第6話 僕の名前
―エリアントス共和国。世界で1番平和な国だと言われている。人口2000人、モンスター100匹。モンスターと人間が共存する国。ディアボロス帝国の植民地になっているが、あまり監視も攻撃もしてこない。
「エリアントス共和国へようこそ。ここでは、モンスターと人間が共存する社会を目指しています」
アナウンスが国全体に響き渡る。きっと拡声器の魔法を使っているのだろう。
「新しい住民ですか?」
僕達の目の前に1人の女と1匹のキツネみたいなモンスターが現れた。
「僕の兄のレオナルドを探しに来ました」
「レオナルド?聞いた事が無い名前ですね。外だとディアボロス帝国の幹部に見つかってしまう可能性があるので、私達の家に来てください」
キツネみたいなモンスターは僕の近くに来た。
「私は九尾のクリスティーヌ。よろしくお願いします」
九尾……。異世界ゲームの図鑑に書いてあった言葉を思い出した。
――九尾とは、伝説の生き物であり、9つの尾を持つ。尻尾から9つの属性を自由自在に操り、技を繰り出すモンスター。属性の変化は尻尾の色で分かる。
強そうだな。頭上に表示されたレベルは30。やっぱり僕の方が遥かに上だな。
「僕は、、」
ここで僕は重大な事に気がついた。僕の名前って何だっけ?前世では秀太だったけど、、。この世界ではみんな、カタカナを使っている。どんな名前が良いのだろうか。色々と考え始めた。
前世の異世界ゲームでスライムに付けていた名前は、ブルードラゴン。名前で相手を脅かす作戦だ。「ブルードラゴン行けー!!」と言えば、誰しも強いドラゴンが出てくると予想する。
その予想を裏切るようにスライムを出し、奇襲攻撃を仕掛ける作戦。
でも、アリスとかレオンとかクリスティーヌとかみんな、カッコいい名前なのに……。こんなふざけた名前で良いのか。
いや、良くない。もっと良い名前を考えないと。
スライム、スライム……うーん。
その時、頭の中に浮かんだのは、前世で見た異世界アニメのワンシーンだった。
「俺は、最強の勇者、、アレックス。お前を倒してこの世界の頂点に立って見せる、、」
「頂点に立って何をしたいんだ?」
「ハーレムを築き上げる!!」
「自己中な奴め、、」
「俺の名前を覚えて帰れ!!」
今、思い出しても変なアニメだったなあと思う。この話は、最強の勇者に転生した主人公が、ハーレムを築き上げ、主人公だけが幸せな国を作ってしまうといつ話。
でも、僕は当時、見ていた頃は、主人公のアレックスに憧れを抱いていた。
アレックスみたいに強くなりたいと……。僕の名前は決まった。
「僕の名前は、、アレックス」
「アレックス、よろしくお願いします。私達の家はすぐ近くですので、主人のメリッサと私に付いてきてください」
僕達は、メリッサとクリスティーヌに付いて行った。
そして、着いた場所は、巨大な庭があり、その向こうに大きな城があった。
「ここに私達の部屋があります」
僕は入るのが少し怖かった。恐る恐る城の中に入り、ワープホールに入り、3階に秒で到着した。エレベーターよりもずっと早かった。こんな物もあるんだ。
「ここが私達の部屋です」
中に入ると、家具もテレビも何もない場所だった。布団もベットも何も見つからない。床だけが広がっていた。
レオンも驚いている様だった。
「机と椅子」
メリッサがそう言うと、床から大きな机と椅子が出てきた。そこにクリスティーヌとメリッサが座った。
「さあ、座ってください。詳しい話を聞きましょうか?」
僕達は緊張しながらその椅子に座った。
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