4月15日 16時19分

マク〇ナルド浮雲店。


「「「かんぱあああああああい!!」」」


浮雲高校文芸部改め文芸同好会のメンバー(高宮さんを除く)はテーブル席をくっつけ合い、ジュースが入った紙コップを掲げて乾杯しました。

先ほど生徒会に提出した資料は滞りなく受理されました。

ちなみに顧問は昨年度まで文芸部の顧問だった先生にお願いしました。

最初はだいぶ渋られました。

廃部になった経緯が経緯ですし、顧問の先生自身も自分の力不足を痛感していたようです。

ただ、この同好会の発起人が弥永総一郎氏の妹と聞き、お兄さんのためにもこの文芸同好会を盛り上げたいという話を聞いたら、二つ返事でOKを貰いました。

ちなみに、彼がペンネームで活動しており、それが周船寺元岡氏ということは先生だけは知っていたようです。

彼がはじめて新人賞の投稿をしたのは2年生のときであり、その頃には既にサークルクラッシュ状態だったようです。

“自分の文芸活動は誰かを不幸にするのではないか”

そう思って、家族にも黙ってペンネームで活動するようになったようです。

そのおかげで大変な思いをしました。

いろいろとだいたいこの人のせいなので、最大限の助力を約束させてやりました。


「いやー、良かったなあ大橋ぃ? 俺みたいな友達思いの奴が近くにいて。本当にギリギリだったんだろ?」

「え、ええ、その通りです。横手君がいなかったら、本当にどうなっていたことやら…」

「ぜええええったい嘘。大橋、意外と腹黒だもん。横手もこいつに踊らされてたって」

「なわけねえよなあ? いやいや、何度か相談されてたんだぜ、俺? まだどこにも入ってないですか? とか。文芸とか全然興味ないけど、さすがに居たたまれなくなってなー」

「嘘乙乙。おめーもおめーで優佳里狙いだったんだろ? あ、裏取引してたな? 優佳里落としたら自分も入ってやるって。最悪だよこいつら」

「ッバ、してねえよ! 俺はな、友達が困ってるのを見過ごせないタチというか…」

「あーあ、優佳里もかわいそうになー。腹黒とストーカーに狙われるとか男運なさすぎ」

「…ここ…お祝いの…席ですよね…?」


「んで、これからどういう活動するの? 会長さん?」

「会長は僕じゃないです。弥永さんです」

「ところで今気づいたんだけど、弥永さん眼鏡外したらめちゃくちゃ可愛くないか?」

「おめーは節操なしだなあ、横手ぇ!? 同じクラブから性犯罪者とか勘弁してほしいんだけどぉ? あ、あたしはユーレイ会員になるんだったわー」

「先ほど連絡を受けたのですが、高宮さん、週に2回くらいは夕方来れそうですって」

「…は? 優佳里が? あのプロ意識エベレストの優佳里が? 何があったし?」

「レッスンの時間を週に2回くらいは夜に回せそうだと言ってました。演技だけじゃなくて脚本家とかの考えも学びたいから、それくらいいいかもって」

「どんな魔法使ったんだよ…」

「そして長丘さんも兼任会員としてこの同好会に入ってくれる予定です」

「恵里も巻き込んだの!?」

「週に2回、1時間の活動を約束させました。優佳里さんが来る日に合わせてです」

「お、おまええええええ!!」

「陸上部の顧問にも許可を得ました。その代わり、それ以外の日は僕が兼任部員として長丘さんがやらかしたときのお世話と、小間使いから雑務諸々をやるってことで」

「恵里はその話飲んだのか!?」

「あくまで顧問の先生とだけです。長丘さんには”高宮さんも大楠さんも入るけど、どう?”としか言ってません」

「そして”高宮さんも長丘さんも来るけど、大楠さんも来ない?”って言うつもりなんだろ!? やってることが横手じゃねえかああああ!!」

「ど、どういう意味だコラああああ!!」

「…兄さん…まだ活動もしてないのに…もうギスギスしてる…道のりは険しいよ…」

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