第4話水面の底に沈んだモノ

私は、歳上のセフレである女性カノジョほどに惹かれる人物はいない。

同級生にしろ、先輩後輩にしろ、だ。

恋愛対象に男性いせいをあてがるのは論外だ。

男性アイツらは、ケダモノだ。

私の瞳には、男性アイツらがケダモノに映っている。

私が求めているのは、ではなく、である。


誰かに、メチャクチャにされたいとは望みはするが相手の欲求を充たすだけの玩具オモチャになるのは堪え難い。

そんな馬鹿げた思想を抱くくそなやつとは身体を重ねるなど吐きそうだ。


あの男も瞳を背けたくなるほどにおぞましい眼差しを私に向けて、手を出そうとした。


私は、屈折した。

——あの頃から、あの日から。


アイツのどこに、母親あのひとは惚れたのか、微塵もりたくない。


俗にいう、心的傷害トラウマを植え付けられた。

私は、自室しんしつで寛ぐことさえ出来ない。

就寝の際は、自室しんしつの扉の施錠を怠らない。


——もし、アイツが母親あのひとの眼を盗み、私の身体に——という事態も起こりえないとは限らないのだから。


母親あのひとにも裏切られた。


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