第3話 街中にて、、、。
気分良く、セイラは街中をブラついていた。皆の視線が自分が
可愛くなったことを祝福してくれているようだった。
実際は、違うのだが。
ヒソヒソ。
『なにあれ??!見せモノ小屋から出てきた珍種なの?!
ゲラゲラ笑』
と、セイラは笑われていた。
セイラは……風斗くんとのデート出来る日々を妄想していた……。
(お化粧品に、お洋服に、後は
…………下着かな?キャッ💕)
セイラの財布には、今まで使ってなかった分、貯まりに貯まった
軍資金なるモノを全て
おろしてきてしまっていた!
まるで鴨がねぎを背負っている状態だとは
セイラは夢にも思わなかった。
化粧品のお店や、洋服のお店、
立ち寄ったところで皆がセイラに問いかける。
『お出掛けですか?』
『ちょっと……彼とデートなの』
得意気に答えるセイラに
店員さん達は、絶句したほどに
セイラは、メイクがピエロの
様な仕上がりであり
また洋服は、おばさんみたいな
体型丸見えの、タイトなシルエットの洋服を
セイラに着せていた。
『お似合いですよ?』
『え~。そうかなぁ、』
店員さん達全員が、心の中で
セイラを見せモノに
仕立て上げていく。
お次は、ランジェリーショップに足を踏み入れた。
セイラは……自分のバストサイズすら分からずに、
デザインではなく
履けそうな大きなサイズを探し回っていた。
(風斗くんの目の前で……
もしかしたら裸に……?)
キャッ。セイラは店内で……
他の客に怪しまれるほどに、
食い入る様に、あるランジェリーを見つめ始めた。
その時、店員さんが現れる。
『いらっしゃいませ。何か
お探しですか??』
『あ、あの~彼氏との初デート
なんですが。一体どれが良いのか?分からなくてぇ~。』
と自慢気に話すセイラの様子を
見た。その店の売り上げトップのセールスに捕まった事すら
セイラは気が付かなかった。
店員は、セイラに同調しながら
セールスを始める。
『お客様の様なグラマーサイズの方は、日本には余りいらっしゃら無いのですよ?』
『ーーーーー??!!』
(グラマー?!!私が?)
セイラは、その日一日の買い物ですっかり気を許して、
大きな態度を取り始めた。
店員は……あしらうのがとても上手かった。
『んも~~彼氏ってばねぇ?』
勘違いが、勘違いを呼び……
見せモノなのに、オモチャに
されている自覚も無いセイラは
……
店員さんが売れ筋のグラマーサイズのブラとショーツを
セイラに勧めた。
『こういった感じのは、今の
髪型された、お客様にはお似合いだと?』
『色は、お客様に似合う。淡い
グラデーションのピンクです。』
接客されているセイラは……
初めて耳にする専門用語に
目をパチクリとさせていた。
他の客らは、静かにその様子を
チラチラと見ては
一緒に居る彼氏や友人と影で
クスクス笑っていた……。
セイラは……そこでも
言われるがままにグラマーサイズと誤魔化された
キングサイズを購入したのだった。
全ての買い物を終えて、カフェに立ち寄ったセイラは……
カフェの店員さんに
初めて指摘を受ける羽目になったのだった。
『お客様……いらっしゃいませ。
何名様ですか?』
『……あ、私だけです。』
『テラス席が、いいです!』
『申し訳ございません。当店ではテラス席は、気品があるお客様のみ。と、させて頂いております。』
その一言を聞いたセイラは……
全てを悟ったのだった。
『私は、まだブスなんだ』
愕然としたセイラは……
今日一日で……使わされた金額を
取り戻すことも出来なくて、
カフェのテイクアウトを購入
して、公園のベンチで……
一人静かに、悔し泣きをして
いた。
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