第18話 メリッサの過去③

1人泣いている男の子にメリッサは優しく声をかけた。


「大丈夫?」


「ううん」


男の子は首を横に振った。全然大丈夫では無い様子だった。


「私の所に来る?毎日が楽しいよ……」


「うん」


私の後を付いてくる男の子。


「君、名前は何て言うの?」


「レオナルド……」


「私は、メリッサ。よろしくね」


「よろしくお願いします」


森の中で色々な話で盛り上がりながら、ディアボロス帝国の城を目指した。ディアボロス帝国の城に入り、ボスの前にレオナルドを連れてきた。


レオナルドは怖がっていた。


「ボス、優秀な人材を1人捕まえてきました」


優秀な人材かどうかは分からないが、保護してきたとは言えない。レオナルド、何か優秀なところを見せてくれ!!


「何ができるんだ?」


「俺は、、研究が大好きです。バイオレンスウイルスってここで開発されたのですか?俺、ずっとバイオレンスウイルスについて研究したくて……」


ディアボロス帝国に入る事を抵抗していると思ったが、そんなに抵抗感は無い様子でメリッサは一安心した。


「採用だ。これから地下の研究所でバイオレンスウイルスについて研究しろ!!月に1回報告しろ」


「はい……」


レオナルドは地下の研究所に閉じ込められてしまった。メリッサはレオナルドを助けてあげたかった。強制労働を強いられているこの帝国から抜け出したい。


メリッサはそう考えていた。レオナルドと手紙でやり取りを行い、遂にディアボロス帝国を出る事を決めた。向かう先は、メリッサの故郷であるエリアントス共和国。そこは、ディアボロス帝国の支配下であるが、少し距離がある為、監視が行っていない。


レオナルドが閉じ込められている研究所の扉を魔術を使って、壊した。


「レオナルド、行くよ!!」


何でこんなにレオナルドを助けたいと思っているのか?メリッサは気づいた。レオナルドに恋をしている事に……。レオナルドといると心臓の音が高鳴ることに。


2人で森の中を全速力で駆け抜けた。でも、逃げ出した事がすぐにバレてしまった。2人の後をバスターが追いかけていた。


バスターに追いかけられたらもう無理だ。そう思っていたが、バスターの足をクリスティーヌが止めてくれた。


「前に進め。早く逃げろ……」


クリスティーヌはそう言っているように思えた。バスターは追いかけて来なくなった。




クリスティーヌ……ごめんね。そう思いながら、森の中を抜け、エリアントス共和国に到着した。少し経って、ボロボロのクリスティーヌがエリアントス共和国にやってきた。


メリッサは魔術で顔と服装を変え、ディアボロス帝国に攻められても大丈夫なようにした。ただ、レオナルドはその魔術をするのを拒んだ。


「俺には、兄弟がいるんだ。その兄弟に会うまでは、顔は変えたく無い」


ディアボロス帝国がこの国にやってきても見つからない場所にレオナルドの身を隠すしか無い。地下の部屋を借り、そこでレオナルドは独自でバイオレンスウイルスの研究を始めた。レオナルドは楽しそうに研究を進めていた。


「メリッサ、この国は快適だな。ありがとう」

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