心持ちが理解に及ぼす影響
何かを理解するとき、「そんな理屈はさもありそうだ」と存在を感覚的に受け入れられたことについては非常にスムーズに理解できることが多い。
一方で、地道に事実を並べ、理屈を説かれてもわからない理屈はわからない。
面倒な事を勉強しようと思ったとき、「それはさも有り得そうだ」と最初に思う努力をしよう。先生等の指導者にはそれを手伝ってもらおう。
これはこの話の結論だが、これを読んで「あぁ確かに有り得そうだ、思い当たる節がある」と思う人はどれくらいいるのだろうか。
そう思わない人にも伝わるように書けるのだろうか。
理系の多くの分野(数学、物理、化学、医学やその他複合的分野)、コンピューター言語や法律など、世の中で有用と認められて専門書が多く出ている分野でも、理解しようと取り組む人はほんの一握りだ。難しい学問であってもその見返りとして身に付ければ職になるし、将来は困らない。それでも多くの人はしない、又は諦める。
その一方で、その難しい道に進む人も常に一定数はいる。親からの勧めや将来の優れたキャリアとして、苦労を承知で目指す人がいる中で、そんなことは関係なく自分の興味関心の赴くままに生きた結果そこにたどり着いただけという人も見かける。
後者の人達は「苦労の後の美味しい生活」を目的に目指すのではなく、勉強を苦労だとは大方思っておらず、ただ趣味に生きていたら金が稼げるという非常に羨ましい人達だ。
果たしてその人達は勉強に苦労していないのか?
すぐに何でも理解できる超人なのだろうか?
そうでないなら、どこで楽をしているのだろうか?
現在身近にいる大学教授なんてその趣味人の最たるものだと思っている。確かに専門的な知識があり、得た情報と事実とを結びつけるような取り扱いは上手いが、専門でないゴシップのような話ならそれなりに不確定な話を信じたりしている。
楽しそうにゴシップを語ってくれるときに大体言う言葉がこれだ。
「本当にそうか目で見たわけではないけど、いかにもありそうだよねぇ。」
確かにこの感覚は私にもあって、事実として目で確認できる事なんてほんとに少数で、あとは信じるしかないのだ。目で見たからと言って信用するのも危ない時代かもしれないが。
そして信じることに一番必要なものは「さもありそうだ」と思うことである。
学校の勉強も、この方法で信じれば理解が早くなることが多い。また高校以下の学校では完全に間違ったことを教えられることは少なく、信じてしまったほうが手っ取り早いことも多い。そしてそれを学んだあとは「そんなの常識でしょ?」と言われるわけである。常識を疑うのは大事なとこもあるが、それは多くの場合茨の道を行く選択である。
人がたちの悪い宗教を信じてしまうことがある理由もこれにあると思う。最初に自分にとって不都合な現実があり、それの理由を考えたが思いつかない。そんなときにひょっこり現れるのが宗教の勧誘で、「あなたが恵まれない理由は〇〇な事が原因です。☓☓をすれば良くなりますよ。」と言われたとする。
ここで「自分の現実がこんな不都合な暮らしを強いられているのは何かがおかしいからだ」と考えていた人は、その理屈を「あぁ、ありそうだ。そういうことだったんだ。」と思ってしまうのが想像に難くない。
「ありそうだ」と思う感覚は悪用すれば上の例のような話になるが、便利に使うこともできる。
例えば学校の授業を理解しなければいけない時、先生はそれを説明してくれるわけだが、言葉は耳に届くが頭に入ってこない経験はないだろうか。
公式として組み立てられた数式を見ても何もわからない。
訳の意味に納得がいかない。
現象と名前が結びつかない。
個人的な経験だが、先生や教科書の説明ではある現象(教えてもらっている内容)を一方向から眺めただけのものに過ぎず、現実味が薄いのだと思う。
それを別の見方をする、具体的には他の事実と照らし合わせたり、他の説明の仕方ではどれだけ面倒になるかを一緒に考えてもらったり、逆に今回の説明がどれだけいいバランスで成り立っているのかを理解してみたり、そういったことを経て理解が立体的になり、自分の当たり前に組み込めるようになる。
人の理解にはこのような側面がある気がするため、知識豊富な人はある程度信じるのが上手い人が多いのではないだろうか。
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