4月7日 15時1分

ボウリング大会は実に朗らかな雰囲気のまま進行し、2ゲームが終わったところで解散となりました。

二次会としてカラオケに行こうという提案が(横手君から)上がりましたが、女性陣が全員帰宅の意思を示したので、また明日学校でということになりました。

罪悪感から始まったこのイベントですが、終わってみれば結構楽しかったように思います。参加者の中で最低得点という結果に終わりましたが、ボウリングは初めての経験だったので仕方がありません。もう二度とする気はありませんが。

問題は半ば強引に連れて来られた高宮さんたちですが、解散前に少しだけ会話をした際に、

「咲ちゃん、恵里ちゃんと仲良くできたかなー?」

「はい、お二方からすごく良くして頂きました」

「いつまで敬語キャラやるのかな? もしかしてずっとそれでいくつもり? そういえばさっき恵里ちゃんがすごく喜んでたよ。嬉しかったって。それだけでも来た甲斐があったかなー」

と言ってくださいましたから、解決したとみていいでしょう。

それと帰り際に横手君からまた肩を抱かれて話しかけられました。

「今日は悪かったな。ダシに使ってしまってよ」

まだ少し怖かったのですが、お誘いのときに比べて随分角が取れていました。

なんでも、最初は高宮さんに口もきいてもらえなかったそうですが、「クラスメイトをダシにするような卑劣な真似は二度としないで」ときつく戒められて以降、少しずつ言葉を交わせるようになったそうです。

今度からは普通に遊びに誘うからと、明るく手を振って彼は帰っていきました。

見た目は不良っぽいけど、話してると意外といい奴ってキャラ属性でしょうか?

裁縫が得意で、家に帰ったら趣味のあみぐるみ作りとかしていたりするのかもしれません。


最寄りの駅から電車に乗って、自宅までの帰り道。

この間ずっと考えていたのですが、ただの高校デビューにしては恋愛系のイベントが多すぎだと思います。

しかもどこかのラブコメ作品で一度は見たような定番のものばかり。

もし本当に今僕がラブコメ主人公なら、きっと夕方の公園に入っても何らかのイベントが発生するに違いありません。

もし本当に発生したら、そのときは現実を受け止めて、元の世界に戻る方法を考えよう。

意を決して、僕は自宅近くにある公園に足を進めたのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る