第11話 伊吹は繋がりました
彼と繋がったのが解る。
静かな大きな力に支えられている感じだった。
また、空間に満ちているように感じる魔力を体内に取り入れるところから始まった。
彼の魔力を取り入れる感覚が伝わる。
私の中の何かが変わる。
力の海、この海に浸っている限り、何でもできそうな感覚だ。
それを体中に張り巡らせる感覚を教えてくれる。
身体強化のスキルを私の魔力と結び付けていく。
そこから、ひたすら目の前の彼と同じ動きをするように言われた。
基礎的な動作、歩く、走る、止まる、手を上げる、足を上げる、屈む、跳ぶ、片足で立つ、片手で逆立ちする。
信じられないけど、できた。彼が導いてくれた。
今度は頭、拳、腕、肘で打撃を繰り出す。
360°前も後ろも、片手で、両手で打撃を繰り出す。
手の形、指の形も変えて撃つ、切る、押す。
次は、足、膝で撃つ。
これも全方向に繰り出す体の使い方を彼の感覚が導く。
足の形も様々に変える。
今度は魔銃だ。魔力充填と圧縮、発射、反動制御、射撃の構えと手元と空間魔法の連結、目ではなく、空間で照準を合わせる方法。空間認知の方法。
薙刀に入った。薙刀の重心を掴む、魔力を纏わせる、振る、引く、押す、使っている内に薙刀が自分の体の一部になったような感覚を得る。できるまで、彼は何度も何度も私の中で繰り返し、優しく導く。
私はいつのまにか、泣いていた。魔力ではなく、彼の感覚に触れ、その感覚が私の深いところで共鳴しているような、絶対的な安心感のような、離してはいけない大事な何かであることがわかっている。私は途中から、泣きながら、彼の教えに同調していった。
一通り終えると、私は彼に抱き着き泣いていた。なぜだろう、今日会ったばっかりで、彼を知らないのに、抱き着いた。絶対に受け止めてくれる確信があった。彼は私を抱きしめてくれた。
「イブキ、ここまでだ、これ以上はこの世界の流れを歪める。既に歪めている。リミットを超えたかもしれない。イブキ、俺はお前といる。そのことを覚えておいて欲しい。それは、どこでもだ」
そう彼は私に言うと、私の手の中から消えて行った。私は彼の名前すら知らない。
名前:イブキ
レベル:56
スキルポイント:2
魔力 :★★★★★
意識共有:★☆☆☆☆
身体強化:★☆☆☆☆
空間魔法:★☆☆☆☆
聖魔法 :★☆☆☆☆
格闘 :★☆☆☆☆
薙刀 :★☆☆☆☆
魔銃 :★☆☆☆☆
充深措/α
慾處嘶/α
觸軆鐔/α
彼が消えた後の私のステータスだ。全く読めないスキルが入っていた。わからないし彼ももういない。わからないものはわからないと割り切った。洞窟を背に私は歩き始めた。森の中を進む。
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