第8話 伊吹は新しい出会いを経験しました

キラキラ光るドラゴンちゃんのお腹がもごもご動いた。


“え、死んでない?に、逃げなきゃ”


もごもご動くお腹から真っ赤な血まみれの人が飛び出ていた。全身が光ると血が消え、男の人になった。

あれ、どっかで会ったかな・・。あの顔は・・・・


あ!そうだ!私と空中を飛んでた人だ。

 彼がドラゴンちゃんに手を翳すとドラゴンちゃんの死体がすーっと彼の手の中に入っていった。彼は私の方を見ようとしない。


「あ、あのー・・・・」


彼は振り返った。しばらく私をじーと見た後、明後日の方向に視線を移し誰かと話し始めた。


『カグラか、イブキとジャンプできたが、レイヤーがズレたようだ。あるいはまだ特異点の通過にいたっていないかだ。ここでのイベントが何かわからんが、既に関わりすぎた。しかし次があるとして賭けるしかない。この状況でのイベントの仮説を頼む』


「すみません。ここはどこなのでしょうか。あなたはどなたでしょうか。私は状況が飲み込めず、どうしていいかわからないのですが」


『イブキ、俺にもわからないが、一旦死んで違う世界に跳んだ』


「あなたはさっき、私がトラックに跳ねられて飛んでいた時に一緒に飛んでいた人ですよね」


『そうだ』


彼は私をジッと見ている。


「私は伊吹です。そうなのですが、何で私の名前を知っているのですか?」


『お前は今、俺が何を言っているか解らないと思うが、お前とは縁がある』


「え!」


 やだ、この人こんな異常な状態でいきなり告白?危険を共有したら一気に距離縮まるってヤツ?そりゃトラックに撥ねられるなんて、0.01%くらい、もっと少ない?の人しか経験できないちょーレアだもん。

そりゃ一気に距離感詰まるわ。んっ!もしかして、あの時トラックに轢かれようとした私を助けに来たけど一緒に飛ばされたってこと?

なんであんな人気のないところに、この人いたの?何、何、この人私のストーカー?、ちゃうわ、私みたいなチンチクリンな彼氏も友達もいない女をストーキングしてなにがあんの、ないない、じゃあ、なんで、もしかして助けてくれようとして、一緒に跳ねられた?

えぇ!なんにも関係ない私を助けようしてたの?なんにも関係ないことないか、私の名前を知っていたってことは縁の薄い学校の同級生?いやいや、


『全部ちがう』


「は?」

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