第6話

そうこうしているうちに田中がクラスに入ってきた。一瞬こちらに向かって口元を歪めると、次の瞬間には


「皆んなおはよう。」


と、好青年ぶりを発揮してクラスに挨拶していた。嘲笑われたが俺のような存在なら当然だと思い、特に気にする事なく受け入れた。周りが口々に挨拶を返す中、薫の席に向かうと、


「おはよう薫、昨日のデート楽しかったね。」


と言った。


今頃どうでもいいが、昨日のはやはりデートだったのかと納得していると、

薫が友達の所を強調しながら相談だと言い張っていた。恋人との関係を秘密にしたいのか、もしかしたら俺に配慮したのかもしれないが、彼女が本当に好きな人と付き合えばいいと他人事に思っていた。


周りが恋人ではないのか何だと囃し立てる中、俺は、特に興味がなかったので、厄介者扱いされている家を出てこうという計画を立て始めた。

今までは、隣は薫が住んでいたので無理をしてあの家に留まっていたが、もうそんな必要もない。そこで、バイトを始めようかと考え始めた所で先生が来た為考えを中断すると、ある程度真面目に授業を聞き始めた。

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