第182話 神木③

「ぬうう…まさかこのような状況になるとは!」

「これでは、我らは何の為にを旗印にしたのか分からなくなるではないか!」


サンデル王国の王都チェスターの貴族区。

その中にある、とある貴族の館の広く煌びやかな応接室。

そこに、第二王妃及び第一王子派の貴族が、集結している。


つい最近、サンデル王国の国王となるマクスデルから告げられた…

第一王女であるリリーシアの生存。

そのリリーシアと、第二王子となるアルストの執政者としての留学。


その報に、第二王妃及び第一王子派の貴族達は愕然としてしまう。


第一王女であり、国王マクスデルの後継者として最有力候補であったリリーシアの生存が絶望とされていた為、今後はジャクリーヌとロデナンを旗印とし…

その二人を傀儡として、自分達が国の実権を握ることができると、半ば確信していた。

だが、実際にはリリーシアは生きており、しかも第二王子アルストと共に国王の後継者としての留学と言う事態。


水面下でアルストの暗殺も手引きし、自分達の基盤を確かなものにしようとしていたのだが…

それは、アルスト専属の従者達が日々警戒し、アルストを護り抜いていた為、アルストは事なきを得た。


ゆえに、国王マクスデルと第一王妃エリーゼの暗殺をも企て、不慮の事故による死に見せかけて、ジャクリーヌに実権を握らせようとしていたのだが…

マクスデルが例の報を国の首脳達に告げる直前から、一向に暗殺を仕掛けても、何の成果も得られなくなってしまった。

マクスデルとエリーゼ、さらには国王と第一王妃直属の従者も王城内で目立った動きをすることがなくなり、むしろ姿を見ることすら稀な状況にまでなってしまっている。

その上、確実にいるであろうマクスデルとエリーゼの自室に暗殺者を差し向けたりもしているのだが…

確実に眠っているであろう深夜に決行しているにも関わらず、自室に二人の姿がないと言う報告が、実行部隊から上がっている。


それも、暗殺を決行する度に。


自分達の野望の最大の障害となるであろうマクスデル、エリーゼ、リリーシア、アルスト。

リリーシアとアルストは、すでにこの王城を離れており、留学先も不明な為暗殺は不可能。

であればと、王城で暮らしているマクスデルとエリーゼを暗殺しようと躍起になっているのだが、なぜか自室にいるはずなのに、実際に入ってみればいないと言う事態がずっと続いている。


「一体全体、国王と第一王妃はどのような仕掛けを…」

「確実に王城にいるはずであるのにも関わらず、暗殺が毎回空振りしてしまうなどと…」

「我らが仕掛けた暗殺者が侵入しやすいように、圧力をかけて警備を手薄にしているのだが…」

「ならばと思い、王家直属の従者共に狙いをつけているのだが…」

「第一王女と第二王子の直属は、二人の留学についていったと言うことだし、国王と第一王妃の直属も、そちらと同様に王城にいるはずなのに姿が見えん!」

「一体これは、どういうことなのだ!?」


留学と言う名目で、すでにスタトリンのリンの地下拠点にいるリリーシアとアルスト、そしてその直属の従者達。

そちらは狙いたくても狙うことができず、マクスデルとエリーゼ、そしてその直属の従者達を狙っているのだが…

何かの機会を伺っているかのように、その誰もが自室から出てこなくなり、しかもなのに、入ってみると誰もいないと言う状態が続いている。


マクスデルとエリーゼ、その直属の従者達は全員が実際には王城で暮らしておらず…

リンが自身の生活空間に作ってくれた、王城にあるものと全く同じ構造の自室で暮らしている。

しかも、すでにエイレーンを介してリンの貸倉庫サービスを契約しており、王城内にある王家の宝物、国営資金、備蓄、重要書類の類は全てリンの貸倉庫サービスの魔導具を使って、リンの収納空間に保管している。

その為、リンの生活空間にある自室に引きこもったままでも執務は可能となっており、暗殺に怯えることなく日々を過ごすことができている。


マクスデルはこれを機に、自身が信頼できる貴族と秘密裡に交流を深め、今後の国営を担う重役の後釜を作って国の基盤を整えると同時に、反乱分子となる第二王妃及び第一王子派の貴族をあぶりだし、あわよくば一網打尽にしようと直属の密偵部隊も使って悪行の証拠集めも行なっている。


「ええいくそ!いつまであの無能共を担ぎ上げねばならんのだ!」

「あのボンクラ第一王子に留学の話がなかった時点で、国王はすでに見切りをつけているも同然!」

「それに気づいておらんのは、当の本人達だけだ!全く!」

「我らのような高貴な血統の存在が、下等な平民と同等に扱われるなど、断じてあってはならん!」

「奴らは我らのような高貴な存在の為に存在するもの!下等な存在がいくら死のうが、我らにとっては痛くも痒くもないわ!」

「むしろ我らの為に死ねるのならば、本望であろう!」


民を自分達のような存在の為の糧としか見ていない、傲慢な貴族達。

今は協定を結んでいるものの、事が進めば必ず自らが覇権を握ろうと、内乱の火種となり得るであろう…

国にとって非常に害悪な存在。


それぞれの領地で暮らす民達から搾取することで得ている財を、己の欲望の為にしか使わない。

その為、スタトリンが本当に不遇な環境に生きる民にとって、天国のような場所となっていることもあり、緩やかにではあるものの、領地の民は減る一方。


自分達が国にとっての害悪となっていることにまるで気づくことのない貴族達は、自身が覇権を握ろうと今この時も、腹の探り合いをしながら今後の計画の修正に、喧々囂々と意見をぶつけ合うのであった。




――――




「わ~い!世界樹がこの居住地にも来てくれた~!」

「おおお…こ、これが伝説の世界樹…!」

「リン様が世界樹を復活させてくれたから、この居住地にもご神木として来てくれた~!」

「ああ…リン様のおかげで、わたし達は世界樹のお恵みも頂けるのね!」

「みんな!この世界樹はこの居住地の守り神として、いつまでも大切に扱わせて頂こう!」

「うん!」

「そうしよ!」


世界樹から授かった、世界樹の分身体を生み出せる力。

リンはその力と【空間・生活】を使い、世界樹の分身体を自身が所有する商業施設の従業員が暮らす居住地のそばに生み出した。


そのおかげで、居住地の空気と魔力はますます清浄になり…

本体程ではなくとも、世界樹が生み出す恵みの恩恵を受けられるようになった為、従業員達は誰もが大喜び。

居住地に生み出された世界樹の分身体を、従業員達は居住地の守り神として扱うことを決め、以降は常に供え物を捧げたり、分身体が汚れないように綺麗にしたりするようになっていく。


また、リンはここと同様にジャスティン商会の職員達が暮らす居住地の方にも、世界樹の分身体を生み出し、その恵みを受けられるようにしている。

商会の居住地で暮らす職員達は、リンが世界樹の分身体を居住地に生み出してくれたことに大喜び。

そして、ここで暮らす住人達と同様にその分身体を居住地の守り神として扱い、日々供え物を捧げたりするようになっていく。


そして、世界樹の分身体から生み出される恵みはリンの収納空間に収納し…

それらはスタトリン全体の備蓄として、保管していくことをどちらの居住地の者達も取り決めとする。

また、世界樹の葉と世界樹の雫は、ごく少量をドライアド達とジャスティン商会お抱えの医師団が保有し、それを元にそれぞれの研究施設にて、一般の民も気軽に購入できるような、それでいて質のいい薬品を開発していくようになる。


リンお抱えの従業員達も、ジャスティン商会の職員達も…

世界樹を復活させ、さらにはその恵みを自分達も受けられるようにしてくれたリンをますます崇拝するようになり…

誰もが日々、世界樹の分身体の元でリンを神として崇め、感謝の祈りを贈るようになるのであった。




――――




「あ、あの、ぼ、ぼく、ひ、一人、で……」

「だあめ♡リンちゃんはスタトリンの神様なんだから♡」

「そうだよ?だからリンちゃんに仕える私達が、リンちゃんのお世話をさせてもらうのは当然のことなんだよ♡」

「そうです!リン様にお仕えさせて頂く専属秘書として、このジュリアもリン様の普段のお世話をさせて頂きたいのです♡」

「ああ…このスタトリンの…そしてサンデル王国の守護神様となるリン様のお世話を、このアンがさせて頂けるなんて…♡…リン様、私…私…幸せ過ぎてどうにかなってしまいそうです♡」


リンの生活空間にある、リンの自宅から数百m程離れたところ。

そこに、つい最近リンが試験的に作った風呂場がある。


その風呂場は広々としていて、生活空間ののどかな風景を眺めながらのんびりできる為、とても心地のいい入浴ができるようになっている。

しかも、世界樹の本体の一部がここまで伸びており、そこから世界樹の雫が常に風呂に入るようになっており、さらには枝が重力によって風呂に降りてきているので、世界樹の葉が常に風呂の湯に浸されている状態となっている。

その為、高い治癒効果と回復効果を有する風呂場となっており、ひとまずリンとリンの拠点で暮らす家族達が使っている。


もう少し使ってみて、特に問題がないようなら各居住地の住人にも使ってもらいたいとリンは思っている。


その風呂場に、リンは一人で入ろうとしたのだが…

そんなリンを見て追いかけてきたリリム、エイレーン、ジュリア、アンがリンのお世話をしたくて、自分達も入浴しつつリンの入浴をお世話しようとする。


四人共抜群のプロポーションを持つ美女・美少女であり、その四人がリンにならむしろ見られたいと言う思いで、ほんのりとその美しい顔を羞恥に染めながら、一糸纏わぬ生まれたままの姿となり…

四人の行動に視線を逸らしておたおたするリンの衣類も優しく丁寧に脱がせて、リンも生まれたままの姿にすると…

一人一人がまさに、リンと言う主に仕える思いで、リンの身体を丁寧に優しく洗っていく。


「はあ…リンちゃんこんなにもほっそりしてて可愛らしいのに…あんなにも強いなんて…♡…お姉さんリンちゃんのこと、ほんとにどうしようもないくらい大好きなんだよ♡」

「うふふ…大好きで大好きでたまらないリンちゃんのお世話ができて、私は本当に嬉しいよ♡それに、リンちゃんとお風呂に入れるなんて…もう…もう幸せすぎて…♡」

「リン様…私、リン様とお風呂を御一緒させて頂けて…リン様のお身体を洗わせて頂けて…本当に幸せです…♡…リン様…私、心の底からリン様を愛しております…♡」

「ああ…リン様…♡…リン様のおかげで、私の身体は元の傷一つない、綺麗な状態に戻ることができました…♡…その私の身も心も、リン様だけのもの…♡…私はリン様の所有物だと思うと…はしたなくもお腹の奥がきゅんとしてしまいます…♡…リン様…このアンはリン様を心から愛しております♡」


リリム、エイレーン、ジュリア、アンはその瞳の奥にその深すぎる程に深い愛情を示す形を浮かべながら、その身体を押し付けるようにリンの小さく華奢な身体に寄せて、丁寧に丁寧にリンの身体を洗い続ける。


リンの長くさらりとした黒髪…

リンのほっそりとした手足…

リンの華奢な胸に腰…


その全てを、愛おし気に洗い続ける。


「あ、う、う…は、恥ず、か、しい、で、す…」


自分の裸を、美人で綺麗なお姉さん達に見られているだけでなく…

その美人で綺麗なお姉さん達に丁寧に丁寧に洗われ、さらにはお姉さん達の抜群のプロポーションを誇る身体をむにむにと押し付けられて、恥ずかしさのあまりその幼く可愛らしい顔を真っ赤に染めて、ぎゅっと目を閉じながらただただされるがままとなっている。


リリム達がとても丁寧に洗ってくれている為、心地よさはあるのだが…

恥ずかしさがもうとんでもないことになってしまっており、心地よさを感じる余裕は微塵もなくなってしまっている。


そんなリンの身体を洗い終え、自分達もその身体を洗って身を清めると…

リリム達はリンの身体を抱えて、リンを囲むように湯舟に入り、湯に浸かる。


「ほら、リンちゃん♡あたしの身も心も、何もかもがリンちゃんのものなんだから♡だからリンちゃんにい~っぱい、あたしの身体に触れてほしいの♡」


リリムがその豊満な胸をリンの背中に押し付け、リンの身体を包み込むように抱きしめる。

そして、リンの頬にキスの雨を降らせる。


それだけでリリムはリンへの愛情が心から止めどなく溢れ返り、お腹の奥がきゅうんとなってしまうのを感じる。


「うふふ…リンちゃん♡この私の身も心も、リンちゃんだけのものなんだよ?だから私の身体も、いっぱい触れてくれたら嬉しいな♡」


エイレーンもリリムと同じように、リンの右半身を自身の身体で包み込むように抱きしめると、リンの頬にキスの雨を降らせる。


エイレーンもそれだけで心が満たされ、お腹の奥がきゅうんとなってしまうのを感じる。


「リン様…お願いです♡このジュリアの身も心も、全てはリン様だけのもの…私のことも、いっぱい感じてください…♡」


今度はジュリアが、リンの左半身を自らの身体で包み込むように抱きしめ、その頬にキスの雨を降らせる。


ジュリアはあまりに幸せ過ぎてだらしない表情になってしまっており、お腹の奥がきゅうんとなってしまうのを感じる。


「リン様…このアンの身も心も、全てはリン様だけのものです♡私の身体でリン様が気持ちよくなられたら、私…私…これ以上ない程に幸せです♡」


最後にアンが、リンの前方からリンの身体を、自らの身体で包み込むように抱きしめ、その顔にキスの雨を降らせる。


アンはそのあまりにも甘美な感覚に恍惚の表情を浮かべており、お腹の奥がきゅうんとなってしまうのを感じる。




「も、もう…もう、だ、だめ……~~~~~~~~~~きゅう……」




四人の美人で綺麗なお姉さん達に、これでもかと言う程に抱き着かれてキスされて…

ついにその限界キャパシティ超えてオーバーしてしまったリン。


とうとう、その意識を失ってしまう。


「リンちゃん…♡」

「リンちゃん…♡」

「リン様…♡」

「リン様…♡」


だがリリム達は、リンが気絶したのをいいことにさらにリンにその自慢の身体を押し付けるように抱きしめ、キスの雨を降らせる。

お腹の奥から来る甘美な感覚に、うっとりとした恍惚の表情を浮かべ…

ひたすらにリンのことを愛し続ける。


当然、このことはリンのことを心から愛する、拠点に住む女性陣に共有され…

リンは今後、常に日替わりで四人の女性にお風呂の世話をされることと、なるのであった。

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