ガッツリ鍛えて、美味しいご飯を食べて、ぐっすり休んで。シアンは落ち込んでいる間もなく健康的な生活を送らされていた。


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鳳凰ほうおう

 五色に光る羽根を持つ大きな鳥。魔法が得意。

 ・バスク…五色に光る羽根を持つ、鳳凰の長。魔法に長けている。

 ・シュティス…バスクの妻

 ・ティルダ…バスクの娘。金獅子族の子供コニーと仲が良い。


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九尾ナインテール仙狐せんこ

 九つの尾を持つ、白毛の狐。幼い頃は尾は一本で、成長し魔力が高まる毎に尾の本数が増えていく、進化型魔獣。尾の本数が九つに満たない未成体を仙狐と呼ぶ。

 先代の九尾は15年前に魔族に殺され、魔力の籠ったその尾を二人の子狐と魔王討伐隊の一行に託した。

 (※先述の仙狐兄妹の項を参照)


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◆高位魔族

 魔王(星の神ギヴリスの分身)が生み出した、眷属けんぞくたち。

 魔王を父と崇め、また魔王の命がこの星の命そのものであることを知っていた。彼らは魔王の為に女神の遺骸を取り返そうとしていただけだった。

 彼らがしようとしていた事は『人間を滅ぼす』事ではなく、『この星を救う』事だった。


 ・ビフロス…魔王配下の上位魔族の一人。黒いローブ姿に禍々しい仮面をつけており、魔法に長けているだけでなく魔獣を召喚して操る。16年前にアシュリーが捕らわれた時に戦っていた相手。

 ・マルクス…魔王配下の上位魔族の一人。10歳程度の少年の姿をしていて、ダンジョンなど物を作る力に長けている。戦闘は苦手。王都で薬売りをしているときにニールと親しくなった。

 ・ルシアス…魔王配下の上位魔族の一人。戦闘に長けていて、黒い鎧を着た戦士の姿をしている。16年前、九尾を殺した。

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