第7話

彼の家に着いた私は彼が家から出てくるのを待っていたが、いつもの時間になっても彼は家から出て来ない。もしかして先に行ってしまったのだろうかと思ったが、ギリギリまで待つことにした。


暫くして間に合うかどうかギリギリの時間に彼が家から出て来た。私は昨日の事を謝ろうと彼に声をかけた。そして彼の敬語と恋人ではないと言う言葉に頭が真っ白になり、言い訳ばかりが出てしまい、学校に着いて別れるまで謝罪する事が出来なかった。


席に着くと、周りに人が沢山集まって来た。登校中は必死だった為周りの事に目がいかなかったが、彼と登校して来た為随分目立ってしまったようだ。周りに口々に質問されるのは今は彼との事を考えなければならない為煩わしかったが、無視する訳にもいかなかった為、答えていると冷静になる事が出来た。


そうこうしていると、あのクソ野郎が教室に入って来た。クラスの生徒は口々に挨拶するが、私は無視を決め込んだ。すると向こうから私の方に寄ってきて、


「おはよう薫、昨日のデート楽しかったね。」


などと宣ってきた。周りが囃し立てる中、私は思案する。こいつを潰す為には、ある程度親密な関係で、情報を集めるのが望ましい。だが、彼にこれ以上誤解されたくないし、彼との時間を何より優先したい。


考えを僅かな時間で纏めると


「おはよう田中君。昨日は友達として色々相談に乗ってもらってありがとね。」


と、友達である事を強調して答えておいた。薫と名前呼びされると虫唾が走るが、彼との時間を取り戻す為に我慢である。昨日は私も洋介などと呼んでしまっていた。家に帰ってからイ○ジンで100回程うがいする事になった。

苗字で呼ばれたのが気に障ったのか、それ以上話しかけずにアイツはどこかへ行ってしまった。


授業が始まると彼に今後どのように償うかについて考え始めた。彼は文芸部に所属しているが、活動は自由なので、行動は読めない。私も片時も彼のそばを離れたくない為文芸部に入りたいが、あのクソ野郎を潰すまではバスケ部に入り続けなければいけない。

あいつを潰す方法についても考えなければならない。

私と彼との関係を邪魔するだけで無く、壊したアイツには、二度と社会に出て来れなくなるまで罪を償わせなければならない。

そうして私は先生に当てられるまで思考の海に没していった。

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