第17話
私には一つ年上の義兄がいる。
兄は私が小学生だった頃に母が再婚した時の連れ子だ。当時、私は優しい彼のことが好きになった。
ただ、思春期に入るにつれて周りの目が変わった。私は周りと比べて明らかに可愛かったし、体の発育も良かった。そのため、男の人からの下卑た視線が怖くなってしまった。近寄ってくる人達は皆んな私の体を見てだった。兄は態度が変わることはなかったが、彼にまでそんな視線を向けられたらと思うととても怖くなり、彼のことを避けるようになった。そんな視線を向けなかったのは、兄を除くと唯一義父だけだった。
時が経っても義兄と気まずい関係のままだった。その頃の私は思春期と反抗期を拗らせて、義兄に強く当たってしまっていた。私はますます男の人が怖くなっていた。だから、付き合うなら彼しか考えられなかった。彼は変わらず接してくれていた。けれど恥ずかしさや彼にも同じような視線を向けられるのではという恐怖で仲良くしたい本心とは裏腹な行動ばかりとっていた。けれどいつか仲直り出来るのだろうと漠然と思っていた。
そんな日は来なかった。あの事故が起きて私は唯一安心できる男性である義父を亡くし、パニックになって彼を責めてしまった。彼も傷ついているのに、本心とは真逆に出てくる言葉の数々。後悔しても遅かった。
そこからの日々は地獄だった。彼に謝りたいのに、彼にどう思われているかと考えると謝ることが出来なかった。彼にもし拒絶されたら、彼に嫌いと言われたら。唯一好きと言える男性にそう言われる事が怖くて私は動く事ができなかった。
こうしているうちに、彼の方が私を明らかに避けるようになった。それが、私のことを気遣ってだという事が感じられた。ひどい事を言ったのにそれでも私を心配してくれる彼をますます好きになった。私は彼に拒絶されてもいいから謝ろうの決心した。それなのに、彼に避けられているため、謝ることは出来なかった。
そのままずるずると時だけが過ぎていった。彼には依然として謝る事ができていなかった。ある日、彼の様子がおかしかった。私は彼が傷ついているならそばにいたかった。話を聞きたかった。けれど、これまでの私の態度と彼の優しさが私にそれを許さない。
私はどうすればいいのだろう…
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