第4話 解毒
レベル60のスライムは、勇者の後を付いて歩いていた。森はどこまでも広く繋がっている。
「レオン、宝箱はどこにあるの?」
「分からない。とにかく進むしかない」
蘇生の石は宝箱の中に入っている事が多い。まずは宝箱を探さないといけない。
「ただ、宝箱を守るモンスターがディアボロス帝国から配属されている。そのモンスターもレベルは50を超えているものばかり。僕も戦ったことはあるけど、何度も負けているんだ……。だから君の力を借りたいんだ」
レベル50か……。そんなに僕とレベルが変わらない。レベル60で無双できると思ったけど、そういう訳には行かないっぽいなあ。
宝箱何処にあるのかな。どこかで1回見た事があるような。異世界転生してからレオンと出会うまでの記憶を振り返った。
まず、異世界転生してスライムになっていた。そこから、ハルカに会って……。ハルカに会う前に何か見つけたような。
『鍵なんて……何処にあるんだよ』
あ!?そういえば、宝箱を異世界転生してすぐに見つけていた。でも、どこにその宝箱があるか分からない。どうすれば……。後ろを振り返った時、僕の進んだ所が少し濡れていたのに気がついた。
「レオン、僕に付いてきて!!」
「宝箱があったのか?」
「思い出したんだ!!宝箱のありかを」
濡れている道をずっと進み始めた。後ろからレオンが慎重に転けないように追いかけていた。
目の前に宝箱が見え始めた。僕が最初に見つけた宝箱だ。その宝箱の前にオオカミが1体いた。目の色が赤くなっている。レベルは40。
「あいつはバイオレンスウイルスに感染しているぞ。バイオレンスウイルスの感染者は目が赤いんだ」
レオンが僕に教えてくれた。モンスターの凶暴化をオオカミは起こしていた。モンスターの凶暴化が起きると、自我を失い暴走し始める。きっと、、あの時戦ったオオカミも同じバイオレンスウイルスに感染していたのかもしれない。
「レオン、これを……」
レオンに鍵を投げて渡した。それを見事にキャッチしたレオンは、宝箱の方に走って行った。レオンの方が足が速い。僕がオオカミを足止めすれば良い話。
「毒を吐く!!」
体内が溶けるように熱くなっていく。その熱が体力を削っていく。毒を分泌するには、半分以上の体力が必要だ。
「これは、、やばい、、」
体内は100℃を超え、体から湯気が出始めた。オオカミは、僕に向かって突進してきた。耐えろ……。僕の体よ、、耐えてくれ!!体力は残り僅か。毒の分泌はまだ出来ていない。こんなにも毒を吐くのは難しいのか……。
「スライム、大丈夫か?」
レオンの声が聞こえてきたが、意識は朦朧としていた。まだ毒に慣れてないため、毒が体内に回ってきていた。
オオカミが目の前に迫る。オオカミの突進を喰らえば、僕の体力は0になってしまうかもしれない。
「レオン、助けて!!」
レオンは僕の目の前に立ち、剣でオオカミを押し返した。それと同時に、体内に回っていた毒は完全に消え去った。解毒に成功し、調整する事ができた。
「毒を吐く!!」
口の中から紫状の毒をオオカミに放った。オオカミは一瞬で倒れてしまった。毒状態になったモンスターは行動できなくなり、倒れ込んでしまう。
「エクスカリバーインパクト!!」
レオンは剣を持って、僕の体に乗り、トランポリンのように高く飛んだ。そして、真っ直ぐ剣を振り下ろした。
オオカミは粒子となって空に消えて行った。宝箱の中には、蘇生の石だけ入っていた。
「これで2つ目……。残り1つか」
「これからどうする?」
「森から出るぞ!!」
「どうして?」
「宝箱は1ヶ月に2個森の中に出現する。つまり、これ以上は森の中には無い。他の場所を探せば、見つかるけど、この森から宝箱が存在する砂漠まで距離がある。この森から近いのはディアボロス帝国が植民地としている国であるエリアントス共和国が1番近い。そこに、宝箱があるかもしれない」
「それしか方法が無いの?」
「大丈夫だよ。エリアントス共和国に僕の兄が居るから。兄に会えればなんとかなるかもしれない」
レオンの兄。どんな人なんだろう。
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