6つめ
少しずつ、これの思い出というものは薄れてきて、そして。また、これは何かを始めようとしていた。
そんな中、彼女と彼はいつも通り見つめ合い、また、彼女の方は少しにこにこといつもとは違う面持ちで彼をみていた。
どうしたのだろうと彼は考えない。なんとなく、彼女の考えていることがわかるような気がする。間違っているのかもしれないが。
だが、彼女はそんな彼の考えを見抜きつつも何も気にしなかった。今の彼女はそれどころではなかったからだ。
考えることはすべて幸せで溢れており、ここ最近の考えとは全くと言っていいほど違ったのだ。
だが、彼は止められない。
「嫉妬について2人で発表しようではないか」
彼女の目がぴくりとする。
それはまるで彼女自身がその言葉を欲していないようであったが、彼は気にしなかった。
嫉妬なんて、これまでたくさん経験してきた。
前もその前もそのまた前も今も。
そんな中で急になぜまた嫉妬なのだろうと彼女は考えるのだが、まあ、いつものことか、なんて少し楽観視していた。
彼はそんな彼女を見て少し苛立ちを覚えたが、彼女の目を見てもそれを受け取ってはくれない。
今日の彼女は異様だ。
まるで、悪いことなんか見えてなく、盲目。と、いう言葉がとても合うような気がする。本当に、彼は怒りたくなった。
そんな彼を見て彼女は、少しハッとして考えを始めた。
たしかに、彼女もこれも、それを感じていたのかもしれない。いつの間にか。
例えば、あの時のあなたの行動とか。
例えば、あの時のあなたの言葉とか。
例えば——。
ふつふつともやもやしてくる彼女は少し機嫌悪そうに彼の目をじっと見た。それは、今までのことを少しだけ思い出したかのような、また、今までのことを忘れてしまったかのような、そんな目だった。
「わからない」
彼女はぶっきらぼうに答えたが、それもまた、これがあれに嫉妬しているのかと思うと腹立たしかった。
彼はそんな彼女を見て、少し申し訳なさそうにしつつも、少し安堵した。
そして彼女は気づいた。
たぶん、1番それをしてるのは——。
6つめ、
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