第19話 ようやく気付いた?
「あ、僕って蓮華のこと好きなんだ……」
「やっと気づいたか……」
つばっちから客観的な意見をきかされて、ようやく僕は自覚する。
そうか……僕って最初から、ずっと前から蓮華のことが好きだったんだ。
なんだか自覚したら、急に恥ずかしくなってきた。
どんどん自分の顔が熱くなっているのを感じる。
「どうしよう、つばっち。僕今日、蓮華の顔見れないかも……」
「うーん、これは思ったより重症だな。好きって自覚させて状況を好転させてやろうかと思ったけど、余計にこじれそうだ」
「って、つばっちは前から僕の気持ちに気づいていたの!?」
「当たり前だ……。誰がどうみても、カズが三鈴さんを好きなのなんて一目瞭然さ」
そうだったのか……。
「だ、だけど……! 僕は中学のころは佐々木さんが好きだったんだよ?」
「それはあくまで恋だろ?」
「うん……じゃあ蓮華はなんだっていうのさ」
「愛、だよ」
つばっちは芝居がかったふうに、声をつくってそう言った。
「愛ぃ?」
「もはや君らは長く一緒にいすぎて、恋なんて段階をとっくに超えてるのさ。だからなかなか気持ちに気づかなかった。だけど、大切に思っていて、ずっと一緒にいたいって思ってるなら、それはもう恋を通り越して愛だよ」
「愛……かぁ……」
なんだかそう言われると、ますます恥ずかしい。
たしかに、蓮華とは家族ぐるみの付き合いだし、家族愛のようなものも感じてはいる。
そっか、あまりに距離が近すぎて、今までそんなこと考えもしなかった。
僕が蓮華を好きだなんてこと……。
「あ、待って。だとしても、だ。蓮華は僕のことどう思ってるのかな……」
素朴な疑問だ。当然の疑問。
僕は確かに、蓮華のことが好き――それは認めよう。
だけど、なら蓮華のほうは? なんで付き合ってる
蓮華は僕のこと、どう思ってるんだ?
「はぁ……ほんと、カズって馬鹿だなぁ。まだそんなこと言ってるのか」
「もう。つばっち、あんまり馬鹿馬鹿言わないでよ」
「好きに決まってるだろ。そうじゃなきゃ、あの真面目な三鈴さんが、幼馴染に頼まれたからって急にギャルになったりなんかしないさ」
「そうなのかなぁ……。蓮華は優しいから、僕の頼みならだいたいなんでもきいてくれそうだけど……」
僕だって、ほかならぬ蓮華の頼み事なら、なんだってきくだろうね。
「それだよ。まさに、カズのことが好きだから優しいんだよ。だってキタタクにはけっこう冷たいだろ? 三鈴さん」
「あぁ……確かに。そっか、そうなのか……」
「まあ、三鈴さんのほうも、自分の気持ちに気づいているかは微妙なところだけどねぇ。なんだかんだで、似てるからね、君たち」
「えぇ? 僕と蓮華が似てるって!?」
「うん、そうだよ? 似た者同士、お似合いのカップルだと思ってるよ。僕は。ずっと前からね」
「そ、そうなのか……」
僕と蓮華が似てるなんて、初めて言われた。自分じゃ思ってもみなかったな。全然違う性格だと思うんだけど……。
「っていうかさ、カズ」
「うん」
「そろそろみんな登校してくるころだと思うけど、大丈夫なの?」
「え? なにが?」
「だから、三鈴さんと付き合ってるふりをしているっていうことになってるんだよね? 今」
「まあ、そうだね」
「でも、カズはさっき自分の気持ちに気づいて、好きを自覚したわけだ」
「うん、はい。もう認めるよそれは……おかげさまでね」
「いや、赤くならなくていいから……。問題は、きっとすぐに噂になるよ? 君たちが付き合ってるっていう噂。大丈夫なの……?」
「あ……」
たしかに、これは困ったことになった。
あくまで僕と蓮華の間では、付き合ってるふりをしていることになっている。
それなのに、僕は蓮華への好きを自覚してしまったわけだ。
僕は、どんな顔で過ごせばいいんだ……!?
「カズ、気を確かにね……」
「つばっち!? 見捨てないで!?」
つばっちはここにきて急に遠い目をしだした。
「まあ、いろいろきかれるだろうけど、適当にがんばって」
「うぅ……無理だよ……」
蓮華にも、どういう顔を向ければいいのかわからない。
ますます蓮華の顔が見れないや。もうすでに、蓮華のことを想像するだけで恥ずかしくて顔が熱くなる。
今までそんなことなかったのに、好きを意識するだけでこれだ。
「あ、そろそろ三鈴さん登校してきたんじゃない?」
「え……!?」
蓮華が教室に入ってくるときは、いつも廊下がざわつくからすぐにわかる。
しかも今日は、蓮華と僕が付き合ってるという噂まですでに流れ始めている。
当然、クラスメイトの目線はいつも以上に、僕と蓮華に向けられている。
蓮華は教室に入ってくるやいなや、僕のほうに向かってきた。
「お、おはよ……カズくん」
少し頬を染めながらひかえめに挨拶する彼女は、なんだかいつも以上に可愛く思えた。
今はあくまで
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