第2話

翌朝、俺は暗澹とした気分で目が覚めた。

毎朝、途中までは薫と一緒に通っていたけれど今日からはそれも彼女の迷惑になるためなしである。


「おはようございます」


自分の部屋からリビングに向かい、朝食をとる。

義姉妹とは、いつも食事は一緒にはとらない。義姉は、自分が朝食を取る前に出かけている。義妹は自分よりも遅く起きてきて、ギリギリにしか登校しない。

いつもより遅い時間までリビングでゆっくりしていると、


「薫ちゃん待たせてるんじゃないの?」


と、義母である伊藤陽子さんが言ってきた。

陽子さんは今年で35歳になるのに、未だに若く見え、時々姉弟に間違えられるほど若造りである。


「いえ、彼女とは一緒に登校しないことになりました。ですので今日からは1人です。」


「あら、そうなの。何か困ったことでもあったの?」


陽子さんは心配そうな面持ちで聴いてきた。


「いえ、大丈夫です。それでは行ってきます。」


しかし、それは気のせいだろう。彼女が俺を心配するなんてことはあるはずがない。だって俺は家族に嫌われているのだから…






 あれは父が亡くなった時のことだった。

父の日のためにプレゼントを買いに出かけていた俺は気分上々で帰宅の途についた。しかし、家に帰った俺を待っていたのは、プレゼントを渡すはずだった父の死と、家族だと思っていた人達からの罵倒だった。

「父が自分のせいで死んだ」、「お前は家族じゃない」などと言われ、散々に責められた俺は責任を感じ、塞ぎ込んでしまった。今思えばそれもそのはずだ。俺の父親は、結婚する前に、向こうの家族とたくさん親交を深めていたそうだ。しかし、俺が向こうの家族と会ったのは再婚してからだった。なので、向こうの家族からすれば、家族は父親と、向こうの母、姉妹の4人だけで、自分は父親についてきただけの異物なのだろうから…

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