第1章 ③
転校生:雪坂達也
が俺のクラスに来て4日立った。
「転校生居る?」
「あー、居ないよ」
「なんだ~。残念」
別クラスの女子たちが転校生を見に、俺のクラスに来ることが多くなった。
その様子を少し離れた場所で見る俺と亮と直哉。不意に直哉が言った。
「なんかさー」
「ん?」
「…雪坂ファン増えたよな」
「…ああ」
「まあ、仕方ないだろ。あいつかなりのイケメンだしさ」
「当の本人はどこにも居ないけどな」
雪坂は学校に来たり来なかったり。来たとしても授業に出ないこともあった。
「つーかあいつどこに居んの?」
「さあな」
亮の呟きに直哉が答えた。
(あー、もしかして屋上?そういや最初ん時も…)
ひとしきり考え込んだあとに俺は言ってた。
「もしかしたら屋上かも」
「あー…そうかも」
二人は納得したように答えた。
「でもさ」
亮が不安げに言う。
「ん?」
「雪坂…屋上なら先輩大丈夫か?今日先輩ら見掛けたし」
「あ…」
そうだ、先輩だ。しかも今昼休みだ。先輩が居るかもしれない。
「やば!!」
「気付くの遅っっ!」
二人は俺に盛大なツッコミを入れた。
「じゃー、屋上でも行く?」
「え!」
「いや、ちょっとそれは…」
「翔太、喧嘩そこそこだし大丈夫だろ?亮は…まあ何とかなるか」
「直哉、今失礼なこと言ったね。俺もいけるよ?」
亮が直哉を睨みながら言った。
「さ、行こうぜ」
「無視かよ!」
俺たちは屋上へ行こうとしたが、俺の頭を軽く誰かに叩かれた。
「いてっ!」
「屋上行くところ申し訳ないんだけどさー」
「一ノ瀬」
俺の頭を叩いた人物はクラスの女子生徒の一ノ瀬。スタイルがとてもよろしい。
「なんだよ」
「亮くんと直哉くん、二人とも昼休み委員会じゃなかったっけ?」
「…あー!!」
「しかも委員の担当杉浦でしょ?やばいね」
「……」
「……」
二人の顔がどんどん青ざめていく。
杉浦という先生は厳しくてとても有名。何人泣かされたことか…
「……ごめんな翔太、俺たち行くわ」
「お、おう」
がっくりと肩を落としながら二人は教室を出て行った。
それを俺はなんとも言えない様子で見ていた。
二人とも……ドンマイ
「さ、さーあ。俺は寝るかな」
そう口にし、俺は再び椅子に腰を下ろし机に突っ伏して寝ようとした。
「翔太くん」
名字を呼ばれ、ゆっくり顔を上げると一ノ瀬はまんべんの笑みを浮かべーー
「頑張って雪坂くん連れてきて★」
(ああ、こいつも雪坂ファンか…)
俺は二人と同様、肩をがっくりと落とし騒がしい教室を後にした。
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