第12話 伊吹は襲われている隊を助けました


 森の中にはモンスター(問答無用で襲ってくる人間じゃないもの)が溢れていた。しかし、もう怯えたりしない。私の中には彼がいる。彼から教わったことを想い出し、それを実行する。遠ければ魔銃、近ければ薙刀を亜空間から出し、モンスターを倒していく。亜空間には彼が洞窟で倒したモンスターも入っている。どうやら高値で売れるようだ。同じように倒したモンスターはどんどん亜空間に収納していく。


 三日間森の中を彷徨った。途中で川を見つけ、そこで体を拭った。小さな怪我は都度、聖魔法で回復している。なによりここでは常に空間に溢れる魔力が私を包み、癒してくれる。今は川沿いを下流に向けて歩いている。


 四日目の早朝、川沿いを下っていると、遠くで人の叫び声が聞こえた。人恋しさと、緊迫感ある声が私をそこに走らせた。


 見えてきた。モンスターに襲われている10名程度の騎士団、モンスターたちは森で出会ったものと違い、統率がとれている。騎士団が押されているようだ。私はゆっくり近づき、魔銃を構える。空間魔法で、リーダーらしき、鬼?に背後から照準を合わせた。その瞬間鬼が私の方を向いた。丁度、その額を撃ち抜き、鬼が吹っ飛ぶ。後はモンスターに魔銃を乱射しながら走った。


 近接になった。魔銃から薙刀に切り替えた。彼の教えである、ゆっくり落ち着いて呼吸を整え、一太刀一殺を実行する。

 

 モンスターの背後から私が切り込めたので、騎士団と私で挟み撃ちの形になっていった。騎士団は魔法なのだろうか、火や風や氷の弾をモンスターと撃ち合っていた。

私は背後から一匹ずつ切り倒す。最初にリーダーを倒したからか、流れがかわったからか、もうモンスターはバラバラに攻撃や撤退をしていた。騎士達と私は、孤立したモンスターを間引いていく。


 もう視界には立っているモンスターはいない。

 騎士団の一人が私に近づいた。


『助太刀痛み入る。私はこのアルベル国第四騎士団を率いるアヤノだ。冒険者の方か』


 話し言葉は、日本語じゃないが、なぜか理解できる。


「イブキといいます。東の国から旅をしてきたものです。冒険者ではありません」


 彼から教わった、人に会った時の設定を言った。


『ほう、ルシタニアか』


「ジパングという東の果てから森を抜けてきました」


『知らんな。しかし、この闇地獄と呼ばれる森を抜けたか、先ほどの戦闘でも見せていただいた。凄腕の旅の方、そういうことか。もし、我らがアルベス国に立ち寄っていただけるなら、一緒に行かぬか。今回収しているモンスターの換金もある』


「お願いします」

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