第16話 てか、付き合う……?
「カズくん、久しぶり」
「蓮華……!?」
放課後、ベルが鳴って家の扉を開けると蓮華がいた。
「上がるね」
「あ、ちょっと」
蓮華はなにも説明せずに僕の家に入ってくる。
そして二人でいつものように僕の部屋へ。
なんかちょっと怒ってる!?
「ど、どうしたんだよ……!」
「ねえカズくん、北村くんに私の趣味話したでしょ」
「う……」
確かに、キタタクに蓮華の好きなラノベを教えたばっかりだけど。
まさかキタタクのやつもう蓮華にアプローチしたのか!?
「き、きかれたから答えただけだよ」
「それで私が北村くんと仲良くなったらどうするの? カズくんはほんとうにそれでいいの?」
「な、なんだよそれ……。別に僕には関係ないだろ。蓮華が誰と仲良くしようがさ」
嘘だ。
正直、そんなことになったら嫌だ。
なんでかはわからないけど、蓮華が遠いところに行ってしまうような気がする。ただでさえ、今の蓮華は人気者だし。僕以外の男子と仲良くなったら、それこそもう僕なんか、まったく歯牙にもかけられないようになるんじゃないか? そんな不安を覚えてしまう。
「私、迷惑なんだけど。正直北村君に興味ないし。カズくんのほうでなんとかしてよ」
「そんな、無理だよ。キタタクに向かって、蓮華に近づくなって言えっていうのか? そんなの……」
そんなの、まるで僕が蓮華を好きみたいじゃないか。
なんでただの幼馴染のために、僕がそんなことしなきゃいけないんだ。
「昨日……佐々木さんとなにしてたの?」
「え……?」
蓮華は急に、話を切り替えた。
「何って、遊んでただけだよ。なんで蓮華がそんなこと」
「きいたから……クラスの人に。二人がカラオケにいたって」
「そう……。で、でも……特になにもなかったよ?」
なんで僕、蓮華にそんな言い訳じみたこと言ってるんだろう。
「なにもなかったって……なにそれ。なんでそんなこと言うの。別に好きにすりゃあいいじゃん……」
「さあ……なぜだろう……僕も、よくわかんない……」
蓮華は怒ってるのか泣きそうなのか、なんだかよくわからない表情で。
僕も僕で、なにを言えばいいのかわからなくなっていた。
もう、いろいろありすぎて、ぐちゃぐちゃだ。
「佐々木さんのこと、好きじゃないの?」
「いや、だから別に……。もう好きじゃないって言ってるだろ……」
たしかに見た目は素晴らしいギャルで、好みのタイプだ。でもそれに関しては今の蓮華だってそうだし……。
中身も、うん。素敵な人だとは思う。だけど前みたいに、佐々木さんのことが好きかときかれると、違っていた。
「じゃあ、なんで佐々木さんのことはっきりと拒まないのさ」
「う……そ、それは。別にただの友達として遊んだだけだよ」
正直、僕としてもはっきりした態度をとるのは苦手だ。
「それに、佐々木さんだって別に本気で僕のことをどうこうしたいわけじゃないだろうし。蓮華に対しての対抗心で僕にちょっかいかけてるだけだと思う」
「私は……正直、佐々木さんとカズくんが一緒にいるの、気に食わない。その気がないなら、はっきり拒めばいいのにさ。カズくんの意気地なし」
それって、どういう意味なんだ。蓮華は、本当は僕のこと、どう思っているんだ!?
「ご、ごめん……」
「私だって、もっとカズくんと一緒にいたいじゃん……前みたいに」
「うん……。僕も、僕も蓮華ともっと一緒にいたい」
お互いに、ようやく本心をはじき出す。
「ねえ、全部が上手く解決する方法があるって言ったら……どうする?」
「ど、どういうこと?」
直後、蓮華はとんでもないことを言い出した。
それは、僕の耳元で悪魔の囁きとなって脳内に飛来した。
「私とカズくんが付き合えばさ、北村君も佐々木さんも、もう言い寄ってこない。それで万事解決……じゃない?」
「は、はぁ…………!?!??!?!」
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