第2話

ーSideヒメー


 いない。


 ここにもいない。


 ここにも!?


 皆……


 どこぉぉぉぉぉぉぉお!?




 ──休日。


 朝から先生もいないし、レイヴンやレオンティウス様も見ない。

 あの人たち目立つから、いたらすぐわかるのに。


 メルヴィやクレアに聞こうと寮に行ってみても留守。

 マローやアステルもいないし、ジオルド君も見ていない。

 最後の砦・アレンも部屋にいなかったし、図書室は休日だから閉まっている。


 ……そして誰もいなくなった──……。



 いやぁぁぁぁぁ!!

 どこ!?

 どこに行ったの皆ぁぁぁ!!



 騎士団でジャンとセスターにでも聞いてみようと、私は騎士団本部を訪ねた。


「ジャンー、セスター」

「げ、ヒメ」

 げ、って失敬な!!

 まぁこの反応も無理もないか。

 この時期ハロウィンで私のいたずらに敗北し続けている騎士団は、私に対して警戒してるもんね。


 今回も私が勝つけど。

 今度はうさ耳騎士団にしちゃうんだからね!!

 あぁでも先生は今年も黒猫で。

 それだけは譲れない。

 シリニャン最高。


「な、なんのようだ?」

「そんなビクビクしないでくださいよぉ。“今日は”何もしませんから」

「今日は!?」


 めざといな。


「それより先生知りませんか? 聖魔法のことで聞きたいことがあって探してるんですが、朝からずっと見当たらなくて……。レイヴン達もいないから手がかりもないし……」


 皆して遠征……ってわけじゃないもんね。

  私に要請がないのにクレア達に要請が行くとは考えづらいし。


「そういやいないな」

「あぁ。あの人たち無駄にオーラ放ってるから、いたらすぐにわかるのにな」


 うん。

 やっぱりそう思うよね、皆。


「そうですか……」

 本当、どこ行っちゃったんだろう、先生。

 なんだか心配になってきた。

 悪い女に捕まったりしてないでしょうね?


「お、ヒメ。ここにいたか」

 ごつい声が私の名を呼んで、振り返ると3番隊のグレイル隊長が惜しげもなく筋肉をひけらかして歩いてきた。

 寒くないのかこの人。


「騎士団長から伝言だ」

「先生から!?」


 なんでグレイル隊長に伝言を!?

 会ったの!?

 会ったんか!?

 私を差し置いてっ!?


「と、とりあえず落ち着け。目ギラギラしてるし、色々漏れてんぞ」

「あ、はい。……で、伝言って?」

「図書室にて待つ。一人で来るように──だと」


 図書室にて待つ──?

 ……一人で来るように──?


 ……果たし状!?


 何!?

 図書室で決闘!?

 場違いじゃない!?

 いやでも先生のことだ。

 何か考えがあるのかも……。


「わかりました!! とりあえず、殺されない程度に粘ってきます!!」


 よし……がんばるわよっ!!



「お前、図書室に何しに行くんだよ……」

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