第13話 鬼ごっこ③

入口付近。


アレックスとジャッキーがディアボロス帝国の幹部と戦いを繰り広げていた。


「アレックス、アリスは心配か?」


ジャッキーがアレックスに声をかけた。


「ああ。心配だ」


「俺がアリスを助けに行こうか?」


「お願い。私は、バスターを食い止める」


「じゃあ。また後で……。生きて会おうな」


「OK」


ジャッキーは空を飛び、森の方に向かった。アリスはこの国中探しても見つからなかった。きっと森の方に居るのかもしれない。


アリスを探して、森の方に向かった。





一方、森の中では、アリスと1人の女性がいた。


「せんせい、まじゅつをもっとおしえて」


「良いよ。雷の魔術を教えてあげよう。まず、雷をイメージして、サンダーショックと言うんだ。やってみて」


アリスの力を込めた魔法の杖は、雷を纏い始めた。そして、木に向かって雷が一直線に伸びていった。


「凄いよ……。やっぱりアリスは天才だよ。2歳でこんな事できる人なんて居ないよ」


「わたし、すごい?」


「凄いよ。時を止める魔術、雷の魔術、炎の魔術、こんなに魔術を使う事がディアボロス帝国にバレたら狙われるかもしれないね」


「でぃあぼろすていこく?」


「この世界を支配しようと考えている悪い奴らだよ」


「わるいやつら、ぶっとばす!!」


「頑張ってね」


急に森の中が暗くなり、不穏な空気が流れ始める。忍び寄る影。1人のモンスターがアリスに近づく。そのモンスターの顔は森の暗さでよく見えない。微かに見える顔。そのモンスターは左目に眼帯を付けていた。


このモンスターの能力だろうか。アリスとモンスターは森の中から一瞬で姿を消した。





「ジャッキー!!助けて」


森の中から聞こえる声。ジャッキーが到着した時には、アリスの魔術の先生しか居なかった。


「アリスが連れて行かれた……」


「遅かったか」


アレックス……ごめんな。アレックスが結婚して、子供ができた時、ジャッキーは自分の子供ができたように喜んだ。


アレックスの妻が産んだ直後にどこかに消えてしまい、1人で3人の子供を育てることになった。その手助けをジャッキーはしていた。


3人ともジャッキーに懐き、ジャッキーとアレックスの強さに憧れていた。


みんなの憧れの存在なのに……。子供1人助けることも出来ない。ジャッキーは森の中で泣き崩れた。





国の中央部。


僕は、レオナルドとの合流を優先した。レオナルドとこの国から早く逃げないと……。


鬼ごっこは既に始まっており、目の前に巨大な鬼のモンスターが現れた。


「レオナルド!!何処にいるの?」


鬼に捕まったら全てが終わる。上手くに逃げながらレオナルドを探さないと……。


僕の視界に鬼は1体見える。戦っても勝てる相手ではない。とにかく、逃げないと。


でも、鬼のスピードは早かった。


僕をロックオンしたのか。僕だけを狙い始めた。こんな鬼ごっこをしている暇なんて無いのに……。


気がつけば、後ろにいたはずの鬼が僕の目の前に来ていた。


「もう終わりだ……」


鬼は、僕を捕まえようと手を近づけてくる。握られてしまえば、一瞬で檻に捕まってしまう。


逃げようと思っても怖くて足が震えていた。僕は、勇者になるのに、、どうしてビビってんだよ。こういう時に戦わないと。


「ソードバスター!!」


誰かの声が聞こえた。斬撃の音が遅れて聞こえてきた。何が起きたか分からなかった。


鬼は倒れていた。僕の目の前に現れたのは、ディアボロス帝国幹部のバスターだった。


「一撃で死ぬなんて弱い奴等だ」


そう言って、鬼の顔の方に近づいて行った。

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