第7話

 二十分後。諦めて、食堂で糖分を摂取していると、なーくんが見るからに肩を落として現れる。

「どうした? そんなしょぼくれて」

「ダメです」首を横に振る。「式典の日は、医学部はまだ試験が終わってないって」

「試験って。医学部、怖ッ! その頃は、もう夏休み期間じゃないのか?」

「理系は総じて文系よりも、長期休暇の期間が短いんですよ。そんなの、常識じゃあないですか」

 当たり前すぎる説教に腹立ち、目の前の机に両こぶしを叩き付ける。

「痛い」「何やってるんですか?」

 なーくんも呆れ返っている。くそう、このちびっこめ。「そうだ」まだ痛みの残るこぶしを今度は手のひらに叩き付ける。

「そう、僕の人生に鶫ちゃんは欠かせない。な、ぜ、な、ら! NO MY WIFE,NO MY LIFEだから☆」

「そうだ! って、『のーまいわいふ、のーまいらいふ』を考えていらっしゃったんですか?」

「阿呆」デコピンをおみまいする。「僕は常日頃から鶫ちゃんへの愛を客観的に証明する準備を着々と重ねてきた。そう、今こそその集大成を成し遂げるべき日が来たのだ。これで、二人の愛は永遠になり、したがって僕はもはやひとりでもひとりぼっちではなくなるのだな」

「何を言っているのか、全く理解できません」「ええい、そんなに冷めた目で先輩を見るな! 哀しくなるだろう」がっしとちびっこなーくんの肩をつかむ。「なんなんですかあ」と見るからに訝しげな顔をする。「つまりだよ、この証明さえ完成すれば、僕は例のpartyに参加可能となるわけだ。どうだ、嬉しいだろう?」「partyにですか?」ぱあっとなーくんの表情が明るくなる。やはり、ちびっこには笑顔だ。本当はもう大学生だけれども。


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