第12話 行けない

星蘭は身支度を整えて、ブーツを履くと207号室から、慌てて階段を駆け下りる。


外にはタクシーが1台止まっていた。星蘭は息を切らせて運転手の

方のドアを慌ててノックする。



『運転手さん!!早くっ、早く

開けて下さい!!』



運転手が星蘭に、気が付いた。


運転手はドアを開けて星蘭に、

『お客さ~ん、遅いよ。メーター上がっちゃってるよ?』


『ごめんなさい!!あのっ

急いで下さい!!』


『へ?!どちらまで??』


『ホストクラブです!大阪の!!』



『運転手さん!その必要は無いわ!』


『ーーーーーー??!』


星蘭が、声の方向を向くと菅本さんが立っていた。


『星蘭……?何処へ行くつもりなの?!』


『…………すみま、、、せん。』



星蘭は、菅本に初めて怒られたのだ。星蘭は、菅本に怒られた事よりも、風斗に逢えない事に

ショックを受けていた。



やっていれば。】星蘭は反省の色が無かった。それは、菅本から見ても


一目瞭然な態度だった。



菅本は、すかさずタクシーの

運転手に、上がったメーター分の支払いを済ますと



とタクシーを帰らせたのだった。



星蘭は、途端に哀しみの表情を浮かべて、菅本にしがみ付く。


!!風斗君は

私の大切な人なんです!だから

逢わせて下さい!!!お願いします!!』



菅本は間髪入れずに、その訴えを退けると星蘭の表情が絶望していた。



『星蘭……?あなたは利用されてるのが、分からないのかしら?』



『風斗君は、私にって言ってくれてます!だから。』



『星蘭?それは彼の営業トークなのは理解出来るかしら?』


『…………う。……ちが、う。

私は、彼を愛してます!』



『星蘭!!あなたは利用されてるのよ?良く考えて頂戴……。

あなたに近づく男は、私が容赦しないわ?!』


『星蘭……あなたはモデルに

なるのよ?』



『今耐えれば、男なんて。選り取り見取りよ?いい?分かるわね?』


星蘭は、哀しくて哀しくて、



涙をこらえながらも菅本の話を

ジッと聞き入っていた。





星蘭は、スカートをギュッと握り締めて、菅本と寮の部屋へと大人しく向かったのだった。




星蘭は後ろを振り返ると、風斗に

詫びた。




風斗君。】

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