第56話 勝利を納めて

「まあとにかく、今回も魔王様に勝てましたね。それもこれも、お嬢様の活躍のおかげです」


 と、主を立てる執事。


「そんなことはない。みんなが力を合わせて、わたしはアレキさんの元まで来られたのだ。みんな大変だったな」


 ユーリアはみんなを見回して言う。


「ユーリアは殊勝だなぁーかわいいー。元の姿もかわいいー」


 アザリがユーリアに抱きつこうとするのを、足蹴にして防ぐショコラ。ユーリアは魔王との戦いで魔力を使い果たしており、小さくなる魔法が使えずにいた。そのため、元の16才の姿のままだ。


「ユーリア、魔王退治、お疲れ様」


「アタシも魔王と戦いたかったなぁー」


「わたくしがいれば、もっと早く決着が着いたでしょうけどね」


 他の魔法少女たちが口々に言う。


「それじゃあ、さっさとこんなとこから帰って、のんびりしよー」


 アザリがみんなを急かして話した。そんなアザリを放置し、まだみんなは話をする。


「そうだ、あの神にも報告だなぁー」


 ミザデレールがうんざりして話す。


「なんとしてでも、ルプトプラスに配属変えしてもらいますわ」


 エミュルは意気込んで言う。


「また365日、24時間、街を守らないといけねーのかあ。ひとつの街に2人の魔法少女で守るとはいえ、1人1日12時間体制だしなあ」


 ミザデレールは魔法少女の仕事に対し、不満があるようだ。


「そんなに言うなら、わたくしと変わって下さいな。そしてユーリアとエンビのように、ノラ魔法少女になればいいんですわ」


 文句を言うミザデレールに、エミュルは提案する。


「仕方ないだろー。ノラ魔法少女でやってくほど、強くないんだからー」


 エミュルの提案をはねのけて、ミザデレールは文句だらだらだ。


「さあ、話してないで早く帰ろーよー」


 更に急かすアザリに、やっと4人は頷いた。みんなが出口に向かう中、ショコラがユーリアにこっそりと言う。


「すみません、お嬢様。私は少々用事がございますので……」


「アレキさんか?」


 ショコラの言葉に尋ねるユーリア。


「……ええ。お嬢様を見送ってから、魔王様に話をしに行こうと考えていたのです」


「そうか。なら、わたしは一足先に城に帰っているぞ」


「ありがとうございます、お嬢様」


 そうして一同は手を振るショコラに見送られながら、一足先に帰って行った。




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