第7話 前世の二人のエンディング
ザナディス工藤が満足そうに目をすがめた。あごに手をやる。
立ち姿が実に
(まさに”
「もう使いこなしているな。……貴様は驚くほど脳みそが足りんが、能力と学習速度のハイピッチぶりは勇者そのものだ。」
「……おい。中盤、口に出す必要あったか?
他人への思いやりが一切ない聖職者とか、需要ゼロだぞ!」
ゼエゼエ肩で息をしながら瑠実が言い返す。だいぶしんどそうだ。こめかみに大粒の汗が浮いている。倒れないだろうか。一色は隣からそっと瑠実の腰に手を回して体を支えた。瑠実がこちらを見上げて嬉しそうに微笑む。
「大丈夫。ありがとう、ユト。……2,000メートル全力疾走直後に似た息切れと倦怠感に襲われてるだけ。休めば回復する。……前世で『固有魔法』使った時はこんな感覚なかったけどなー。」
「
工藤が、瑠実の手で鈍く光る透明な鉱石をじっと眺めた。
「なんだ、それは。」
「ダイヤモンド。」
「ダイヤモンド?!」
驚いて聞き返した一色に、瑠実が握りこぶし大の鉱石をかざして見せた。サラッと爆弾発言する。
「いやー『ゲンコツ級のダイヤ、見たことないなー』って思って、変性させてみた。
研磨してないから輝かないけど。成功したよ。メロンパンと最後まで迷ったけど。」
一色の頭の中でダイヤモンドとメロンパンが手をつないでグルグル踊った。
クラリ、と眩暈を感じる。片手で顔を覆った。
「……石ころから”メロンパン”?あ。可能か。勇者の『光の祝福』は物質構成そのものを180度違うものへ作り変える。”石”を”パン”に変えることも理論的に破綻しない、と。……不遜な話だけど、どっかの新約聖書の神々しいお方の起こした奇跡を彷彿とさせる能力だよね。」
目の前で工藤が深くうなずいた。しみじみ呟く。
「そうだ。この
……考え直すなら、今だぞ?魔王。この世に女はごまんといる。こんなガサツで、暗殺者並みに戦闘慣れしていて、口と手が同時に出るヤバい女でなく、もっと可愛らしいケーキが似合うような女と……」
「固有魔法の話だよな?!さりげなくひとをディスりにくるのやめろ!」
瑠実が目を吊り上げた。ガルル……とうなり声をあげそうな雰囲気で工藤を威嚇する。工藤がフッと笑いながら、降参のポーズで手を上げて首を振った。
「愚かな……ディスっているのではない。事実だ。事実を直視しろ。逃げていては人間的成長は永遠に成し遂げられんぞ。」
「なんだと!」
(……やっぱり仲、いいよね。)
一色は、陰った目をした。不安と嫉妬が胸に渦巻いて止まらない。前世では殺し合う殺伐とした間柄だったが、現代で再会したルビィとザナディスはいやに息が合う口論を繰り広げている。暗い負の感情が急激に膨らむのを抑えきれない。ザナディスに、他の男に彼女を奪られたくない。
(嫌だ。ルビィ、嫌だ。『俺だけ』見てよ!)
思わず隣の瑠実をギュッと腕に抱き込んだ。強く強く。地上を見下ろす陽光から世界からも覆い隠すように、腕の中に最愛のひとを閉じ込める。
怖い。また、目の前で彼女が死んでしまったら?手の届かない遠くへ行ってしまったら?気が狂って、今度こそこの手で世界を滅ぼすかもしれない。『死神神殿』でルビィが死んだ時の光景が思考を塗りつぶした。
(もう死なせたくない……ッ!)
「ユト」
腕の中にいる瑠実が、静かに名前を呼んだ。冷静に一色の様子を観察している。スッと柔らかい両手で頬を大切に包まれた。工藤が怪訝そうに問いかける。
「おい。魔王、どうした?目の光が消えて”闇墜ち”寸前の顔してるぞ。調子が悪いのか?」
「昔からユトは強烈な『猜疑心』と『独占欲』の塊だ。
工藤が無言で眉を上げた。ため息混じりに両腕を組む。
「魔王の『ゾンビ操作魔法』だな。やれやれ。体を腐らされ、ゾンビに変えられるのはごめんだ。」
瑠実が一色の額にそっと自分の額を当てて言った。
「違う。ユトの固有魔法は『ゾンビ操作』じゃない。あれは、戦場で敵の戦意喪失を狙ってわざとやってただけだ。こいつは律儀にも戦闘終了後にはいつもゾンビを”人間”に戻してた。
魔王の固有魔法は、もっと……現代ならまさに”神の使徒”と呼ぶにふさわしい『聖なる』力だ。」
「なに?」
工藤が納得のいかない顔をしている。無理もない。公式ファンブックでも魔王の固有魔法は『対象物の状態を変化させ、自由自在に操る』という記載のみで詳細な説明はない。そしてゲーム内でちょいちょい遭遇する度に魔王は人間や動物を固有魔法で腐乱死体のゾンビに変化させ、操って襲ってくるのだ。至極当然にプレイヤー達の中では『魔王の固有魔法はゾンビ操作』という共通認識ができ上った。
だが、実は違う。勇者と魔王の固有魔法はどちらも最強の攻撃魔法認定されているが、本質は”攻撃”ではない。
(固有魔法を授けたのが『神様』なら)
(生きとし生ける地上の命を救う力を、あえて)
(”選んだ”んだ)
一色の虚ろな瞳を覗き込んで、瑠実は囁いた。言葉に感情を乗せる。
「
背後で工藤が黙って見ている。瑠実は一色の首にしがみついた。耳元で囁く。あえて吐息ボイスにしたのは大サービスだ。
「すきだ。……前世から」
一色の黒い瞳は光を失ったまま、ぼんやり悠久の彼方を見ている。記憶に厳重にしまい込まれた迷宮に迷い込んだ
(『死神神殿』のあの時を思い出しているのか……。)
前世で二人が迎えた悲しい
「お前しか、愛してない。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「来たよ、ユト。」
「待ってたよ。遅かったね。」
女勇者ルビィが、高い位置の崩れた柱の上に腰かけていた魔王ユトをまぶしそうに見上げた。
空を覆いつくす巨大な樹が頭上に生い茂る。ここは朽ちた廃墟。もとは石造りの重厚な神殿が建っていた。魔王城の最上階。濃い緑に覆われた世界。『死神神殿』だ。風が木々の葉を揺らす。生き物はいない。ここは神々が地上に残した数少ない聖地の1つだからだ。少女の温かい焦げ茶色の髪が風にふわりと舞った。
「会いたかった。下りてきて。」
ルビィが頬を染め、愛しさをこめた表情でうっとり両手を広げた。
「抱きしめて、ユト。」
愛を捧げる男に会った可憐な乙女の姿そのものだ。それをユトは高い柱の上から冷淡に見下ろした。嘲るような笑みが浮かんだ。
「他の男の
「いいよ。」
少女がニコッと微笑んだ。右手が腰の剣にかかっている。フッと彼女の姿が地面からかき消えた。瞬時に高く跳躍したルビィが、ユトの背後に現れる。紫電一閃、抜いた長剣を猛スピードで振りかぶる。
ザンッ!
空気が重く振動した。少女の重い剣が魔王の首を狙って鋭い光をひらめかせた。
無表情のまま、少女はユトの首を一閃で斬り落とした。
ビュッ。
斬られた首が宙を飛ぶ。グラッ、と首のない胴体がバランスを崩して柱の上から地面へ不安定に落下した。地面に激突してドシャッと崩れる。
「殺し合いをしに来たんだからな。」
ふふふ。勇者の少女が整った顔をほころばせた。ゆらりと背後を振り向く。
6枚の大きな銀色の翼を広げ、中空に浮かぶ魔王の青年を無情なまなざしで鋭く見た。
「お前と」
青い光が舞って、幻覚魔法がほどけるように解けた。地面に倒れている魔王の死体が、首なしの”天使像”に戻る。
チャキ、とルビィが剣を振って構え直した。全身から殺気が立ち上る。茶褐色の瞳が憎しみに染まった。金色の光をまとわせた長剣を体の横に流し、離れた位置の魔王めざして植物が繁茂する神殿跡の石畳を軽快に走る。タタタタタタタッ!足下で崩れた石畳がガゴッ、ガゴッと悲鳴を上げた。
「覚悟しろ。魔王!貴様の命、私がもらい受ける!」
宙で翼をはためかせた魔王が悲しそうにつぶやいた。
「……信じられない。白教皇の”亡者の息吹”か……よりによって最悪な呪いをかけられたもんだね。女司祭を人質にでも取られた?その呪いは高位の聖職者でないと解除できない。黒教皇亡き今、白教皇本人か両教皇に準ずる高位の大司教でもないと……。」
「ゴチャゴチャと。ハッ。命のやり取りの最中に随分と余裕だな!」
中空に浮かぶユトのほぼ真下へ走ってたどり着いたルビィが長剣を頭上に振り上げ、短い攻撃呪文を詠唱した。剣を包んでいた金色の光がブォンと長剣から剥がれ、長大な三日月型の光の刃と化し、ユトへ襲いかかる。
ユトはその光の刃越しに、深紅の瞳で地上のルビィを見つめていた。身じろぎもしない。
(魔王城の下の階にいる
どうすれば。どうすればルビィの呪いを解除できる?このまま殺し合ったら結末は見えてる。なんて卑劣な罠を、白教皇!)
ユトの1メートル前。襲いかかった三日月の光の刃は絶対零度の氷の壁に弾かれ、キラキラと光の粒子になって飛び散った。動かないユトに焦れ、憎々しげに地上のルビィが叫ぶ。
「なぜ戦わない!私などものの敵ではないと言いたいのか?!……侮られたものだな。後悔させてやる!」
「君とは戦わない。……僕を殺したいなら」
銀髪に深紅の瞳。6枚の銀の翼を羽ばたかせ、麗しい青年は蒼空から地上へ優雅に降り立った。愛する彼女のすぐ目の前に。
儚く微笑む。無抵抗の両手を少女に向かって静かに広げた。
「殺して。いいよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「魔王は、昔の
「ああ。……たぶん、お前が私に”亡者の
「そうか。」
工藤はそれ以上、何も言わなかった。じっと一色を見ている。瑠実は一色を抱きしめ返したまま、そんな工藤を観察した。
不思議なことに現代に転生したザナディスには前世の邪悪さ、禍々しさがない。
憑き物が落ちたように穏やかな気配がする。あの”全世界が私の敵”といった刺々しいオーラはどこへ行ったのか。
「
工藤が瑠実に尋ねた。瑠実はデニムのポケットから純白のボールペンを取り出した。見えるように掲げ、軽く振って見せる。
「長剣のままだと銃刀法に引っかかるから、これに変えた。
……聖十字架剣に戻そうか?お前の”子羊”に返してやるんだろ?」
金髪の美青年は首を振った。青い瞳が息苦しそうに瞬く。虚ろな表情で瑠実にしがみつき泣き続ける一色から視線をゆっくり離すと、横を向いた。
「……魔王に持たせておけ。それには私の固有魔法がかかっている。
それを通じて私にコンタクトを取れる。電話の余裕すらない時は、それで私を呼べ。可能な範囲で力を貸さないでもない。」
瑠実は、驚いて上ずった声を出した。思わず言葉を噛んでしまう。
「ど、どどどうした?お前、そんなキャラじゃないだろうが。なに慈悲深い聖職者みたいなこと言ってるんだ?!」
「詰めるぞ、貴様。『慈悲深い聖職者』そのものだ。」
「『血と殺戮に飢えた悪魔の地上代行者』だと思ってた。……更生したんだな。」
「お前にはやらん。魔王にだ。……言葉もいらんほど”危なっかしい”様子だからな。
この男から目を離すな。しばらくつきっきりでいろ。暮らす家が必要なら用意するが。」
瑠実はプッと噴出した。ハハハ。おかしい。何を言ってるんだ、こいつは。
「いい。……猊下に”同棲部屋”を心配されるとは思いもしなかった。でも」
元勇者の彼女は強い意志に満ちた目で、しっかり金髪の青年実業家を見返した。穏やかに言葉をつむぐ。
「ありがとう。ザナディス。」
元教皇の青年はフン、と不機嫌そうにそっぽを向いた。両手を白いコートのポケットにねじ込む。照れ隠しの動作に見えなくもない。前世からこんな可愛げがあればよかったのに。
瑠実は、純白のボールペンを一色の上着のポケットにスッと入れた。一色はほろほろ涙を流しながらまだ夢うつつの世界をさまよっている。
「……現代で固有魔法を暴発させたり。制御不能になって私達が危難に陥らないか心配して、コンタクトを取ってきたんだろ?
やり方は乱暴でアレだったが。お節介で善良な人間に変わったもんだな、お前も。
マンションの部屋と窓ガラスを修繕してくれたのは助かる。というか……あの業者連中もまさかお前の”子羊”じゃないだろうな?!
この状態では今日はもうレッスンは無理だ。ユトには私から魔法の制御方法を伝える。もし、私達どちらかが真剣に困ったときは力になって欲しい。工藤」
白いコートの青年が肩をすくめる。皮肉な口調で軽く言った。
「よかろう。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ザシュッ。メキメキメキ……。
3枚目の翼を斬られ、へし折られた。もう空は飛べない。飛ぶつもりも、ないけれど。
「口ほどにもないな。”魔王”は名ばかりか?このまま無抵抗で死ぬ気か?
ハハハッ。何を考えている。言い残す言葉があれば」
崩れかけた長い神殿回廊の天井から柔らかい陽の光が頭上に降りそそぐ。シダ植物のチクチクした葉が手にあたった。ユトは
(愛してる。)
逆光で少女の顔の表情が暗くなってよく見えない。出血が多すぎたために眩暈がひどい。死ぬ前に愛するひとの顔を心に焼きつけておきたいのに。
「君のことを考えてた。」
「それが遺言か。」
勇者の少女が長剣を振り上げた。キィィィン。高らかに刃鳴りが響く。とどめを刺すつもりだ。茶褐色の温かい色合いの瞳がドロリと金色に光った。
「滅びろ。永遠に!」
白教皇の操る上級魔法”亡者の息吹”。
『最愛の者を殺し、その死体を目にして自害する』
倫理観の欠片もない腐りきった呪詛魔法である。かなり高位の聖職者しか習得できない悪しき魔法で、その分効果も強く、自力で解除は不可能だ。
だが、この魔法の使用例は歴史書を見ても記載がない。歴代の白教皇や高位聖職者達はあえてこの魔法を避け、習得もしなかった者が多い。神の慈悲に反する魔法だからだ。
(このまま僕を殺したとして、君も死ぬ。
自分の死は怖くないけど、ルビィが死ぬのは……イヤだな。)
ユトは自分に剣を振り下ろすルビィの姿を見ていた。最後まで、絶対に目は閉じなかった。
だからスローモーションのように見ていた。突然彼女の顔が苦悶に歪み、宙をわなないた左手が剣を振るう右手首をガシッと握り締めたのを。
「……逃、ッ~~~!……トッ!」
コォォォォォォォォォッ!
ルビィの左手から紅蓮の炎が一気に花開く。剣を握った少女の右腕がたちまち炎の花びらに包まれた。ルビィが得意な上級火炎魔法だ。通常クラスの魔物なら焼かれた瞬間に消し炭になるほど威力がある。
それでもまだ魔王を殺そうと蠢く自身の右腕を灼熱の業火で焼きながら、ルビィが激しく頭を振って背をしならせた。
「う、あ、あ、あ、あ――ッ!」
苦しみに少女が身悶える。身をさいなむ熱と痛みが、かけられた死の呪いに懸命に抗う。
「な、なんで!」
ユトは目を見開いて地面からガバッと起き上がり、ルビィに駆け寄った。ドォン、と右肩を渾身の力で彼女に蹴り飛ばされた。
ドッと再び地面に倒される。ルビィがキッと険しい目で睨みつけてきた。
「にぃ、げ、ろぉ――ッ!」
目の前で紅蓮の炎にあぶられ炎上する愛しい少女の姿が、じわりといびつに歪む。瞳からとめどなく涙があふれて止まらない。炎が黄金に色彩を変えた。ユトを守るために、ルビィは最上級火炎魔法で自分自身を骨まで焼き尽くす気だ。
なぜ。なぜこんなことに。
(愛してる)
(ただ一緒にいられれば、それだけで僕は)
(よかったのに……!)
ザクッ!ザッ!
炎は少女の全身を飲み込んでいた。金色に燃え盛る炎の中でまだ魔王へ向かう右腕の剣をルビィは自分の胸部へ無理矢理突き刺し、剣の動きを封じようとしている。
見ていられなかった。
「
氷雪系の上級魔法だ。最大出力で放った。激しい氷吹雪が空間を覆い、金色の炎を凍りつかせる。
廃墟の柱も足元の草花も。少女も瞬時に透明な氷に覆われた。氷柱が陽光を反射してキラキラ輝く。立ち上がったユトはフラフラと力なく、凍りついた恋人のもとにたどり着いた。
「ルビィ」
苦痛のあまりボロボロ流した涙が、ルビィの頬で透明な宝石のように凍っている。
数瞬後の死を待つ彼女は、言葉にならないほど美しい氷の女神の彫像に見えた。ユトは氷に守られた少女を抱きしめる。
目と目を合わせて、最期の呪いをかけた。永遠にほどかせない難解な呪いを。
「……遥か昔に大地を荒らした罰として、神々は2頭のドラゴンに呪いをかけた。
創世神話の1頭は人間に、もう1頭は魔族に姿を変えられた。それが僕ときみ……。
だから魔王と勇者は常に
ユトはルビィの冷たい唇に優しくキスをした。
「……会いに行くよ。どこにいても誰といても、人の姿でなくても。必ず君を探し出す。”愛してる”って、また君に伝えるから。だから、だから!
来世で再会したその時は絶対に僕から逃げないで。約束して。逃げたりしたら、僕」
温かい木漏れ日が二人の上で揺れている。樹々が別れを惜しむようにざわめいた。名も知らない誰かにふと、見守られている気がした。ユトが心を絞りだした声音で言った。
「……世界滅ぼしちゃうかもしれない、から。」
薄氷に包まれたルビィが、幸せそうにそっと微笑んだ。静かに少女の左手が上がる。やわい緩やかさで少女が恋人の青年の首に腕を回し、抱きついた。瞼を閉じる。
勇者の少女の命の灯火がまろやかに消えた。ユトは力の限りルビィを抱きしめた。
(少しだけだ。来世で会えるまで、少し離れるだけ)
溶け合うように抱きあう二人の体がグラリ、と傾いで緑の苔なす石畳の上に転がった。魔王の背中の傷だらけの銀色の翼からはらはら羽根が舞う。悼むように守るように、緑の草花が2人の亡骸を優しく受けとめた。
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