彼女は一人だけですよ?
氷雨業
第1話 隣の席の美少女
4月1日春 新学期のスタートの季節
俺、
変な意味での興奮ではない。
わけがわからなく頭が熱くなりすぎているのだ。
「あ、あの~?」
「……」
「僕の顔に何かついてます?」
「え、あ、ああごめんなさい!そんなつもりで見てたわけではなくて」
そりゃ、困惑もする。晴れて高校二年生になったクラスで隣になった学年一可愛いと言われている彼女こと
――話は戻り花園絵梨佳とかいう美少女がこっちを見つめていたのでつい話しかけてしまった。
でも、しょうがないじゃん。あんなかわいい顔で見られたら照れるし恥ずかしいし……
そんな時、花園が口を開いた。
「あなたが要君ね!」
お、俺の名前を知ってる!?
いや、新クラスとはいえ隣の席ならさっき名前を覚えたのかな
でも、あなたがって言ってたような
「お、俺のこと知ってるの?」
「知ってるも何も有名人じゃない!」
「ふぇ?」
俺が有名人?そんなわけあるか陰キャ極めて日が長い俺だぞ有名人なわけあるか
いや、待てよ悪い意味での有名人という可能性もあるのか
めっちゃ悪口とか言われてんのかな……泣きそうや
「俺が有名人?そんなわけないよ」
そう笑って言い返した
「いやいや、あなた1年生の頃の学年末テストで1位とってたじゃない」
あー、そういえばあったなそんなこと
俺の通う花垣高校は、偏差値60を超える所謂頭のいい学校なのだがその学校の学年末テストで1位を取ったのが俺だ。
うちの学校では、3学期の学年末のみ3位までの人の名前が公表される仕組みとなっている。一応、公表する前に出していいかなどの許可を取る必要はある。
個人情報だからね。
というわけで名を馳せたわけだが大抵の生徒は興味がないだろう。
だからこそ、なぜ花園が俺に興味をもつのか分からなかった。
「ねえ、要君!お願いがあるの!」
「な、なに?」
「私に勉強を教えてほしいの!」
なるほど勉強か……てっきり俺のことが……
いや、やめよう過去に盛大に失恋してから『好き』がわからなくなった。
中学時代の暗黒期を思い出しつつ俺は口を開いた。
「んー、花園さんには悪いけど俺は人に教えられるほどじゃないよ」
「!? な、なんで! あなたは学年で1位を取った人なのよね?
すごく頭がいいってことでしょ?」
「うん、まあそうなんだけどさ……俺、女子にはちょっと苦い思い出があって……」
「……」
あ、悲しそうな顔しないで
申し訳なくなる……
急に顔をうつむけたと思ったらバッと顔を近づけてきた
「ど、どうしてもだめ……?」
「……」
か、かわいい
しかも顔近いしやめてくれ好きになりそう
「あ! じゃあ、交換条件でいきましょう! 私が勉強を教えてもらう代わりにあなたに女性に慣れるよう術を教えるわ!」
「女性に慣れる……術……」
なんだそれ、よろしくやらせてもらうのだろうか
いやいや何思ってるんだ俺
断ろう、うん断るんだ俺
「じゃあ、そのじょうけんでよろしくお願いします」
「ありがとう! こちらこそよろしく春道君!」
こうして俺と花園の何気ない日々が始まった。
「とりあえず、連絡先教えて?」
「う、うん」
母親以外で初めの女性の連絡先をゲットしたのだった。
続く
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