嫌い

次の日、私はいじめっ子たちに体育館裏まで連れてこられた。

「な、なんでしょうか…」

「あんた、星那と仲良くしてるらしいじゃない」

「え…い、いや…」

別に仲良くしてるわけじゃないって言おうとしたがやめた。

「あんた、いじめんのつまんなくなってきたからさ…」

「今度は、星那をいじめようと思ったんだ」

「っ!せ、な…ちゃんを…!?」

私はいじめの標的から外れた。でも、その代わりに星那ちゃんがいじめの標的になってしまった。

「そ、あんたはいじめられずに済むし、私らは星那をいじめることが出来る。」

「それって…win-winじゃない?」

いじめっ子は笑う。

「あ、そうそう!もし、星那の方に寝返ったら…」

「今度は、あんたを社会的にタヒなせるから」

私は思った。このまま…星那ちゃんを見捨てていいのか…と。

でも、見捨てなかったらまたいじめられる…。今度は社会的にコロサレル…。

「っ…わ、かった」

私は、いじめっ子たちにそう言い、教室へと戻った。

__

そして授業が始まった。

私は星那ちゃんをチラチラ見ながら授業を受けていた。

「…?」

チラチラ見ていると、たまに星那ちゃんと目が合う。

その時は、急いで黒板の方を見る。

「(うわぁぁ…。゚(゚´Д`゚)゚。星那ちゃん。゚(゚´Д`゚)゚。)」

私は心の中で泣き叫んだ。

…心の中が涙でいっぱいになりながら、1時間目が終わった。

__

そして、何回も心の中で泣き叫びながら全ての授業を終わらせた。

「(きついよぉ…。゚(゚´Д`゚)゚。星那ちゃんと話したいぃ。゚(゚´Д`゚)゚。)」

私がまた心の中で泣き叫んでいると、星那ちゃんが話しかけてきた。

「悠、一緒に帰ろ!」

「え…あ…」

私がアワアワしていると、いじめっ子がこっちを睨んだ。

「っ…わ、私!今日は1人で帰るから!」

「え、ちょ…!」

私が教室から出ようとすると、星那ちゃんに止められた。

「ま、待ってよ…いつも2人で帰ってたじゃん!」

「っ…」

私は星那ちゃんを見て、少し泣きそうになった。

でも…

「嫌!」

「っ…!」

私は星那ちゃんを拒んだ。

「…もう、嫌なの…」

「…え」

「もう…星那ちゃんなんて…嫌い!!!!!!!!」

私は泣きながらそう言い、走って教室から出た。

__

教室から出て、下駄箱に来た。

「……」

外は雨が降っていた。

「…今日、雨降らないって言ってたのになぁ…」

私は泣きながら、そう言った。

靴を履き、学校から出る。

「…今なら、大声で泣いても…いいよね…」

そう呟きながら、私は家まで歩いて帰る。

雨に打たれながら…泣きながら…重い足を頑張って動かす。

「あ〜あ…星那ちゃんに嫌いって言っちゃった…」

星那ちゃんに言った"嫌い"は口からでまかせだ。

いじめっ子が睨んだ時、感じたんだ…。

"星那と仲良くしたら…分かってるよな…"って…。

「私は…星那ちゃんのこと…嫌いじゃない…」

この気持ちは本物だ。嫌いだったら、泣かないはずだ。

「私が…1番嫌いなのは…」



"気弱な…私自身だ…"

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る