第20話 新たな物語
絶望した僕にレオナルドは
「お前の相棒のスライムは復活できるぞ」
と言った。そうだった!!アレックスはまだ、1回死んだばかり……。バイオレンスウイルスを感染させれば、復活させる事が出来る。
「でも、何処にいるの?」
「ここに居るよ」
レオナルドは、瓶に詰められたドロドロの液状の物を僕の前に出した。
「これが……アレックス?」
「お前のスライムの名前、お父さんと同じ名前なのかよ。そうだよ。昨日、ディアボロス帝国から郵送されてきた」
「え!?何で?」
「弱いからじゃねぇか?スライムって最弱だから、俺の元で最強にしてくれとかそんな依頼だった気がするよ」
「ディアボロス帝国から逃げてきたんじゃ……」
「もう場所はバレてるよ……。だから、この国に攻めてくるのも時間の問題だ」
「そうか……」
「このスライムに少量のバイオレンスウイルスを感染させても蘇らせるわ。1ヶ月近くは大丈夫だと思うけど、、ウイルスは徐々に体内で広がっていく。いづれ、凶暴化を起こす事になる。その時にお前は、相棒を倒す事が出来るか?」
相棒を倒す……。デスバトルの時、僕は、無意識のうちにアレックスを殺してしまった。あの時、目の前で倒れたスライムを見て、後悔した。
僕が負ければ良かった。アレックスには、もっといろんな世界を見て欲しかった。勝手に僕について来て、勝手に死ぬなんて……。
もし、蘇生させてしまえば、再びこの後悔を味わないといけない。僕が逃げてしまえば、、アレックスはかつてない強敵として次々に国を破壊してしまうかもしれない。
だって、僕は知っているから。スライムは最強だと。
突然、僕の目の前にアレックスが現れた。あれ?幻想かな……。
「レオン、久しぶりだね」
「アレックスー!!」
アレックスの体は相変わらず、プニプニだった。
「レオナルドと会えて良かったね。僕、もっとレオンと冒険がしたいよ」
その言葉が僕の胸に響く。僕だって冒険はしたい。でも、僕にもう1度アレックスを殺すことは無理だよ。
「無理だよ……」
「凶暴化しても絶対に自分でコントロールしてみせるから。だって、僕は最強のスライムだよ」
「そんなの無理だよ……」
「レオン、僕が相棒で良かったのかな?」
「良いよ。僕にとってアレックスは最高の相棒だよ!!だから、、もっと冒険したい!!」
アレックスは少し笑って、姿を消した。
「レオナルド、アレックスを頼んだよ」
レオナルドは頷いた。それから1時間後、レオナルドが僕の部屋に入ってきた。1匹のスライムを連れて。
……あれ?ここはどこだろう?僕は誰だ?
目が覚めると、目の前にレオンに似た人が立っていた。
「君は誰だ?」
「俺はレオナルド。レオンの兄だよ」
レオンの兄……。レオン……。その言葉を聞いた瞬間、今までの記憶が蘇ってきた。僕は、、デスバトルでレオンに負けて殺されたんだ。
でも、、どうして僕は生きてるんだ?
「レオンが蘇生の石を3つ集めてくれたんだよ」
レオナルドはそう言った。蘇生の石が3つ集まったのか。でも、アリスに使うんじゃ無かったのか?
「アリスは?」
「アリスに蘇生の石は使えないんだ。だから、お前に使う事を決めたんだよ……」
そうだったのか。レオンに会ったら感謝しないといけないな……。
「さあ、レオンの元に行くぞ!!」
久しぶりに体を動かしたからか。スライムの歩き方を完全に忘れていた。上下に体を動かし、少しずつ前に進む。そのスピードにレオナルドも合わせてくれた。
階段を登り、レオンの待つ部屋の扉の前まで来た。
「さあ、行っておいで……」
僕は、扉をすり抜け、部屋の中に入った。
「アレックス!!」
レオンが嬉しそうに僕の体を触り始めた。人間の手触りが気持ち悪く感じる。
「レオン、ありがとう……」
「こちらこそありがとう」
「改めて言うけど、僕の相棒になってくれないか?」
「はい。喜んで」
「アリスを復活させる為に、蘇生術を身につけている最強の魔法使いを探しに行くぞ!!」
「その人は、どこに居るの?」
「分からない」
再び勇者の相棒となったスライム。最弱だと思われているが、勇者もスライム自身も最弱とは思っていない。勇者とスライムの新たな物語が幕を開ける。
この先、勇者とスライムはレベルを上げていく。いづれ、スライムは、モンスターの凶暴化を起こし、勇者の前に最大の敵として現れるが、それはまだ先の話。
ラスボスとしてスライムが現れるその日をお楽しみに……。
異世界転生してスライムになった僕は、勇者の相棒となる!?そして、最弱のスライムがラスボスとして、勇者の前に現れる……。 緑のキツネ @midori-myfriend
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