第4話 イブキの噂が流れていた


 暫くして、真っ赤な大薙刀を背負うソロの冒険者の手によって、北方の禍、フェンリス討伐の噂がルシタニアの街にも聞こえた。

 討伐だけではなくティムしたって噂だ。


 暫くして、西方の禍、リバイアサンも赤い薙刀が切り刻んだって噂が流れた。


 暫くして、赤い薙刀が東方の禍、不死のフェニックスを100回殺し、100回羽根をむしり取り、フェニックスはとうとう性根つきはてティムされたって噂が聞こえた。


◇◇◇


 街の領主がカーズを呼び出した。


『勇者カーズよ、この度、国王様がこの街に視察に来られる。当然お前との謁見も予定されておる。南方の禍ヘビモスを討伐した勇者パーティー “栄光の導き” に新たな賞賛があるかもしれぬ。身なりと礼儀に気をつけてな・・・』


 この知らせに喜び勇んだ勇者パーティーは身を清め、身を飾り立て、視察の時を待った。


◇◇◇


 いよいよ国王視察の日、街を挙げての晩餐会にて謁見の義が開かれた。領主やその街の貴族、街の有力者が勢ぞろいしていた。


『カーズよ! “栄光の導き”よ!』


 勇者カーズ、火炎の魔法使いローズ、盾のアンダーソン、回復魔法使いマルガリータが並ぶ。


『祝福がまだであったな、南方の禍、ヘビモスの討伐、見事であった。ここにお前たちの栄光を称え、国宝であるこの剣、“デュランダル” を授ける』


 “おー-” 


 歓声が上がる。恭しく受け取るカーズは拍手の渦に包まれた。


『カーズよ、よって今お前が背負っている剣 “エクスカリバー” は元の鞘に戻すように』


『え!・・・・・・・・・・』


 エクスカリバーが元々刺さっていたて岩を近衛騎士が運んできた。

 カーズからエクスカリバーを取り上げた騎士がエクスカリバーを岩に戻した。


『王様、これはいったい・・・』


『勇者カーズよ!今一度、このエクスカリバーを抜いてみよ!見事抜けたらデュランダルと共に、エクスカリバーもそなたの物だ』


 不穏な雰囲気がただよう謁見の場、カーズがエクスカリバーを手に抜こうとするが、どんなに頑張っても抜けない。カーズの額には多量の汗が浮いていた。アンダーソン、ローズ、マルガリータもそれぞれ試したが、エクスカリバーを抜けなかった。

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