第19話 不可能
遂にレオナルドとの再会……。蘇生の石について何か知っているかもしれない。アリスを助けるために。レオナルドの研究所の扉の前まで来た。
「レオナルド、久しぶりに会いに来たよ」
扉の奥に聞こえるような大声で言った。しかし、返事が返って来ない。不思議に思い、ドアノブを動かしていると、扉が自動で開いていく。
扉の向こう側には、暗い部屋の中にパソコンが何台も置いてあり、紙の資料が大量に散らばっていた。その部屋にレオナルドの姿は無かった。
「レオナルドー!!」
突然、パソコンが光り始めた。暗闇の中、パソコンの画面だけが輝き始めた。
「久しぶりだな!!」
パソコンの画面からレオナルドは飛び出してきた。パソコンの画面に入れるの!?意味がわからなかった。
そんな事よりも無事に生きてくれていた事、会えた事が嬉しかった。
「ずっと会いたかったよ……」
僕の目に涙が浮かんだ。久しぶりの再会。僕はもう会えないと思っていた。
「俺も会いたかったよ」
レオナルドは僕の方に近づき、ハグをした。レオナルドとハグをするのは何年振りだろうか……。
「話したい事がいっぱいあるんだけど、、」
「俺も沢山話したい事があるよ」
それから1時間、ずっとレオナルドと話した。レオナルドは今、パソコンの中で新たな世界を作っているらしい。モンスターと人間が共存できる世界、ディアボロス帝国のいない平和な世界を目指しているらしい。
そんなことも出来る様になったんだな……。僕は感心して、その話を聞いていた。
「あと、、バイオレンスウイルスって何なの?」
バイオレンスウイルスがモンスターの凶暴化を引き起こすことは知っていたけど、その他のことはあまり知らない。
「バイオレンスウイルスは、死んだモンスターに感染させることで、モンスターの凶暴化を起こすものだ。生きている人間やモンスターに感染させても効果は無い。れおん、デスバトルを知ってるか?」
「知ってるも何も参加させられたよ」
「そうか……。デスバトルで負けたモンスターにバイオレンスウイルスを感染させて、モンスターの凶暴化を起こそうと考えてるんだ」
「でも、人間が負けたらどうするんだよ!!」
「死んだ人間をモンスターに転生させる薬をディアボロス帝国に居た時に作らされたんだ」
モンスターに転生!?
でも、、1つ矛盾点が生じていた。
「アリスがモンスターの凶暴化を起こし、森の中で暴れてしまって、僕が倒したんだけど……。アリスはどうして、バイオレンスウイルスに感染したの?」
「きっと、、アリスは俺たちのお母さんの血を受け継いだのだろう……。お母さんが何者か知らないが」
「今、蘇生の石を集めてるんだけど、どこにあるか分かる?」
レオナルドは下を向いたまま、突然黙り始めた。何か変なこと言ったかな?空気が一気に重くなる。そして、レオナルドから衝撃的な言葉が出された。
「バイオレンスウイルスに感染して亡くなった場合、蘇生の石を使って蘇生させる事は不可能だ。アリスは、もう助からない」
僕は膝から崩れ落ちた。アリス、、。今までのアリスとの記憶が蘇ってきた。僕は泣き暴れた。精神がぶっ壊れた。アリスもスライムのアレックスも失ってしまった……。レオナルドは黙って見つめていた。
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