第3話盛大にひくセフレ

駅のホームに電車が滑り込んでくる間の待ち時間を埋めようと、隣に腰を落ち着かせた歳上のセフレに私が経験した出来事を話すことにした。

「おねーさん、私って意外とモテるんですよー!」

「これみよがしに自慢いやみなんて、性格が悪いよ栞さん」

「まあまあ、話の腰を折らずに聞いてくださいよ〜おねーさん。思わず、シたくなっちゃう話題でしょーから」

「ふ、ふーん……」

平然を装う相槌を打つ彼女だったが、声が震えていた。

彼女が左手の甲をつねるのが視界の端に映りながらもからかうのは我慢した。

「私はたま〜に授業をサボって保健室でやり過ごすことがあるんですよー。今日も午後の、5限を保健室で授業をサボってたんですよ。授業の始業のチャイムが鳴って二十分くらいした頃に一人の女子が保健室に入って来たんですよ」

授業をサボったことをカミングアウトした瞬間に、隣の彼女が眉を顰め唇を震わし何かを発しようとしたが踏みとどまる。

「ミディアムヘアの黒髪の後輩ちゃんが片手にある物を携えて近寄ってきたんです。なんだと思います?リードが繋がった首輪ですよ。驚きましたよ、小悪魔な笑顔で首輪を携えてるんですよ。彼女が、『藤野伊先輩、言う通りにしてください』って強要しながらベッドに上がってきたんです。首輪を嵌められるのに抵抗はありませんでしたから、彼女に言われるままに首輪を嵌められ抵抗せずにいました。彼女は四つん這いの体勢で首輪のリードを自身の方にたぐり、私の頭を枕から浮かせ、唇を舌だけで強引にこじ開けて激しいキスをしてきたんです。彼女の唾液がこれでもかってほどに舌を伝って入ってきました。おねーさんとのキスよりかは物足りないくらいでしたけど、ちょっとばかしは興奮しました。おねーさんとの行為が刺激的ですけど。まあ、攻められ続けるのも悪くはなかったんですけど……物足りないのが勝って絶頂かせたくなって、彼女のアソコに指を……まあ、絶頂く直前で逃げられたんですよね、彼女に」

「やっぱ、変態……栞さんって」

語り合えた私に、セフレは盛大に引いていた。

身震いをしながら怯えたように身体を引いていた。

フレアスカートを握りしめ、私の表情を窺う。

「ううぅぅ〜っ……その娘可哀想ぅー」

「可哀想って……望みどおりにもてなしたんですよ〜おねーさん。その感想は心外ですよ〜おねーさん!」

「もて、なした……?お、おぞまし過ぎる……栞、さん」

「おぞましーって……褒められる行いでは?」

「あの日断っとけば……私の身体が清いままで」

「私に処女ハジメテを捧げてくれて、ありがとうございますっおねーさん!」

「あああぁぁああぁぁああああぁぁぁぁ!」

彼女の悲痛な叫びは駅の構内中に響き渡った。


私が浮かべていたのは、恍惚とした笑みだろう。身体に熱を帯びるのを感じ、火照る身体に抗うことなく、紅潮しているであろう両頬を掌で撫でまわした。


私の湧きあがる性欲をぶつけられるのは叫び続ける歳上のセフレだけと自覚している。



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