第16話

その後、麗華さんと萌乃さんと生徒会室で合流し、手伝いは滞りなく終了した。


「では、お先に失礼します。」


「ああ、お疲れ様。」


「弟君、今日はありがと〜」


俺は頭を一度下げて生徒会室を後にした。



帰り道、食材を買いに商店街に向かう。夕飯の買い出しをしながらアルバイトの募集しているところを見て回る。候補をいくつか見ながら俺は商店街を後にした。


家に帰って夕飯の支度をする。平日は夕飯を作るのは俺の仕事だ。家に住まわせて貰っているのでこれくらいは当たり前だ。家族はまだ誰も帰宅していない。姉の麗華さんは生徒会の後始末、妹の結奈さんは部活、母の陽子さんは仕事だ。夕飯の支度していると彼女達が帰ってきた。食卓を囲んで全員で食べる。


「今日は学校どうだった?」


陽子さんが聞いてくる。


「何も問題ありません。」


おれはいつも通りに答える。彼女は俺が何か問題を起こしていないか心配なのだろう。


「そ、そう。」


その後、食卓を沈黙が支配した。しばらくして、


「そういえば今日の礼を言ってなかったな。いつも手伝ってくれてありがとう。」


と麗華さんがお礼を言ってきた。


「いえ、俺に出来る事でしたらいつでも言ってください。」


そう返して、食器を洗い始めた。その後、食べ終えた家族の分の食器も洗う。俺が家事をするのがこれ家の普通である。他の家族は忙しく、帰ってくるのも遅いので、自然とそうなっていた。もちろん、住まわせていただいているのでなんの異論もない。片付けを終えると自分の部屋へと向かおうとすると、陽子さんが話しかけてきた。


「片付けまでいつもありがとう。辛かったらいつでも言ってね。」


と言って貰ったが俺にはこれくらいしか出来ない。


「いえ、大丈夫です。それでは失礼します。」


そう言って自分の部屋に向かう。家族水入らずの時間を邪魔しても悪いだろう。義妹である結奈さんは男性不信である。その容姿と体型のせいで男から不躾な視線を昔から向けられていたためらしい。おれが近くにいては彼女も休まることがないだろう。迷惑をかけないように出来るだけ関わらないようにし、自分の部屋で、一刻も早く自立できるように勉強をする事にした。途中でアルバイトのことを陽子さんに話忘れたことを思い出したがアルバイト先が見つかったからで良いだろうと思い直し再び机に向かった。

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