百合仲間を集めて仕返しだ!

 教室で忍さんに一方的に責められた後、私は家に帰った。

制服を脱いでハンガーにかけたあたりで、着信音が鳴る。


…つかさちゃんからだ。【優木さんと何を話したの?】というメッセージ。


正直に話したほうが良いかな? あの件で私は忍さんに対する印象が変わったけど、つかさちゃんは変える必要ないし…。


でも、つかさちゃんに話して楽になりたい気持ちもある。

悩むな~。どうすれば良いんだろう?



教室で忍さん言ってたな。『問題を起こしたら、おしおきする』って。


つかさちゃんが問題を起こすとは思えないけど、知って損することはない。

正直に話しちゃおう。つかさちゃんなら大丈夫でしょ。多分。


【明日、ちゃんと話すよ】


こんなところかな、送信。

入力が面倒だし証拠を残したくないから、明日直接説明した方が安全だね。


忍さんに仕返しするには、つかさちゃんを始めとした百合仲間が必要だ。

1人でできない事は、みんなの力を借りよう。



 次の日、私が登校したらつかさちゃんがいたので、声をかけてから一緒に自販機そばの休憩スペースに向かった。


…良かった。まだ朝早いから、誰もいない。今なら遠慮なく話せるね。

私達は、近場のベンチに腰掛ける。


「それで、昨日何があったの?」

つかさちゃんが私に訊いてくる。


「実は私、優木さんに指でイカされちゃったの。遅刻をしたおしおきって名分で。

……つかさちゃん、信じてくれる?」


私はスカートの上から、下をいじる動作をほんの少しする。

これで、どうイカされたかがわかるはず。


「遅刻をしたおしおき? あの時、私も遅刻したのに…」

つかさちゃんが不思議そうにしている。


「それは私がだからだと思う。優木さん『問題を起こしたら、おしおきする』って言ってたから、つかさちゃん気を付けてね」


「うん……。優木さんがそんな事するなんて…」


私の言う事を、100%信じた訳ではなさそう。

気持ちはわかるけどね。私が逆の立場なら、同じことを言ったかも?



 「私ね、優木さんに仕返ししたいんだ!」

百合仲間のつかさちゃんには、思っていることを素直に言いたい。


「仕返し? そんなことして大丈夫なの?」

つかさちゃんが心配してくれてる。嬉しいな。


「優木さん、スタイルが良いから私1人では無理だね。昨日だって、一方的に責められたし。でも、つかさちゃん達の力を借りられれば、仕返しできると思うんだ」


「つかさちゃん? 莉々ちゃん、私以外の子にもあんな事やったの?」

あんな事というのは、あの時私の家でやった事だろうね。


「ううん。まだ声すらかけてないよ。あんな事をやったのは、つかさちゃんが初めてなの。これから声をかけるつもりだけどね」


「優木さんに仕返しか…。私はちょっと…」


乗り気じゃない、つかさちゃん。当然の反応だよね。

つかさちゃんは、忍さんに何もされてないんだから。


「そう言うのはわかっていたよ。私の正直な気持ちを知ってほしいから、言っただけなんだ。もし、つかさちゃんが優木さんに仕返ししたいと思ったら、私は喜んで力を貸すからね」


「わかったよ」


ここまで言ったんだ。仕返ししたいことがあったら、私に伝えてくれるはず。



 「もうそろそろ教室に戻ろっか」

話したいことは話したから、ここにいる必要はないね。


「そうだね」


私達は立ち上がり、教室に向かった。



次の百合仲間候補は、大人しそうな相川琴音あいかわことねちゃんだ。

彼女もつかさちゃん同様、仕返しをしたがるタイプじゃないけど、仲間は多いほうが良いからね。


よし、そうと決まったら琴音ちゃんを攻略するぞ!

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