第173話 勅命⑤

「……ん……あれ?」


エリーゼの愛情いっぱいの抱擁で、自身の重度のコミュ障が発動して気絶してしまったリン。

気を失ってから十分弱程で、その意識を取り戻す。


「リンちゃん!気が付いたんですね!」


頭の下に柔らかい何かが敷かれているのを感じる。

じょじょにクリアになっていく視界を、何か大きな二つの山みたいなものが遮っている。

その視界を遮るものの奥から聞こえる、自分を呼ぶ声。

その声には、聞き覚えがある。


「……ぼ、ぼく…な、なんで……」


自分が気を失っていたことに、少し微睡の残る意識の中気づくリン。

いつの間にか、横に寝かされている身体を起こそうとするも…


「リンちゃん、そのままでいいですよ」


と、リンが起こそうとした身体を優しく寝かせようと、女性であることが分かる柔らかな手が抑えつける。


「……お、王妃、で、殿下、で、すか?」

「うふふ…そうですよ♡」

「……ぼ、ぼく、ひ、膝、枕、し、して、い、頂いて、る、ん、で、ですか?」

「そうですよ、リンちゃん♡」

「あ、あり、が、とう、ご、ござい、ます。ぼ、ぼく、も、もう、だ、だい、じょう、ぶ、で、です」

「だめですよ、リンちゃん♡リンちゃんはいきなり気を失ってしまったのですから…遠慮せずに、わたくしの膝枕で休んでくださいね♡」


その手と声が王妃であるエリーゼのものであり、自分がエリーゼに膝枕をされていることにようやくと言った感じで気が付くリン。

リンのことを、本当の我が子のように思っていることがすぐに分かる、愛情たっぷりの優しい声で、いきなり気絶したリンを介抱したくて起き上がろうとするリンの身体を、その手で優しく抑えつける。


「あ…ぼ、ぼく、も、もう…」

「だめです♡わたくしはリンちゃんのお母さんなのですから…お母さんが、いきなり気を失ってしまった子供を心配して、こうやって介抱するのは当然のことなのですよ♡」

「お、王妃…」

「リンちゃん♡わたくしのことは、『お母さん』と呼んでくださいね♡」

「?…お、おか、あ、さ、ん?」

「!!~~~~~~~~(か、可愛い可愛い可愛すぎます!!こんな、天使みたいに可愛い子に『お母さん』と呼んでもらえるなんて…♡)はい♡わたくしは、リンちゃんのお母さんですよ~♡」


エリーゼはよほどリンのことが気に入ってしまったようで…

その有り余る程の慈愛と母性が爆発してしまっている。

自分の膝の上で、その幼く小さく華奢な身体を横たわらせているリンがあまりにも可愛くて、優しくその頭を撫でながら可愛がり続けている。


そして、リンが自分を『お母さん』と呼んでくれたのがとても嬉しくて…

そう呼んでくれたリンが可愛くて可愛くてたまらず、エリーゼは幸せ一杯の蕩けるような笑顔が絶えないでいる。


「おお!リン殿!気が付かれたか!」


リンとエリーゼのそんなやりとりに、ジャスティンとの交渉に集中していたマクスデルがようやくと言った感じで気づき…

意識が戻ったリンを見て、ほっとしたような笑顔を浮かべている。


「あ…す、すみ、ません、へ、陛下、の、ま、前、で、こ、こんな…」


マクスデルの視線が自分に向いており、なのに自分はエリーゼの膝枕で横になっている状態なのを不敬だと思ったリンは、慌てて身体を起こし、姿勢を整えようとする。


「もう…だめですよリンちゃん♡お母さんがリンちゃんを介抱しているのですから…まだ横になっていてくださいね♡」

「ははは…リン殿。リン殿はこの大陸を、そして我が最愛の娘リリーシアを救ってくれた英雄…そして、我が妻エリーゼの大のお気に入りなのだ。公式の場ではそうもいかんだろうが、せめて今のような非公式の場くらい、我のことも気心知れた家族だと思って、気軽に接してくれたらいい。特にエリーゼがリン殿を可愛がりたくてたまらないようでな。エリーゼの相手をしてもらえると、我としても助かる」


重度のコミュ障と言う呪いを抱えながらも、決して礼を失することのないようにと、常に他を思って動こうとするリンに、マクスデルもエリーゼもとても微笑ましく思えて、ついつい優しい笑顔が浮かんでくる。


リンを介抱したくて、可愛がりたくてたまらないエリーゼがリンが起きようとするのを優しく抑え込み、その長い黒髪を梳くように優しく頭を撫で続ける。

マクスデルも、こんなにも嬉しそうで幸せそうなエリーゼを見るのは久しぶりなようで、普段の威圧感ある能面のような表情からは想像もつかないような、とても優しい笑顔を浮かべている。


「(ははは…さすがはリン君だな。今日初めて顔を会わせたばかりだと言うのに、これ程までに陛下と王妃殿下に好かれるとは…)」


まるで最愛の我が子を見つめるように、リンのことを見つめているマクスデルとエリーゼを見て、ジャスティンはリンの愛される人柄を心から称賛する。

もはやサンデル王国の王家をも味方にできたに等しいこの光景に、ジャスティンの顔にも優しい笑顔が浮かんでくる。


「おお、そうだ。リン殿、今ジャスティンとリン殿の貢献に対する褒賞と、今後のスタトリンと我が国の国交について、話をしてたのだよ」

「!そ、そう、な、なん、で、ですか?」

「うふふ♡リンちゃんは自覚はないのかもしれませんが、わたくし達はもちろん、このサンデル王国はリンちゃんに返そうとしても返しきれない程の、とても大きな恩を頂いたのですから♡」

「?」

「ははは…一体何のことだろう、と言うのが顔に書いてあるぞ、リン殿」

「!わ、分かる、ん、で、ですか?」

「分かりますよ♡だって、わたくしの可愛い可愛いリンちゃんのことですもの♡」

「先程も話したとは思うが、我が最愛の娘リリーシアの命を救い、今後執政者としての実地教育に最適な環境を与えてくれたこと…そして、下手をしなくても放置すればこの大陸全土が滅ぼされていたであろう、あの未曾有の大氾濫を止めてくれたことだよ」

「どちらも本当にリンちゃんのおかげなのですよ?リンちゃんのおかげで、わたくし達は今もこうして無事に生きることができているのですから♡」


自身の功績にまるで自覚も興味もなく、自分のことには本当に無頓着なリンが本当に微笑ましくて、マクスデルもエリーゼもますますリンのことを好ましく思えてしまう。

そんなリンだからこそ、この大恩に少しでも報いたい…

リンが喜ぶものを、いくらでも用意したくなってくる。


「で、だ。ジャスティンから聞いた話を元に我が考えているのは――――」


マクスデルは、ここまでの話し合いでまとめた内容のうち、リンへの褒賞についてを説明し始める。


サンデル王国内で、リンを今代の英雄とし、国王と対等の存在として扱うこと。

リンの所有する商業施設の、サンデル王国内への展開の許可。

物理的な褒賞として、大白金貨千枚。

スタトリンを独立国家として認め、サンデル王国と対等の国交をすること。

スタトリンの国家としての運営と、リンの商業施設の経営に必要な人材の支援。


「――――とまあ、このような内容だ」


そこまでを、マクスデルは笑顔を絶やさず、リンに説明する。


「そ、それ、は、お、多、すぎ、る、の、で、では…」

「何を言う、リン殿!!リン殿の功績を考えれば、むしろこれでも足りないくらいだ!!」

「そうですよリンちゃん!!リンちゃんがどれ程このサンデル王国に貢献してくださったか!!」

「それにリン君、出すもの出すもの全てが大繁盛している君の商業施設をサンデル王国に展開し、店舗を増やしていくのはこのサンデル王国にも大きなメリットがあるからね」

「?」

「そうなのだよ。我が国の領土で出店するからには、売上の幾分かは税として徴収することになるのだからな」

「それに、国内でリンちゃんの商業施設で雇用促進して頂ければ、貧困にあえぐ民を救うことにもなります。ジャスティンさんから聞いた話が本当であれば、リンちゃんの商業施設は間違いなくこのサンデル王国の助けとなります」

「そして、現在のスタトリンの内情をジャスティンから聞かせてもらったが…他国から見れば羨ましい、の一言だと言い切れる程素晴らしい!!破綻する未来どころか、より発展し続ける未来しか見えん!!そのスタトリンを独立国家とし、我が国と友好な関係を構築してもらえれば、現状では衰退の一途を辿る我が国の救いとなってくれると、我は確信しておる!!」

「その通りだよ、リン君。人的支援に関しても、逆にスタトリンからサンデル王国への人的支援もできるのだからね。今のスタトリンの実情からすれば、持ちつ持たれつの関係を十分に築いていけると、私は確信しているよ」

「そのスタトリンを、その神のごとき能力で豊かにし、全ての民を見事に養っているとジャスティンから聞く!!リン殿はまさにこの世を生きる英雄そのもの!!一国の王となる我と対等の関係になっても、何の不思議もない!!」


マクスデルから説明された褒賞の内容に、リンは多すぎていたたまれないような表情を浮かべてしまうものの…

マクスデル、エリーゼからはこれでも足りないと言い切れられてしまい…

ジャスティンからは、リンの商業施設をサンデル王国内に展開することは、サンデル王国にとっても大きなメリットとなることを強調され…

それをマクスデル、エリーゼがすかさず補足する。


そして、著しい発展を遂げ、今もなお右肩上がりに発展を続けるスタトリンの内情を聞いたマクスデルは、そのスタトリンを独立国家とし、友好な関係を築くことがサンデル王国の平和にもつながってくると断言。

人的支援に関しても、逆にスタトリンからサンデル王国に支援することも可能で、対等の国交を築くことは十分に可能だとジャスティンからお墨付きが出る。

そして、サンデル王国が見捨てた町であるスタトリンを、わずかな期間でここまで発展させたリンはまさに英雄であり、神そのもの。

そんなリンが国王であるマクスデルと対等の関係になっても、何の不思議もないと…

他でもないマクスデル自身からお墨付きが出る。


「…………」


さすがに、ここまでの話にすぐには実感が持てないのか…

リンはきょとんとした表情で、言葉を発せずにいる。


「リン殿、これを受け取ってほしい」


そんなリンに、マクスデルは自身の懐から、まるで暗闇を切り裂く稲妻を現すような眩いばかりの金色が美しい、大粒の宝石が添えられたペンダントを取り出し、リンに手渡す。


「?こ、これ、は?…」

「へ、陛下!!それはもしや…」

「ふむ、ジャスティンは分かるか。リン殿、それは我と対等の友人であることの証…『王家の友』と言う名の装飾品だ」


マクスデルがリンに手渡したペンダントの名は、『王家の友』。

サンデル王国が建国された時から代々伝わる、歴史的価値も含めれば値段など付けられない程の価値を誇る王家の宝物。

かつて、このサンデル王国が建国される前に、この地に群がる魔物を一掃した、神の怒りのごとき稲妻。

それを浴びたことでこの宝石も今の色となり、しかも表向きは存在しないとされている【雷】属性の魔力を帯びることとなった、と言い伝えられている。

このサンデル王国を建国した、初代国王が一度、国に多大な貢献をした英雄を友として認め、その証として手渡したとされているが…

結局のところ、何があったのかは分からないが王の手元に戻ってきている。

それ以降、この『王家の友』はずっと王家で代々管理され、委ねるに値する人物は現れなかったとされている。


その『王家の友』を、マクスデルはむしろ受け取ってほしいと言わんばかりにリンに手渡した。

そして、リンがおそるおそる『王家の友』に手を触れると…




「!!お、『王家の友』が、激しく光り出した!?」

「!!こ、これは!?」




リンが手を触れたその瞬間、『王家の友』がまるで煌めく雷鳴のように激しく光り出す。

その現象に、マクスデルもエリーゼも驚きを隠せないでいる。


『王家の友』は、少しの間光り続け…

まるで、永き時を経てようやく見つけることのできた友との出会いを喜ぶかのように、ひとりでにリンの細い首にかかると、リンの華奢な胸に納まることを喜ぶかのようにさらに激しく光り、やがて落ち着いたかのようにその光が止む。


「?な、なんで、だろ?か、勝手、に、く、首に、か、かか、っちゃ、った…」


いきなり『王家の友』が自分の首にひとりでにかかったことにリンは驚いたものの…

これと言って呪いのようなものは感じられず、むしろ今、この世で唯一【雷】属性の魔法を使えるリンであるからか、『王家の友』がまるで自分に寄り添ってくれているような感覚を覚えてしまう。


着けていて違和感などはまるでなく、むしろとてもしっくりくると言い切れてしまう為…

リンは『王家の友』が本当に自分の友達になってくれたような、そんな気がしてしまう。


「そ、そう言えば…王家に伝わる伝説には、過去に唯一この『王家の友』を託された当時の英雄も、まるで『王家の友』に認められたかのように、今のような現象が起こった、とされている…」

「そ、それではその『王家の友』がどうしてまた、王家に…」

「…それに関しては、文献にそれらしい情報がなかった為、何も分からないままなのだが…今、リン殿が『王家の友』に認められたのを見て一つ、考えられることがある」

「?それは、一体…」

「初代国王に友として認められた英雄が、その命を終えた…からではないか?」

「!そ、それでしたら確かに…『王家の友』が再び王家に戻ってきた理由が…」

「うむ…だが、『王家の友』が放ったあの光…あれは一体、何を意味しているのだろうか…」


『王家の友』が起こした現象を目の当たりにして、マクスデルもエリーゼも困惑の渦にその思考が巻き込まれてしまっている。

だが、長きに渡り残っていた謎の一つ…

どうして初代国王が当時の英雄に委ねたはずの『王家の友』が、再び王家へと戻ってきたのか。

明確な情報がなく、何も分からずじまいだったのだが、それをマクスデルは、『王家の友』を委ねられた当時の英雄がその生涯を終えたからでは、と仮説を立てる。

その仮説に、エリーゼも確かに、と納得の表情を見せる。


だが、『王家の友』がリンに反応して激しい光を放った理由…

それに関しては、マクスデルも何も分からないままとなってしまう。


「…こ、これ…」

「?どうした?リン殿?」

「?どうかしましたか?リンちゃん?」

「…も、もしかして…」


そんな中、リンが『王家の友』について、何かに気づいたような素振りを見せる。

その声にマクスデルとエリーゼが反応する中、リンは出力を最小に抑えて、自分の右手にそれを留めるように【雷】属性の魔法を放つ。


「!!!!こ、これは!!!!」

「!!!!ま、まさか【雷】属性の魔法なのですか!!??」


リンがその小さな右手に納まる大きさで、バチバチとスパークしながら渦巻く【雷】属性の魔法を発動したのを見て、マクスデルもエリーゼも驚愕のあまり腰を抜かしそうになってしまう。


「あ…や、やっぱり…」


そして、リンが放つ【雷】属性の魔力に『王家の友』が反応し、先程のような金色の光を放つ。

それを見て、リンは自分が感じたものが間違いではなかったと確信する。


「リ、リン殿!!!!今のは本当に【雷】属性の魔法なのか!!??」


その存在すら知られていなかった【雷】属性の魔法を目の当たりにしてしまい…

マクスデルは、それを当然のように使ったリンに凄い勢いで詰め寄って来る。


「あ、は、はい、そ、そう、です」

「!!!!……な、なんと……」

「こ、この、ペ、ペン、ダント、も、もし、かして、ぼ、ぼく、の、か、【雷】、ぞ、属性、の、ま、魔力、に、は、反応、し、して、ひ、光った、の、かも、って、お、思って……そ、それ、で、た、試して、み、みたら、あ、当たり、で、でした」

「!!!!と、と言うことは……初代の国王陛下がこれを委ねた英雄と言うのも……」

「か、【雷】属性の魔法を使えた……と言うことに……」


マクスデルとエリーゼは、ここまで目の当たりにした出来事があまりにも情報量が多すぎて、完全に困惑しきっている。


リンが、その存在すら知られていなかった【雷】属性の魔法の使い手であること。

『王家の友』が、【雷】属性の魔力に反応して光る仕組みであったこと。

初代国王の時代に『王家の友』を委ねられた英雄も、【雷】属性の魔法の使い手であったこと。


「…………」

「…………」


このサンデル王国では、雷そのもの、もしくはそれを使える者は神として崇められる風習がある。

このサンデル王国そのものが、その雷によって領土に巣くう魔物が駆逐され、建国にまで至った、と言う伝説があるから。


幼き頃よりその伝承を、耳に胼胝ができるほどに聞かされていたマクスデルも、そんな者は実在しないと思っており…

エリーゼも、そう思っていた。


だが、雷を自在に操ることのできる存在が、本当に自分達の目の前に現れた。

同時に、その存在がその力を以て未曾有の大氾濫を退けてくれたことに気づく。


マクスデルとエリーゼは、ただの伝説に過ぎないと思われていた真の英雄が、現実に自分達の前に姿を現したことを神の思し召しだと確信し…

右手に【雷】属性の魔法で作られた雷の渦を乗せ、『王家の友』を光り輝かせて立ち尽くしているリンの目の前で跪き、普段は自分達がされているはずの謁見の姿勢を取る。


「?あ、あの……」

「リン……これまでのご無礼、どうかお許しを!!」

「リン……我が国の守護神様…ああ…お会いできて光栄でございます!!」

「??ど、どう、した、ん、で、です、か??」


いきなり自分に対して神を崇めるような態度を取り出したマクスデルとエリーゼに、リンは何が何だか分からなくなってしまう。


「リン様……我がサンデル王国では、雷、もしくはそれを操ることができる存在は、国の守護神として崇められる…そういう風習があるのです」

「!じゃ、じゃあ、ぼ、ぼく…」

「はい……リン様はまさに、このサンデル王国の守護神様……まさか、まさかこの目でそのお姿を拝見させて頂けるなんて!!」

「ち、違い、ます。ぼ、ぼく、そ、そんな、だ、大、それた……」

「いいえ!!リン様は実際、そのお力を駆使してスタトリンはおろか、このサンデル王国…いえ、この大陸そのものをお救いくださいました!!」

「その偉業はまさにこのサンデル王国の守護神様に相違ないもの!!ああ……リン様……わたくし達の守護神様……」


サンデル王国に代々伝わる風習のことを知らなかったリンは、その風習のことをマクスデルに聞かされ…

あわあわとしながら、自分はそんな大それた存在ではないと否定する。


だが、マクスデルとエリーゼは嬉々とした表情でリンこそが真のサンデル王国の守護神だと言い切り、文字通り神としてリンを崇めてしまう。

伝説に過ぎなかった守護神を現実に目の当たりにして、マクスデルもエリーゼもまるで幼い子供に戻ったかのような、きらきらとした目をリンに向けてしまう。


一国の王と王妃に、神として崇められるのがとてもいたたまれなくなってしまい…

リンは、あわあわとしながらも懸命に自分はそんな大それた存在ではないと、重度のコミュ障ゆえのおぼつかない口調でマクスデルとエリーゼに訴え続けるのであった。

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