第19話
「皆さんお揃いでどうしたんですか?部活の集まりでもありましたっけ?」
中に入ると既に全員が揃っていたため疑問に思い尋ねてしまった。
「ううん、ないよ。もっとみんなと仲良くなりたいなと思って私が呼んだの。」
と部長が応じる。今までそんなことなかったのにいきなりどうしたんだろう。
「なのでこれからはお昼はみんなでここで食べたいと思うんだけどどうかな?」
と続けて彼女は尋ねてきた。
「私は構いませんわ。教室にいるといろいろ話しかけられて面倒ですし。」
九条さんがそう答えた。彼女は容姿端麗でお嬢様であるため、色々下心ある輩が寄ってくるらしい。
「私もいいわよ。」
と飯塚さんも短く答えた。
「俺も大丈夫です。」
彼女達がわざわざ誘ってくれているのなら断る理由はない。
「じゃあ決まりね。用事がない時はここに集まりましょう。それと、文化祭が近づいてきたのだけれど今年はどうする?」
と彼女が聞いてきた。我が校の文化祭は外部の人間も招いて盛大に行われる。部活動でも多くの出し物が催されとても賑わう。そのため、準備もかなり力を入れて行われる。
「去年は何をされたんですか?」
と今年入学してきた九条さんが尋ねる。
「去年は部誌の販売ね。一人一作短編を書いて載せたものを販売していたの。ちなみに一昨年は模擬店を出していたわ。」
と部長が答えた。
「そうね、今年も何かやった方がいいんじゃないかしら。」
と飯塚さんが答えた。それに九条さんも頷く。
「そうね、じゃあ何をしようかしら。っと、もうすぐ昼休みが終わってしまうわね。話の続きは放課後でいいかしら。」
と部長は尋ねる。今日の放課後は薫さんが話があると言っていたな。
「すいません、今日の放課後は薫さんに呼ばれていて…」
と断る。すると周りの空気が一瞬ひりついた気がした。
「そう、それなら仕方ないわね。明日にしましょうか。それと侑士くん、先輩からのアドバイスとしては君を傷つけた人は簡単には信用しない方がいいわよ。傷つけてない人もいるのだから。」
と言った。意味はあまり理解できなかったが、
「わかりました。ありがとうございます。」
とお礼を言って教室に戻る事にした。
教室に向かう途中、飯塚さんが
「部長はああ言ったけど貴方の心のままに向き合いなさい。私達は決して貴方を裏切らないから。」
と声をかけてきた。俺はとりあえずありがとうと伝えておいたが、多くの人に傷つけられた俺は簡単にその言葉を信じることはできなかった。
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