第54話 決着の行方

 2人、片手で魔法を放出し合い、どんどん魔力を消費していく。


「これで終わりだっ」


 魔王が叫ぶとユーリアへの魔法攻撃が強まり、彼女の身体を消耗させていった。


「あっ……ぐっ」


 ユーリアの身体が、闇の星々に包まれていく。


 そして……


「ユーリア様──ッ!!」


 ショコラの叫ぶ中、ユーリアは押し負けてすべての闇に飲まれていった。


「ユーリア様、ユーリア様──ッ!!」


 ショコラの声が響く中、やがて闇の光が辺りへ霧散していき、土煙が立ち上った。ユーリアの放っていた大量の竜巻も消えてしまった。そんな土煙の中、蜃気楼のように立っている人影が見える。


「お前の負けだな、ユーリア。1度死を授け、それから甦らせてやろう……」


 魔王が立ち上がっており、その視線の先には、倒れているユーリアの姿があった。


「ユーリア様っ」


 魔王がユーリアに近づく中、ショコラは必死にボロボロの身体を引きずって近いた。


 魔王はユーリアに話しかける。


「いい戦いだったな。お前とは何度も戦いたい」


 魔王がユーリアの元まで1メートルを切った時だった。


「ぐっ……ぐあっ」


 魔王の身体から光が発生する。


「ぐあっ……うぐっ、ぐああっ」


 何度も何度も光は発生し、魔王に攻撃を食らわせる。そして最後の一撃を受けた後、魔王は倒れた。全身から血を流して魔王は笑う。


「そうか、後来光か……ステッキで我を攻撃し、何度も同じ魔法をかけていたのか……」


 後来光。

 後から来る光の魔法攻撃で、無詠唱なら相手に気付かれずに仕掛けることが出来る白魔法。


「さすが世界一の魔法少女ユーリア……今回も楽しませてもらった……」


 そう言って魔王は気絶した。


「お嬢様っ」


 ショコラの瞳には、立ち上がったユーリアが見える。彼女はふらふらとしながらも、ショコラの元に行き話しかける。


「大丈夫か、ショコラ」


「お嬢様こそ、そのような怪我を負って大丈夫なのですかっ!」


「大丈夫だ。わたしはお前の傷の方が心配だ」


 そうしてショコラに回復魔法をかけようとするユーリア。


「お嬢様、おやめ下さい」


「大丈夫だ、気にするな。お前に死なれたら困る」


「お嬢様……」


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